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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
第零章 知らない人

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8/35

勇者

何故こんな深夜に子供が、いや重要なのはそこじゃ無い。


衛兵を呼ばれたら…不味い。


目の前の危機に、眠りかかった脳細胞が全力で可動を開始する。


見た目は吊り目が目立つ金髪イケメンの幼体って感じだが、油断していたとはいえ、俺の事を転生者とこの歳で気づくなら、才能あるのか?…流石に無いな。何かカラクリがある筈だ。どうにかして情報収集を…


「どうしてそう思って?」

『僕のお父さんが言ってた特徴にそっくりだったからだ!』


そっくり?転生者って幼女多いのかよ。


「特徴とは?」

『赤髪で短髪、そして貴族の様な身なり!お前だろ』


待てよ、今の俺って髪って長髪じゃ。



...イリスに切られてたわ。

いつ誤解を解こうか。だが利用しない手はない。ならもう少し会話して(情報を引き抜いて)から正体を明かすか考えるか。ここは後手に回っていいだろう。


「お父さん?どんな方なのでしょうか」

『質問に答える義理は無いし、答えようとも思わない!俺と戦え』


明らかに焦っている。焦燥感、一体何があったんだ?流石にまだ情報が足りねぇ。それに一人称が、俺?急に態度が変わった?


「では、何を賭けますか?」

『何を?勿論、命だ』

「命?随分と、唆られない申し出ですね。本当に命を賭けるのですか?」

『か、賭ける。賭けるぞ!』

「本当に?」


凄んでみる。流石に、子供はなるべく殺したくない。死生観はまともでありたい。


『.......か、賭けません』

「よろしい。しかし、そちらの提案を全て飲まないのはどうかと思うので、模擬戦形式での一騎討ち、それなら受けましょう」

『戦えるなら何でもいい!早くやれ』


流石にこのまま断るのも目覚めが悪いしな、少し位餓鬼の遊戯に付き合ってやろう。

それにしても、何を焦ってるんだ?この餓鬼は


「この僕、マハト・オースティンが、貴様に決闘を申し込む!」


マジで?街中って考えたが、周辺に人はいねぇ。


「受理いたしました。名乗りは?」

「いい、君に勝って聞き出す」


よく吠えたな、ならばここは徒手空拳だ。

丁度、イリスを殺して得た魂の力で、どれ程強くなったのか試したかったんでな、いい実験体になってもらおう。



「それで?何処で闘うのですか?」

『此処でいいよ。決闘は一回きりだしね』

「なるほど、理解いたしました」


そんな文化があるのか。良い事を知った。


『武器は?』

「私は無しで構いませんよ」

『いや、仮にも淑女相手に自分だけ武器を持つのは、紳士として認められない。せめて、木刀だけでも持ってくれ』


この世界でも、訓練用の剣は木で作るんだな。まあ色々試せるし、やぶさかではないが。なら仕方ない。


「承知しました。では参りましょう」



戦う?模擬戦?俺はそんな事必要じゃなければするタチじゃない。何故?





        繧オ繧、繝溘Φ



「勝負、と行きましょう」

『ふんっ!はぁ!』



洗練された大人顔負けの剣技を、齢12程の少年が振るう。


なるほど、流派は俺の世界でいう西洋剣術に近いな。加えてフェンシングのような突き技も多様。突き技をメインとしてるなら、対人戦向けの流派か?

なら次に仕掛けるべきは


「随分と、攻撃的ですね?守りも疎かにしては行けませんよ」


すかさず3連撃を仕掛ける。受け流し、回避の練度確認。


『守りは弱いと思ったら!大間違いだ!』


マジか、単純な回避で全て避け切ったか。


回避の技術も高い。俺が仕掛けた剣撃を、回避し続けて対応している。


『いつまで受けに回っているつもりだ!卑怯者め!』

「卑怯とは、かなり侮辱されましたね。ならば」


衛兵なんかが来る前に、さっさと決めよう。


|武芸 神速・豪+居合い 明鏡止水《こんな技使えたったけ?》


"回避"を過信した人間《探索者》の死は早い。


『ガ"ッ"』

「一本、ですね」

『そん、な。こんな、あっさり?』


少女が放った神速の一撃は、丁寧に彼の剣だけを弾き飛ばした後、少年に剣先を向ける。


『こんなに努力しても、ダメなのか』

『どうしで!何故貴様の剣筋を避けれながっだ!見えすらしながっだ!』

「君が弱いからです。それ以外に理由はありません」

『弱い?弱がったら、何ざれてもいいのがよ!?があざんがごろされる理由になるのがよ!』


涙を垂らし、嗚咽を吐きながら泣き言を散らす。


「なる。強くなければ、人は護れない。人は死ぬ」

『お前らには、分がらないんだろうな!俺達、奪われるものえのぎもちなんで!!!』

「知っている。知っているからこそ、強くなくちゃいけないんだ」

『ずよいのがぞんなにいいのがよ!!』


反論しながら、感情のままに俺の胸ぐらを掴む。


「違う」

『ならなんだよ!!!』


































「"強くあれ" と君が人を助けたいなら、そうあればいい。そうすれば、自ずと()()は付いてくる」

『ぞれを、お前が!!言うの』

「それと、勘違いを正しておきましょう。私は、君の親の仇ではありません。今日ここに来た。一人の少女です、何なら証明いたしましょうか?」

『あ..え?』

「もっと早く気づいていたのに、話出さなくて申し訳ありません。ですが、今の話を吐き出させて少しでも楽になっていただければ幸いです」


言い切った少女は、少年の涙を布で拭き取った後この場を立ち去る様に歩き出した。


別に、意地悪で喋らせた訳じゃない。ただどこか誰かに似ていたから、少し背中を押してやりたくなった。そんな気まぐれだ。もっといい方法はあったんだろうけどな、俺には分からなかった。


『まっ、待って』

「...まだ何か?」

『貴方にとって、勇者とは何ですか?』

「...それを答えて何かあるのですか?」

『お、お願いします!答えてください!』


必死な顔で頼みこまれる。正直人による...というのが、自分の意見だ。たが、あえて自分が答えを出すなら...俺ならきっと答えるだろう。


「....勇者とは、人々が生み出した幻想です。守る護ると言いながら、秩序も、理想も、正義も、信念も、約束も、何も切り捨てられない愚図。勇者なんていない。いるとしたら、それは心がない化け物。それが私の答えです。では」


秩序も、理想も、正義も、信念も、約束も、苦手だ。


『あの!』

「...今度は何か?」



































『弟子にしてください!!!』


「は?」

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