表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白と黒の世界  作者: 永流
15/28

第12話 婆ちゃんの墓 4

挿絵(By みてみん)

俺は、婆ちゃんの墓に続く入口を潜ったんだ。


入れた…。


また、心臓が高鳴っている…。


やっとここまで来たんだ…。



俺は周りを見渡すと、全方位プラネタリウムは変わらないが、構造的には6畳程の横長長方形で、左右均等の広さだ…。


この神殿の広さを考えると、本当に"物置みたいな広さ"だな…。



だが…、"何も無い"…。……どう言う事だ…?



無いはずが無い…。

"必ずいる"…。



……婆ちゃんは生前、"全ての記憶を持ったまま"だった…。つまり、この部屋に居る時の記憶もあるから、出現の方法も身に染みてるはず…。


しかも、結衣をディオラと知っていてもおかしくない…。


"何かしら、結衣にヒントを出していた"…?



……国王は敢えて言わなかったのか、それとも"当たり前過ぎて俺に言うのを忘れていたのか"……。


どっちにしろ、"婆ちゃんはどうやって出てくるんだ?"って2人に聞くの…、嫌すぎる…。



さて……どうしたものか…。


俺は、"生前の婆ちゃんを頑張って思い出そうとした"んだ。



………正直に言うと…俺の婆ちゃん、優しくて厳しい人で尊敬もしてるんだが……、結衣としては、"話の長い婆ちゃんで、時々右から左に聞き流してた"んだよな…。


…今思えば、"不敬過ぎるだろ"!って、昔の自分の頬を思いっきり(つね)りたいぐらいだ…。



…婆ちゃんの事だ…。"絶対に言っている"…。


言っているんだろうが…、聞き流し過ぎて、思い出し辛い!!


俺の頭は、少し熱を持つくらいフル回転していたんだ。



……あっ…、"多分分かった"…。



俺は振り返り、その場にしゃがみ込んだんだ。


国王と龍影が覗き返してきて、2人共顔を傾げてきた。



「ここ、"一旦閉じるわ"。国王……、"これが正解だろ?"」

俺はついニッとしてしまった。


国王は優しく頷いてくれた。

「"はい"…。閉じれば自動で封が取れますので、後はそのままお待ち下さい。私達は変わらず、ここで待機しておりますので…。」


国王の目が潤んでいる…。


「!…心配するなって…。行ってくる。」


「行ってらっしゃいませ…。」

国王(わたし)は再び額を床に付け、目の前で結界を張り直す主様を見届けたの……。



入り口は再び閉じられ、国王(わたし)と龍影様だけになった。


「…結月…、どうした?」

こいつ…、こんなに表情豊かだったか…?


「あっ……、失礼しました…。」



結月の目が微かに泳いだ。


「"龍影(わたし)の目は節穴では無い"…。隠すな。その目の迷いは何だ?私の目を見て、しっかり答えろ。」


今更、嘘が通る相手とは思って無いだろ?


結月はしっかりと私を見てきた。


「主様と私にとって、"扉を閉める"という行為は、貴方様が生まれる前からある、"故郷である神の国に通じる道を閉じた時のトラウマ的行為"なのです…。……ですので、"結衣の時も"…、いつも…無意識的に少しだけ扉を開けていたのです…。」


結月の両手が震えている…。確かに、結衣は全然扉を閉めなくて、皆それなりに注意していたが、結局さっきもそうだが直っていなかったしな…。


いったい、何処まで深いトラウマなんだ…?


だが…、ここで深く聞くより、皆の前で暴けさせた方が良いか…。これは、私だけの問題じゃないしな…。


「リビングに戻ったら、皆の前で、またちゃんと説明しろよ…。」


「…分かっています…。」



……

結月は扉の前を陣取るように座り直し、静かに身構える姿勢をとった。


「はぁ…。結月、私も横に座らせろ。襲撃など来ないだろうが、"従者の義務"だからな…。」

てか、この裏庭に襲撃者など、来るはずがない…。そもそも、"ここは隔絶されてるしな"…。


「…どうぞ。」


結月は立ち上がり、扉から少し前に出て座り直した。

つまり、"龍影わたしが扉側"だ…。……今更だが、コイツは本当に"心からくだった"んだな…。


…主よ……、"だから貴方様は、寂しい顔をされたのですか"…?


龍影わたしは、国王と入口の間に座り込み、主を待つ事にしたんだ…。



ーーーーーー"女王の間"ーーーーーー


俺は、結界で入口を閉めたんだ…。コレが正解って言ってたから、大丈夫なんだろうけど…。


俺は再び立ち上がり、周りを見渡したんだ…。


"全方位プラネタリウムのまま"……、まるで気配を感じないんだが…?


「……"婆ちゃん"…、居るんだろ?…俺は…今の俺には、"名乗れる名前が無い"…。春華を滅ぼした化け物だ……。でも、元…"春野結衣"だ……。」



不安が凄い…。指先から、止まらないほど両手が震える…。


"苦しい"…。



俺は両手をそれぞれ強く握り締め、目を強く閉じ、気づいたら泣いてしまっていた…。


「…婆ちゃん…。"ごめんなさい"……。」


無手の震えも、涙も止まらない…。



「"結衣と御呼びする事を、お許し下さい"…。」


!?急に、頭に言葉が入り込んで来た…!

この感覚、懐かしい…。"テレパシー"だ。


俺がゆっくり目を開けると、プラネタリウムの星々が目の前に小川のように集まり、右回りの渦になり、やがて青白く光輝く"火の玉"となった。


そして、その火の玉は少し俺に近づき、2mの地点で"婆ちゃんの姿"が現れ、そのまま、互いに両手を軽く広げ、抱き合ったんだ…。


「結衣……、"おかえりなさい"…。辛い思いをしたのに…、良く、頑張ったね…。」


…婆ちゃんの暖かさが、全身を包んでくる…。

暖かい…。手の震えが止まり、更に涙が溢れて来る…。


「婆ちゃん……。婆ちゃん、"ただいま"…。正直、何から話したら良いか分かんないけど…、先ず…聞かせて……。婆ちゃん、"婆ちゃんは何者なんだ"?春華の国王を3代目以降交互にしてたってのは聞いたけど…。」


俺はずっと婆ちゃんを抱き着いていたんだ…。


「……私はね、元々、形式上は一ノ宮家からの養子なんだけど、桜蓮おうれん様が血筋としての跡取りを残されなかったから、私の当時の父が一ノ宮に養子に行き、そこで生まれ育ったのが、私と妹で、"ローラ様がお年を召してきたが、国王跡取りがいない"、という理由で、私は養子に引き抜かれたの……。」


「でも、本当の目的は違った……。貴方の言う通り、ローラ様と交互に国王をしていたけど、それも表向きで、実際は、裏では"宮家は数字が小さくなる程遺伝子が優秀だから"、ローラ様の命令で、結衣が産まれるために、遺伝子の提供をしたの…。」


「でも、裏ではずっと……ローラ様と龍輝様がその身体を造られていたから、意味があるのか不思議だった…。でも、"私はローラ様の傀儡奴隷だから"、命令には逆らえないから、協力はせざるを得なかったんだけど、ローラ様が結月として、"私の孫となる子"に名前を付けた事で、"私は全てを悟ったわ"……。」


婆ちゃんは、改めて俺の目を見詰めて来た。


結陽ゆうひ結月ゆづきで、今の貴方を示しているのは、もう分かっていると思うけど……、"結衣の名前にも、意味が込められていた"のよ…。」


!?

「"結衣の意味"?……結ぶと衣……何だよ…?」


鼓動の高鳴りが早まる…。


…"考えたくない"…。



「……"結衣、先ずは息を吐いて、ゆっくり深呼吸をしなさい"…。いつも言っていたでしょ?」


優しいけど…、厳しい…懐かしい声…。


「はぁ……、すぅぅぅうううう…はぁぁぁぁぁーー…。…ごめん…、"落ち着いた"…。…聞く覚悟は出来たよ…。」


俺は軽く…でも、力強く婆ちゃんに頷いたんだ。



「結衣の意味…。それは、結衣全体を示した名前……。……"依代よりしろ"よ…。」



俺は目を見開き、声が出せないくらい驚いてしまったんだ…。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ