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白と黒の世界  作者: 永流
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第16話 自分の棺(ひつぎ)

挿絵(By みてみん)

3人とも、無事にこの空間に入って来れた。

吐き気は無いようで、全員昇ってきている。


俺は少し口角を上げ、3人に頷き、ひつぎに向き直った。


残り1メートル半ぐらいだった…。


ひつぎは白く光沢があり、装飾そうしょくは派手さは無いが、模様もようひねりが加えられていて、よく見ると、"何かの繊維せんい"が入っているようだ。また、縦長クリスタルみたいな見た目で、長さは約2メートル。俺の当時の身長が180cm位だったから、そんなもんだろ…。


材質は極めて固いが、はがねのように固くはなく、"大樹のように落ち着く材質''で出来ているみたいだが、"俺が知る材質ではない"……か?


……この色…、どっかで見た事あるような……?


3人が側にやってきて、龍影が軽く頭を下げつつ、口を開いた。


「主よ、お待たせ致しました。」

まさか、このひつぎを再びこんなに近くで見れるとわな…。2000年経っても、"一切劣化していない"…。流石結月だ…。


俺は龍影と後ろ2人を見たんだ…。


後ろ……



俺は何となく、国王を見つめた…。


……え…まさか……


俺は国王のある一点を見て、無意識に息を止め、思わず目を見開いてしまった。



「このひつぎの素材って、"お前の髪の毛"か?」

いくら時間の概念が無いとはいえ、水に浸かった状態で、2000年間劣化してないって事だろ…?!


国王は口角を少し上げ、目元が緩み、微笑んできた。


「"はい"…。と言っても、そのまま編み込んでいるわけではなく、龍影様の協力を得て、髪を精製し直し、繊維質でなるべく固くし、軽い材質に仕上げました。」


「当時は龍影様と相談し、"初代の遺体を保管するには、これが最適だ"という話しになったのです…。髪の毛は、生体の細胞由来ですので、タンパク質です。タンパク質は基本的に水にはけませんし、"この空間であれば"、劣化れっかも致しません。」


「そして…何より、"初代は私から生まれていますので、初代の肉体を保存するには、私由来の材質であるのが…一番適正だった"のです…。」


国王は、少し過去を思い出して浸っていたが、ハッと気づいて、頭を俺に下げつつ一歩後ろに下がった。



「も、申し訳ありません……。少しばかり、調子に乗りました……。」

今の主様から見たら…、"不快"…ですよね……。


「いや…まぁ、今回は良い…。それで?誘拐まではここに初代だった時の遺体は確実に入っていて、誘拐後に持ち出してるんだよな?この身体……、"馴染みが早いのは何故だ"?この身体で起こされてから、まだ6時間も経っていないのによ?」


怒りに身を任せてはいたが、"それでも扱いやすい"…。


国王は少し目を泳がせ、目を1回強く閉じて開いて俺を見詰め返してきた。…何かを覚悟したか?



「…詳しくは後程皆の前でお伝え致しますが、その身体の大元は、春華大国初代国王時代の貴方様です。決戦を考えた時、"この世界最強の肉体は、貴方様自身である"と考えたのです。」


「そこで、初代が亡くなってから、シナリオの為、龍国国王であり、私の奴隷だった龍輝から、週1の頻度で致死量ギリギリの採血を行い、初代の身体に投与していました。そして…その結果、初代の皮膚に黒い鱗が発生致しました。」


「そのため、龍影の出張時間に合わせ、この場所で…"この棺を使用して"、初代の身体が暴走しないように管理しつつ、変えていったのです…。龍影は城に殆どいませんでしたから…。…ですので、貴方様が結衣としてここに参拝していた時は、既に、"黒い鱗に覆われた状態"でした……。そして…」


「そして、"最後の調整段階として"、結衣がここに来た際に、"結衣が祈り、結衣のオーラをこの身体に送る事で、適合の微調整をした"のです……。その後、結衣を殺させ、一旦魂を抜き取り、結衣の身体を初代だったその身体に吸収させたのです…。」


「ですので…"その身体は、貴方様自身の肉体で出来ている"のです…。そして……、ついでに言いますと、"このメル自体が、貴方様の肉体を保管・維持・転生をする為の場所です"。」



俺はあまりの情報の密度に、思わず目をぱちくりさせ、言葉を失っていたんだ…。


そして、国王がもう一押ししてきた…。


「このメルの外装は、卵子由来のパーフェクト細胞のモデルであり、中身はその構造……。そして、この場所は……」


国王が俺をチラッと見てきた…。


「細胞の真ん中……。つまり、"核"って事か…。しかも、この擬海水も、タンパク質のひつぎも……全部…、"ここまで来る道のりが、パーフェクト細胞をモデルにした装置"であり……、神殿なんだ…。」


俺は、二人の作り込み度合いに度肝を抜かれ、構造を照らし合わせ、理解するのに戸惑ってしまったんだ……。


だから、メル内の階段も壁も透けていたんだ…。細胞の中に階段なんて無いし、壁も基本的に、細胞膜と角膜だけだ…。


しかも、ここからのプラネタリウムの宇宙の景色……、"全宇宙の真ん中から見える景色の模写"じゃねぇか……。



俺はまた、目じりを熱くさせてしまったんだ…。


なんて……、"なんてバカな作り込みをしてんだよ"……。


涙は溶ける……。だが…、胸は少し締め付けられるように…苦しく、暖かさで満たされてしまいそうだったんだ……。

挿絵(By みてみん)

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