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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
プロローグ

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把握

「どんな願いも――叶える力」


自分の声が震えているのを感じる。ここに来ることを望んだ者がいるのなら。少なくとも"私"は違う。命を懸けてまで願うものなど、何一つない。

思考を続けている中でも、能力鑑定のために残された転生者達へ転生者の種類とその内訳が説明された。



主に3種類の異世界転生者がいるそうで、それぞれ


転移系転生者


転生系転生者


憑依系転生者


以上の3つがあるらしい。特徴としては。


転移系転生者

一番女神の寵愛(チート)を授かりやすいタイプ。一点特化の能力が多いらしい。


転生系転生者

いわゆる異世界転生モノのテンプレ?らしき死に方をしてきたらしい。女神の寵愛(チート)が強い物が多いらしいが、見た所一度死んだ事による恐怖で半分程度が錯乱していた。


憑依転生型転生者

ランダムにこの世界の住人の肉体を触媒とされて召喚された者達。女神の寵愛(チート)を得られる確率は上記の2つの間位。肉体に精神がかなり引っ張られるそう。肉体性能次第では大化けするらしい。体感だが、女性が多め。


......要するに、憑依型ってのは元の持ち主を殺したようなものだ。

どんな事情があるにせよ、気分のいい話じゃない。だが、変な気を起こせば殺される...なら何もしない事が最適解だろう...ただ黙って話を聞いて...周囲を観察するんだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



それ以外に分かっている事と言えば──

転生者同士で会話していると、出身世界の話がどうにも噛み合わないことが多い、という点だろうか。

噛み合っている会話もあったから一概には言えないだろうが、俺たちは皆それぞれ別々の世界からこの地に召喚されているらしい。


更にはっきりしている事は─俺たちの扱いが、かなり悪いという事。

"チート持ち"と言っても、ほとんどが現代の平和な世界で暮らしていた一般人。

しかもこの世界の貴族?は俺たちのことを“魔王討伐のサブプラン”程度にしか考えていない。

既に各国にはそれなりに整った戦力があるらしく、あくまで俺たちは“補欠”という扱いだそう。加えて、国同士も足並みは揃っていない。


「転移させてやるから、好きに国を襲え!」と、貴族のような格好をした男が、笑いながらそう言ったのを覚えている。


『次の方、どうぞ』


そんな事を考えると、列は進んで行き自分の番が来た。


金髪の女から水晶に触れろと指示される。


『おや、貴方は女神の寵愛(チート)は無しですか。残念ですね』


チート...詳しくないがまあ大体ニュアンスで分かる...が、無いのか...


『次は私の番らしくてね。どいてもらって構わないかな?』


先程の青年だ。

……少女? いや、小さい。

確か身長は百八十近くはあったはずだ。

そんなに低くない、はずなのに。


「あっ」


声が高い。空気を震わせる音が、"俺"のものじゃない。

反射的に自分の体に触れる。


――結果は一つ


...俺、幼女になってる。


今まで何で気づかなかった?

体感として身長は140程度、燃えるような赤髪に、赤みががった眼。

いやそれよりも...恐らくフィジカルは前世の俺未満という方が重要だ。とゆうかまともに動ける気がしない。かなり殺伐とした世界でこの肉体はかなり不利。

そして違和感の正体は幼女の肉体による、精神の退行。これは意識してた方がいい。


記憶は...一般常識や知識面は余り問題は無い。問題は俺個人の交友関係や人格の記憶だ。

殆ど頭にないどころか、深く思い出そうとすると頭が痛くなる...他にも多少忘れている部分はあるんだろうが、今の俺には分からない。


『ですが、かなり魔力量は高い様子、褒められる所はそれくらいでしょうか』

『何止まってるんだ!さっさと退け!』


...さらに後ろの大学生の男にド正論を言われた為、魔法陣に向かう。


見た所、魔法陣に乗って数秒後には姿が消える仕組みらしい。

周囲の人々が口々に「瞬間移動」や「転移魔法」と言っているのが聞こえる。

恐らく言葉通りだろう。


魔法陣に立てば、瞬間...視界が暗転した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――











順番に魔法陣の上へと立たされ、俺の番になると――瞬間、視界が歪んだ。

どうやら本当に瞬間移動されたらしい。

だが、転移先は……人気のない夜の森。場所の選定にしてはあまりにも不親切だ。



『ギイア゛ア゛ア゛ア゛ア゛』


突如、2匹の鳥類が鳴き声を発しながら彼女に襲い掛かる。


「詠唱省略...見えざる刃」


『ア゛ア゛ア....ア』


「上手く行ったな」


対象の頸部に対して、正確に見えざる刃で切り付ける事に成功する。正直な所...外れていたらこの体では反応出来ずに死んでいただろう。



「...まずい」


改めて実感する。自分自身の肉体を再確認したら感じる。あらゆる分野での貧弱性。魔力だけは高いらしいが、焼石に水だろう。

前世の記憶経由で前世で使っていた魔術を三つ程覚えているが、この肉体ではお粗末。

野生動物《野獣》だったから良かったものの、女神の寵愛(チート)に相手に通じる訳が無い、ここままじゃすぐ死ぬ...そんな事が起きない為にも、今ある手札を上手く使い回す事が重要だ。それになるべく人は殺したくない。




他にももう遅いかもしれないが、少しでもリスクを減らす為に夜営の準備を行う。

火を焚き、最低限の動物避けにする。動物なら火は怖いはずだ。




薪を魔術で割りながらこれからの事を考える。

記憶喪失の限り、使える魔術はそれぞれ...


見えざる刃

文字通り見えない斬撃を生成する魔術。本来ならもっと強い威力を出せたらしい?が、今の俺には無理だ。


光の隙間

一定範囲内の空間に光を無くす魔術。要は何も見えなくなる魔術だ。一応やろうと思えば結構な範囲を巻き込めるが、消費魔力がデカい上に対象は自分含め範囲内の全員。


霊視

見えない物を朧げなオーラの様にして見る低燃費な魔術。


後一つあるが...これはなしだな。リスクがデカすぎる。


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