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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
第零章 知らない人

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超人

挑戦的集中《FLOW》、人間がそのときしていることに完全にのめり込み、精力的に集中している状態。不安と退屈がなく、かといってリラックスしすぎている状態ではいけない程良い緊張とリラックスが共存した状態。

個人により特徴が異なる為、一概には言えないがこのような現象が起こりうると言われている。



時間感覚が歪み、自身の動きが早く、相手とボールが遅く感じた。

頭の中から勝手に数式が浮かんできた。

今なら何でも出来る気がした。

考えるより先に体が勝手に動いた。

神様、霊的な存在が目の前に現れた。


上記のように、挑戦的集中《FLOW》の状態は個人によって異なっていて、参考に出来るものではない。


しかし、挑戦的集中《FLOW》を超えた先に至るモノがあるとも言われている。

一流のアスリートでも生涯に数回しか経験できないと言われている究極の状態、超人ゾーン


人としての可能性の果て、それをどうやって?リラックスもしていなければ精神は乱れ続けている。なのにどうして彼女は至った?生存欲求、あるいは火事場の馬鹿力?それも正解だが、あえてもう一つ理由を挙げるとすれば、



――彼らの世界にはいるじゃないか



―――霊的な存在が



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




満月が地に落ちたと共に夜明けを迎え、日が登った。



双方、構える。


片や素早く少し乱れた構えを取り、体を震わせる。片や一歩遅れてやや丁寧な構えを取る。



 自身の肉体《機体》での最高速度でもあった『十速《十倍速》』を対応されたイスは、ソレでも戦闘の軸には格闘戦を選んだ。


理由は三つ


一つ、肝心の権能も物体を生成する質量に重量に比例して魔力が消費される為、牙竜との戦いで魔力を削られた今、大規模な技はあまり使いたくない。


二つ、イリスとの戦いを見た自分は彼女の癖と手の内の大半を理解しているから。


三つ


興味深い、素晴らしい。もっと間近で見たい...これが人の可能性!


他者も自身の知識欲の為に使い潰す|精神性、人間より上の存在であるが故の慢心《傲慢》。



 上記の3つにより、イス(傲慢)は格闘戦を選択した。



錬金フラメル


顔を喜色に歪ませたイス(傲慢)が、権能を使用する。


 メリケンサックのように拳の形状を変化させる。無論、形が変わるだけではない。

 精神空白装置《文字通り記憶を消す装置》、イスの大いなる種族が使用するAF(アーティファクト)を自身の権能で生成した。

 これにより、イス(傲慢)の拳は一撃必殺へと昇華する。



権能の発動とほぼ同時、赤髪が動き出す。


武道:八極拳 活歩


――初見殺し


標的との間合いを一瞬で詰め、水月みぞおちに肘打ちを打たれるがかわす。




武道:八極拳 鎖歩+見えざる刃


すかさず足捌きで体勢を崩しながら不可視の一撃を左胸に打ち込まれた。




先程から変化しているこの速度、


おかしい所なんていくらでもあっのだ。いくら超人ゾーンでも己の『十速《肉体十倍速》』を対応出来る訳がない。


つまり、目の前の存在は



『十速』


超人ゾーン状態による無法的な模倣。それでいて染み込んでいるように使う誰かの技術、さらには自分の動きを模倣し、本能的レベルで武術を使い分けて戦っている...そんな相手であってもイス(傲慢)



それが貴方の超人ゾーンですが、面白い!もっと見ていたい。いいよね!だって神様《私》はこんなにも




――ヒトを愛しているのだから!



傲慢《謙虚》であり続けた。



へこんだ部位を左手で優しく撫でながら回しながら権能を使用する。


錬金フラメル


生成したのは銃器、ただし今までと違う要素が一つ存在する。


人智を超えた形状、先程から使用していたアサルトライフル(AK47)拳銃リボルバーなどではなく、手榴弾と同時に"何か"を生成した。


名を電撃銃、彼らの種族が使う数少ない武器である。

速度は拳銃程度、それでいて基礎射程は100m程、人間に当たれば感電の後気絶は免れない。


『百丁!受けられますか!?』


遮蔽物をイス(傲慢)との間に作りつつ、距離を詰めてくる赤髪。しかし、そんな工夫も意味はなさず遮蔽物《木々》を焼き尽くす勢いで電撃が射出された。


人間の反応速度の平均速度、約0.2秒。現在赤髪の反応速度、0.114秒。


10m先の目標に拳銃の弾丸が到達する時間、0.017秒。一発の銃弾を回避するのだって至難の技(無理)、故にそれを実行に移せた彼女でもこの場全ての電撃を避ける事は不可能。



――しかしそれは、通常時の話...



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



気分がいい。気持ちがいい。気持ちいい。楽しい。溢れてくるんだ。体がどう動けばいいか。考えるよりも先に体が、体より先に心が、当たり前かのように動き出す。


今ならなんでも出来る気がする。いや、出来る。



大量の電撃が閃光のように光を撒き散らしながら加速する。その速度は



――超音速へと至る




「命中一発、ですか。やりますね!」


ああ、最高だぜ!!超人ゾーンってのは!

『身体強化!《ストレングス》』


0.114÷(十速《10》×身体強化《2》)=?


ほぼ全ての電撃を木々などの遮蔽物を利用して回避し、イス(傲慢)との距離を詰める。



武道:総合格闘技パンクラチオン


相手の重心を崩す。


見えざる刃・アサルト


すかさず無詠唱魔術で追撃...ああ、やっぱそういう仕組みか。これに関しちゃもうブラフやミスリードを警戒する必要はないな。ってん?


「おいおい震えてやがんのかぁ?慌てんなよ....ちゃんとお前も使ってやるからさ」



魔剣を優しく愛でる。光が灯ってない玉虫色の瞳でイス(傲慢)を見据えながら、剣から手、手から肉体に震えが広がっている。震えている理由は恐れでも、殺意でもない。


自分の可能性を試したいだけの、ただの子供だった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


まさか彼の技(身体強化)までも模倣するとは思いませんでした!いいですねぇ彼女、ゾーンと言っても、普通はここまで無法な事は出来ない筈。彼女の身に何が怒ってるのか、興味が尽ない。もっと知りたい理解したい!


緊縛プライドロック!+錬金フラメル!」


動きを止め、ブレードではなく日本刀を生成。


武芸 神速・豪+居合い 明鏡止水!!


記憶の限りの最強の剣撃を使用する。


『記憶を流してくれてありがとよ!!』


折れた魔剣で防がれた。

彼女の身体能力が向上し、同じ高速戦闘の土俵に立ったとしても二つだけ、イス(傲慢)に絶対的に不利な要素が存在する。


一つはリーチの差、日本には剣道三倍段という言葉がある通り、リーチの差は大きなハンデだが、これに関しては現在約三倍の技量で攻められているので大きな差はない。問題は二つ目


錬金フラメルイス(傲慢)の演算能力《高INT》でさらに凶悪な性能にしている事。少し前の戦闘機などが良い例だ。


錬金フラメルには本来、生成した瞬間から最高速度を出す事は無い。では何故そんな事が出来たのか


――時間加速方程式、時間を超越したイスの大いなる種族が持つ方程式。それを物質の構成に演算が必要だった錬金フラメルに取り込んだらどうなるか...人間より圧倒的に優秀な頭脳を用いればどうなるか。


錬金フラメル

すかさず空いた左手《精神空白装置》を赤髪の左頬に打ち込む


『甘めぇな!やっぱその体で戦い慣れてないんだろ!?』


防がれた...ですがこの状況、最大限利用させてもらいます。



イス(傲慢)が空いた手で彼女の左腕を掴み上げ、固定する。


『さぁ?どうでしょう』

魅せましょう!我らの叡智を!


「クソッ!」


自分の腕ごと不可視の刃を切り裂いて脱出されるが、もう遅い。

苦悶に満ちた顔で少しでも距離を取り安全な場所を探そうと足掻いているが、もう遅い。

他の人間を気にかけて周囲に声をかけようが、もう遅い。

窪みに飛び込んでも、もう遅い。


戦いを楽しむという彼女らしくない行為、その一種の慢心が、油断が、傲慢さが



錬金フラメル



――絶望に繋がった


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


地面は全て灰に覆われ、緑が生い茂っていた森は今では黒く焼け焦げた木々の残骸だけが残っている。風が吹くたび灰が宙を舞い、まるで雪のように降り積もる。土はまだ生温かく、ところどころ炭化した植物が残っていた。それでいて生命の気配はなく、ただ静けさだけがこの空間を支配していた。



ゾーンとは自覚して入るものではない。誰かの言葉が脳裏によぎる。

あんなのはゾーンではなかった。他の事に考える思考が多すぎた時点で、集中なんて極まってなかった。

何が悪かったんだろうか、油断?慢心?自分が最強だとでも思っていたのか?

まあ、どうせ俺は死んだんだし、結局何を考えても仕方ない。


それでも、一つだけ疑問に残ってしまう。たった一つの当たり前に出る疑問。



思考が止まらない...人が死んだら、脳が止まったら人は思考出来ないのに、何故




何故俺は思考を続けている?
















              テンシガ ミエル



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「少し派手にやってしまいましたが、手早く目的を果たしましょうか」


戦場を立ち去ろうとするイス、しかしまだ敵は残っている。



『イア』


「まだ生きて?精神の統合が..止まった?それに、貴方のそれは」



服や四肢が一部炭化しながらも、むしろ先程より滾っている殺意。一瞬にして肉体を再生しながら、一歩ずつゆっくりイスに近づいてくる。


「...散々化け物など何だの言われましたが、私には今の貴方の方がバケモノに見えますよ...不死身ですか貴方」


上手く再生出来なかったのか、瞳に血の色素が移ったのか、目の瞳孔が赤く変色し、血走った目に変化している。その姿は何処か不気味だった。


それでいて舌を出し表情を歪めている彼女は、とてもじゃないが幼女のしていい顔ではない。


先程よりも強い殺意がこの空間を支配する。



――次回、決着

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