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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
第一章

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30/35

寵愛

彼女の肉体が吹き飛ばされ、木に打ち付けられる。人を殴ったとは思えない音が鳴った。


『...咄嗟に両腕を挟み込んで受け流した...か。やるねぇ〜』


男は近づく、今の攻撃では殺しきれなかった事を理解しているからだ。


『俺が選ばれた理由が分かってきた。ありゃガンメタ貼らなきゃ厳しいよな』


治癒・改


木などの遮蔽物を利用しながら距離を取る。


まだか?もう三分は戦ってるぞ...ノア...さっさと助けろ。

服を捲って確かめたが、腕以外は大方無事...逆に言えば完璧な対応でこれだ。対応を間違えたら...死ぬ。もう時間は稼いだ。撤退を


『あーそれ駄目』

「何で、お前が」




|片腕をポッケに差し込み、狙い撃つ《立射片手射》。

|デザートイーグル50AE《全長269mm、全高149mm、重量2,053g 10インチモデル》の凶弾が、柴田の肩を貫いた。



















エイムが良すぎる。掠った。


『治癒をせる隙を与えず。超パワーでの近接インファイト。それがお前の弱点だろ?』

「言ってろ!」


殴りかかる動作を見せる。当然、相手は対応。掴みの構えだ。


『寸止っ』

ウィンド!(一節単風魔法)


相手が超人体質である事を考慮し、地面に打ち付けるように魔法を発動。自身の魔法を利用し近距離戦を拒否する。同時に糸を射出、物理法則を無視して男と逆方向へ伸びて行く。


...大方掴めた。コイツの正体、弱点も。


「何故銃を所持している。答えろ」

『手の内を晒す馬鹿が何処にいるんだ?』


警戒態勢コンバット・ハイのまま、会話を続ける。

視野を広く取り、増援を警戒しているようだ。ノア達との策もこれでは通用しない。


「あいつの錬金なら、銃の製作なんて造作もねぇ。それに、“釣れた”なんて言葉……あの時点(お喋り)で確信した。理由は分からねぇが──傲慢は、生きてる」


照準態勢アンバシーに変化する。隠す気なんてさらさら無い腕を伸ばす射撃の構え。それが、答えだ。



彼女は弾丸を死ぬ気で避け逃走する。彼は銃弾を命中させ、即死で無い場合は止めを刺す。。故に、勝負は一瞬。


「...十速」


―――銃声が轟いた























「光の隙間」


初撃をかわした時点で、俺の勝ちだ。


恐らくデザートイーグル?の最大射程は大体80m、それはアイツも知ってるだろう。

つまり俺が警戒すべきなのは移動しながらの射撃か。もしくは何らかのチートとの速度勝負。が、前者は視界を塞いで命中はまぐれを除いてほぼ0。それにアイツは筋肉馬鹿だが、ガリュウと違ってバランスが悪い。体重がありすぎても足は遅くなる。後者だって20倍で動く俺なんざそうそう捉えらんねぇ。


情報は集めた。最低限助けれる人は助けた。もう戦う必要なんてない。逃げる。


視界が塞がれても問題ねぇ。事前に糸は出しておいた...それを辿れば方向は分かる。"余程のチート"じゃなけりゃあ俺を捉えられない。



『...お喋りでそそかっしい奴だったな』


傭兵としての側面(冷き心)が、姿を現す。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



腕で咄嗟に庇ったが...何だこれ...障害物は無かった筈。離れねぇ。くっついたのか?何だこれ。


...まさか


光の隙間を解除する。


「...あ」


光を取り戻した視覚を取り戻した彼女が目撃したのは巨大な氷の壁。

腕が少しめり込んで、氷に接着している(凍着現象)


そうして今、徐々に皮膚へと氷が侵食していた。


周囲を見ればあの男が接近しているのを目撃出来た。予想通り、人の域を超えていない速さ。だが別に人間基準では早い方だろう。じきにこちらに来る。


凍着現象なら水などを使ってゆっくり溶かすべきだが、戦闘中にそんな事出来る訳が無い。それにチートが氷系の能力と判明した以上...範囲や条件、融通を分析し対処しなくてはならない。

やりたくないが一番手っ取り早い。そうだ...理性では分かっている。今はあの時と違って興奮状態でもなければ極めて冷静...故に"合理的"に判断しろ。


――そうしなければ、死ぬ



「見えざる...刃」


瞬間、鈍い痛み電気が走るような 、捻られるようなズキズキするような、刃物で裂かれるような、きつい靴で締め付けられるような、こむら返りのような痙攣を覚える。


苦痛を覚えながら自分から腕を切る....この喪失感にはいつまでも慣れない。


壁の生成範囲は...少なくとも視界内ほぼ全域。

まだ残っていた左腕の手袋の糸を使用、先端を三本の突起(グラップリングフック)をイメージ氷の壁を登頂を目指しつつ、登っている途中に治癒を唱える。


治癒・改


「再生..しない」


右腕が癒えなかったわけじゃない。

むしろ、右腕は完全に再生していた。問題はなかった。

問題なのは――肩の傷だ。

そこだけがどうしても癒えない。弾丸の影響か……俺の魔術が肉体を拒んでいるのか……分かっている。

かすかに残った記憶が告げていた。再生を阻害する類の魔術――それに、心当たりがある。


『「魔力の付与」』

「...クソ」

『魔力を付与された武器は、物理的な攻撃が無効な生物にもダメージが与えられる。負傷箇所を魔力で覆えばその傷は自然治癒でしか回復しない。だったか?』


確定だ。相手も隠す気が無い...やはりイスの関係者だろう。


「本来は儀式で使う...武器に付与なんて頭のおかしいやり方誰が思いつくんだよ」

『ああそう。さっさと降参しな』


詰み,,,今の俺だけじゃ絶対にコイツに勝ち目はねぇ。

糸を切って着地。銃口を向けれらている中、両手を上げた。


『いい判断だ』


チート持ち...チートとは精神性や信条に左右されるとノアから聞いたが、氷を作る能力?温度を下げる能力?いずれにしても、どうにも彼らしい...

冷酷そうに見えて、実際はよく喋る。"殺し"のスイッチを簡単に踏める。俺が持っていないものをこの男は持っている。


「殺さないのか?」

『別に、イスからの指示だ。可能な限り生け捕りにしろってな』


本当に...アイツはしつこい。しかもこっちの行動は筒抜けだ。


「...くどい」

『だろうな...だが言っとく――お前がイスを潰さない限り、平穏なんて来やしない』


この男から、平穏なんて言葉が出るのか?と直感的に感じた。何せ彼の動きは経験者の"ソレ"だ。人を躊躇なく殺し、日常会話の最中に銃口を突きつけられる男。

俺はそんな人物をイメージしていた。


「平穏、だと?」

『ああ、平穏ってのはいいもんだぜ?たとえ何もかも失っても――それが続けば、心は少しずつ満たされてく。人並みの幸せを感じながら死ねるってのも、案外悪くないんだぜ?』


人間性を示すように、自身の思想を誇示するように男は語る。

目の前の人間は理解不能の怪物ではなく、"人間"であると深く実感させられる。


『だからさ...俺の平穏の為に、犠牲になってくれよ』


――浅い

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