スカイリム・Fallout・サイコブレイクを作った会社の歴史:ベセスダ
はじめに
「Fallout」「スカイリム」「サイコブレイク」
数々のメガヒット作品を世に送り出して来たゲーム会社
Bethesda Softworks
彼らはオープンワールドRPGという
ジャンルを「体験」として確立させたゲーム会社です。
同社は一貫して、
「プレイヤーに世界を与え、解釈と行動を委ねる」という思想を貫いてきました。
今回は、Bethesdaの歩みを振り返りながら解説します。
1. 創業期(1986年〜1993年)
創業者:クリストファー・ウィーバー
Bethesda Softworksは1986年、
クリストファー・ウィーバー(Christopher Weaver)によって設立されます。
当初はスポーツゲームを中心に開発を行い、
Gridiron!(1986年)
Wayne Gretzky Hockey(1988年)
といったアメフトやホッケーなどのスポーツゲームを世に送り出しています。
ウィーバーは当時の方針について、次のように語っています。
「PCゲームは、子ども向けのおもちゃではない。
大人が知的に没頭できる娯楽になり得る」
この考え方が、後のBethesdaにおける
重厚なシステム志向と没入感重視の原点となりました。
2. 『The Elder Scrolls』の誕生(1994年)
『Arena』という転換点
1994年に発売された
『The Elder Scrolls: Arena』は、Bethesdaの方向性を決定づけた作品です。
後にスカイリムを発売することになる
本シリーズですが、
当初は剣闘士同士が戦うゲームとして構想されていました。
しかし開発途中で方針が変更され、
広大なファンタジー世界を自由に旅するRPGへと変貌しました。
当時の開発者は、設計思想について次のように振り返っています。
「正しい遊び方を用意したくなかった。
世界を渡して、あとは好きにしてほしかった」
この思想は、以後の『The Elder Scrolls』シリーズ全体に受け継がれます。
3. トッド・ハワードの登場
1994年、
トッド・ハワード(Todd Howard)がBethesdaに参加します。
彼はやがてディレクターとして頭角を現し、
Bethesda作品の設計思想を明確に言語化する存在となりました。
彼の代表的な発言の一つが、次の言葉です。
「ゲームは見るものじゃない。
そこに住むものだ」
この言葉は、Bethesdaが目指す
”世界体験型ゲーム”を端的に表しています。
4. 成熟期
『Morrowind』『Skyrim』
Morrowind(2002年)
『Morrowind』では、
プレイヤーに対する説明を意図的に削減する設計が採用されました。
明確な道案内をしない
世界観はテキストで語る
不親切さを前提とする
トッド・ハワードはこの判断について、次のように述べています。
「すべてを説明すると、
想像する余地がなくなる」
この“理解させない勇気”が、
Bethesda作品の没入感を支えました。
因みにですが、このころ創業者のクリストファーは親会社(ZeniMax)との考えの違いから対立します。
そしてクリストファーは報酬・契約を巡る訴訟を起こします。
すると経営から完全に排除され、
会社の意思決定に関与できない
状態となり、事実上Bethesdaから去ることになりました。
それによって社内の思想を語る役割も
トッド・ハワードが担うようになります。
その後2011年に登場したのが、
The Elder Scrolls V: Skyrimです。
『Skyrim』は、
Bethesdaの思想を最も大衆的に成功させた作品です。
2026年時点での
世界累計販売本数は6000万本。
Bethesda史上最も売れた作品です。
プレイヤーは、
英雄として生きることも
盗賊として暮らすことも
ただ世界を放浪することも
自由に選択できました。
一本道ではない体験が、
「自分だけの物語」を生むゲームとして高く評価されました。
5. Falloutシリーズの継承と再構築
Interplayから発売されていた
超人気作シリーズ『Fallout』
しかし、
Interplay社が経営難に陥ってしまい、続編を作る体力を失ってしまいます。
そこで手を差し伸べたのがBethesda。
彼らは、
InterplayからFalloutシリーズの権利を取得し、
『Fallout 3』を開発します。
決定打となったのは思想の一致。
Falloutの本質は、
一本道の物語ではない
選択と結果が世界に残る
世界観そのものが語り部になる
という点にあります。
これはBethesdaが一貫して追求してきた、
世界を先に作る
物語はプレイヤーが生む
正解を押し付けない
という思想と完全に一致していました。
しかしこれは、
既存ファンの強い思い入れを背負う非常にリスクの高い挑戦でした。
トッド・ハワードは
この決断について、彼は次のように語っています。
「原作ファンが怒るかもしれないことは分かっていた
それでも、自分たちが信じるFalloutを作る必要があった」
つまりBethesdaは、
「これは自分たちが引き継がなければならない世界だ」
と本気で考えたわけです。
結果として、
Falloutは再び世界的な人気シリーズとなりました。
6. ZeniMaxからMicrosoftへ
ZeniMax Media傘下でBethesdaは急成長しましたが、
同時に以下の問題も指摘されるようになります。
バグの多さ
エンジンの老朽化
商業主義への批判
これに対し、トッド・ハワードは。
「完璧なゲームより
人々が語り続けるゲームを作りたい」
とコメントを残しています。
この姿勢こそが
名作を世に送り出した秘訣でした。
しかしこの発言は
評価と批判の両方を呼びます。
その後2021年にMicrosoftによって
ZeniMax Mediaは買収されます。
結果、傘下であったBethesdaは
Xbox Game Studiosの一員となります。
7. Starfield(2023–)
新規IPへの本気の挑戦
2023年になると、Bethesdaは
**完全新規IP『Starfield』**をリリースします。
これはThe Elder ScrollsやFallout
という“安全な既存IP”に依存せず、
25年ぶりにゼロから世界を構築するという挑戦でした。
Starfieldの特徴として、
宇宙を舞台にしたオープンワールド(オープンスペース)
膨大な惑星数
クラフト・拠点・船設計
というものがあります。
従来のBethesda作品を、
宇宙規模に拡張した設計と言えます。
リリースから数週間で
プレイ人口が1000万人を超えるなど初速は好調。
しかし、時間が経つに連れ、
惑星探索の単調さ
ロードの多さ
「自由だが密度が薄い」という感覚
といったネガティブな面が目立ちます。
しかしながら、
世界観・設定の作り込み
船設計やクラフト要素
MOD前提の拡張性
といったベセスタが守ってきた
世界設定や思想は一定の評価を得ます。
その結果、
Steam評価は賛否両論寄り
となってしまい、
同時接続者数は発売初期から
大きく減少しています。
Starfieldは、
商業的評価が分かれてしまいましたが、
Bethesdaが“まだ新しい世界を作ろうとしている”ことを示した作品でした。
【おわりに】
Bethesda Softworksは、
決して完璧なゲーム会社ではありません。
しかし一貫して、
「プレイヤーに世界を委ねる」
という思想だけは守り続けてきました。
だからこそ、
そのゲームは今も語られ、
体験として記憶に残り続けているのです。




