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『E/O』イオ  作者: たま。
序章【改変編】
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第12話【不能】

誤字脱字・表現の誤りはご容赦願います。


「アヤカ、意外とはや…いっ」


言い終わる前に、何者か…いや、あの男に…左手の関節を極められ口を塞がれた上で抱きつかれた。

やはり、この男は初心者狙いのレイプ魔だ。


「泣き叫ばないのか?

案外、冷静じゃないか……」


先ほどまでの口調と喋り方が違うな…。

こちらが本来の口調という事か…

レイプ魔は俺のうなじの匂いを嗅いだ後、首筋を舐めてきた。

この男の股間辺りが盛り上がっているように見えるが気のせいだな…。

気のせいだと信じたい。

俺の尻に何が当たっているのか思い浮かべただけで背筋がゾワゾワとする。


「下衆が…」


俺は口を塞いでいた手を振りほどき言う。


「俺にとっては褒め言葉だね…」


「良い気になっているところ悪いが…気を抜き過ぎじゃない?」


「なんだと?」


レイプ魔は、怒気をはらんで凄む。


「アヤカ、今だ!」


「なに!?」


レイプ魔は、ブラフに引っかかり後ろを振り向く。

その際、俺を押さえつけていた力は弱まったので、レイプ魔の足先を踏みつける。

そして、レイプ魔から離れ、いつでも戦闘できるように詠唱の準備をした。


「ぐっ!?てめぇ」


「こんなブラフに引っかかるなんて、案外、単純なんだな。大方、低レベルなら抵抗出来ないだろうと思ったのだろ?」


「ああ、そうだな。それに気配察知も出来ないお嬢さん程度なら、今からでも余裕で押さえつけれるさ」


手をワキワキさせて今にも襲い掛かりそうだったが、俺は助かったようだ。


「残念、時間切れだ。ブラフがブラフじゃなくなったみたいだ」


俺には、レイプ魔の後ろで凄い形相の弓を構えているアヤカが見える。

魅惑のセットボーナス効果が効いているようだ。

後ろを振り向いたレイプ魔の表情から余裕が消え青ざめていくのがハッキリと分った。


「ま、待て。アヤカ、一応こいつも賞金首だ。殺したら無駄になる」


「フフフ、私のアキラに何をしていたのかしら?」


いつからアヤカのものになったよ!?


「………」


「取り合えず、去勢しなきゃね」


アヤカは笑顔で男の盛り上がった股間へ狙い澄ます。

レイプ魔の股間が序々に萎んでいく。


「ま、まtぎゃaaAaあああ!?」


萎みきる前にアヤカの放った矢は、男のアレに当たらなかったように見えたが掠ったようで音も無くアレは霧散した。

千切れたんじゃない…塵になったのだ。


想像しただけで恐ろしい光景が目の前で起こってしまった。

しばらく、男はその場で転げ回り、数十秒後、泡を吹いて気絶した。


「死んでないよな?」


「同じ男として心配?」


「いや、賞金が心配」


俺は躊躇なく答えた。


「じゃぁ、死ぬ前に東門駐屯所に引き取って貰いましょう」


改変前は、引き取って貰ったらそれで終わりだったが、改変後どうなっているかだな。

まぁ、その辺はゲーム遵守だと願うばかりだ。


「ああ」


俺たちは股間から出血しているレイプ魔を2人で引き摺りながら東門を目指す。

東門を通り過ぎる時、門番を勤めていた騎士が青ざめていたのは気のせいだ。


東門近くにある駐屯所にレイプ魔を持っていき、傭兵であると告げた後、担当の騎士へ手配書を添えて引き渡した。

俺はその時に早く治療しないと死ぬ事を忠告した。

その横でアヤカが「不能になれば良いのに」と小さな声で呟いたのは内緒だ。


引き渡した後、俺達は本来の目的であるグレイウルフの討伐をしに、また東門を抜け森へ探索に向かった。


「取り合えず、街道沿いを歩くか…痕跡か何かが見付かるかも知れないし」


「そうね。それと確かアキラは法術使えたよね?

100mごとにディテクトしていったら良いんじゃないかな。

MP回復ポーション買ってあるからMP切れになっても大丈夫よ」

そして、6回目のディテクトで反応があった。

グレイウルフの群れだ…数にして16匹、内3匹が仔狼。

魔法を感知したのかは分らないが、明らかに母狼と思われる数匹の狼がこちらを警戒している。


「どうする?」


「森で戦うのは不利だから、私がこっちへ誘導するわ」


と、アヤカは弓から矢を放ち、警戒していた母狼の1匹を木っ端微塵にした。

相変わらず、直撃すれば凄まじい威力だ。

例えるなら、対物狙撃銃「バレット」と言ったか?あれと思ったら良い。


一瞬、呆気に取られていた12匹のグレイウルフ達は、殺気を立て俺達を囲むように襲い掛かって来た。


俺はザキラを呼び出し、共に戦うよう頼んだ。


「やっと、俺の出番か…よし、任せろ。ドンッと来い」


ザキラはドスのような風の刃を構える。

俺は、カバン横に差していた夢幻刀を腰に差しなおし居合の構えで隙を窺う。

アヤカは構えていない…というかレベル差があり過ぎて狼達は避けて動いている。

狙いは俺とザキラに決めているようだった。


一触即発だが、お互い警戒しているので動きはない。


「くちゅん…」


アヤカが可愛らしいクシャミをした瞬間、グレイウルフは一斉に飛び掛ってきた。


『居合・壱之太刀』


俺はすぐさま抜刀し迎え撃つ。

この攻撃で一番前方にいた4匹を両断、後ろにいた2匹を真空波で切り裂く。

俺は他に襲い掛かってくる狼がいないか周りを見ると、ザキラが狼3匹に噛み付かれていた。

3匹を引き摺りながら飛び掛ってきた1匹を刺し殺していた。

この状態で1匹仕留めたのは正直驚いたが、カッコ悪いな…。


「やぁぁってやらぁ!」


ザキラは渾身の力で3匹を振りほどき構え直した…。

見るからに満身創痍だが、精霊だし死ぬ事はないだろうから放っておこう。


俺の前方3m付近ににいた3匹と振りほどかれた1匹が合流し、俺にジ○ットストリ○ムアタックばりの攻撃を仕掛けようとしていた。

しかし、この隊列は俺にとって好都合だった。


『居合・参之太刀』


俺は狼達が飛び掛る前に、仕留めようと3つ目の技を放った。

これは刀を縦に居合斬りをし、前方に対して巨大な真空波を放つ技だ。

元々は居合による兜割りのような技だったが、真空波を合わせる事で全く違う性質の技に変貌した。

解き放たれた真空波は、前方にいた4匹を一瞬で切り刻んだ後、狼達の後方にあった大木を両断した。

その直後、ザキラも2匹の狼を倒せたようだった。



そして、後に残ったのは3匹の仔狼…


「アキラ、仔狼も仕留めないと依頼は達成されないわ」


俺が躊躇したのがアヤカは感じ取ったようだった。

リアルと変わらない現状、改変前のように躊躇せずに攻撃をする事が出来なかった。

俺って甘いよな…。


「分っている」


後味は悪いが仕方ない。


「……私の矢なら一瞬だから任せなさい」


と、アヤカは躊躇無く矢を放ち仔狼を葬った。

「討伐を確認後、明日までに指定口座へ振り込みます。それと、賞金首を捕らえたようですね。

こちらは東門からすでに連絡を頂いていますのでお支払い出来ますが、現金で支払いますか?口座にしますか?」


今、ギルドで討伐依頼の完了報告と賞金の受け取り手続きをしているところだ。


で、口座とは…ギルドが管理する傭兵専用の銀行口座の事だ。

今はそんなに高額ではないが、ランクの高い依頼は完了すると現金では渡せないほどの大金が手に入る。


「口座でお願いします」


お金は普通にプレイする分には現状でも十分に持っていたので銀行に振り込んでもらうようにした。


「分りました。では、討伐依頼の報酬とまとめて振り込ませて頂きます」


依頼書に処理済の印を押し、後ろのギルド職員に渡した。

今日は、あの恋人?ではなかったようだ。


「あの…さっきから気になっていたのですが…お隣の方はどなたですか?」


受付のお姉さんは、目の前の光景を気にしないようにしていたがやはり気になるようだった。

そりゃ~、俺にべったりと引っ付いている一見クールビューティなハイエルフを気にするなという方が無理があるな。


「…色々あって、今はボクの保護者みたいな感じです。そうは見えないでしょうけど…」


「アヤカ=ツキカゲよ。登録番号387000873」


「…………ぇ?…傭兵ランキング1位!?…もしかして”光迅”?」


受付のお姉さんは登録番号に従って身元を調べ、アヤカのランキングを見て驚いた。

まぁ、仕方ない。

ランキング1位なんてギルド職員だからといって早々出会える訳ではない。

ほとんど生きる伝説みたいな存在だ。


「あ、あのでしたら…」


「これでも3百年以上は生きているから。ランク高いのはそのせいよ。

それと、今回はあくまでもアキラの保護者ってだけだから私自身は依頼を受けないつもりよ」


受付のお姉さんの言葉を遮ってアヤカは釘を刺した。


「あ、すみません」


「別に謝らなくても良いわよ。それじゃアキラ手続きも終わった事だし行こっか」


「ああ、それではお姉さん。また」


俺は受付のお姉さんに挨拶をギルドを出た。


アヤカが引っ付きすぎて歩きにくかったので、また一部の装備を外してセットボーナスの効果をなくした。

後で聞いた話だが、あのレイプ魔なんとか死なずに済んだらしい。

アレは再起不能だったみたいだが…。

どうだったでしょうか?

今日はそれほど話が進んでないので面白みに欠けてるかもですね。


ちなみに、レイプ魔の名前は未定です。

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