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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
第零章 知らない人

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傲慢

戦闘不能で済んでいるのが奇跡か、はたまたもう死んでいるのか、牙竜はゴミのように傲慢に投げ捨てられた。


『四速』


「見えざ」

早い、早すぎる。倍速ってレベルじゃない。距離を詰められたら、今の俺じゃ勝負にならない。


100m程はあっただろうか、その距離を、二秒で詰められた。


咄嗟に回避体勢をとる。


そんな彼女の予想とは違って傲慢が選んだ選択。

フラッシュバン。別名、スタン・グレネードの投擲。


ミスっ


一瞬にして、戦場は轟音と閃光に支配される。


通常であれば効果は数秒、通常は密室で使えば、思考、聴覚、平衡感覚が奪われるのみだが、"コレ"そんな優しいものではない。殺傷用に改造が加えられていた。



記憶が無くなっても対処は心が覚えていたのか、咄嗟に両目を閉じ口を開けた為、視力を完全に失う事は防ぐ。咄嗟に行ったにしては、かなり最適解に近い回答、が



それでも数秒並行感覚を失うには十分だった。



今俺は立っているのか?どうなって...いや、落ち着け。

今はヒルトを信じるしかない。どうせ俺はしばらくまともに動けない。変に暴れるだけ損だ...


頼む、お願いだ。何とかしてくれ...!俺一人じゃコイツの相手は無理なんだよ!


縋るように頼み込む、牙竜がやられたのがヤバすぎる!正面からイス(傲慢)とやり合えるのはアイツしかいなかったのに!直したいがこれじゃあ無理だ。それに牙竜が気絶か死んでいるならその時点で俺達の負けが確定する。




ヒルトを掴んでいた腕から風を感じる。どうやら、俺をしっかり回収してくれたらしい。流石だ。


徐々に視界が晴れてきた。周囲は森の中?逃げたのか?ヒルト、状況は?


『うるさイ!早く後ろの何とかしテ!来るわヨ!』


冗談キツイぜ


「さあ!もっと私に可能性を見せてください!」


様々な銃火器を錬金フラメルで再構築し、自身の仮初の肉体に備つけたイスが、彼女達の真後ろに姿を現した。

重装備でありながら速度が遅いなんて事はなく、むしろ傾斜や遮蔽物がある山道の中であっても、徐々に距離を詰められていた。


まだ光の隙間で...いや、俺が詠唱に何秒かかる?違うな


迷ってる時間は無い。詠唱が終わるまで俺が生き残る...その一点にALL INだ


俺は死ぬ気でしがみつく、銃弾は何とかしろ。ヒルト

『無理難題ネ、いいワ』


示し合わせたように全員同時に動き出す。


錬金フラメル


ブースターの点火音が聞こえた瞬間、イス(傲慢)の高度は上昇し、全ての照準が牙を剥く。


当然同時に二人も動く、一刻でも早く詠唱を終わらせる為真っ先に口を動く赤髪、次いで一発でも多くの銃弾をかわす為に、旋回しつつ速度を上げるヒルト。


三者三様での駆け引きの終幕は、全員が思っているより早く到来した。




幸運、運命、未来、そんな不確実な"モノ"は、人に平等に付き纏う。




――致命的失敗



『赤髪!』


どんなに最適解を打っても


『もしかして』


人が転落するのは


「意識が...もう」


一瞬である。


『ああ、貴方は』


ひどくつまらなそうな顔をしたイス(傲慢)が、俺の最後に見た景色だった。


























意識が覚醒する。状況は分からないが、どうやら木々がクッションとなって俺は落下死を免れたらしい。

マハトは近くにいたが、フリートとヒルトは?牙竜は?イスはどうなった?みんなは無事なのか?


「ウ"」

立ち上がろうとしたが、激痛が走る。恐らく足の骨が折れているんだろう。視界もおかしい。


それでも


「行かな...きゃ」






『おはようございます』

聞き覚えのある声?...誰だ?お前


いつの間にか正面に立っていた女の顔は酷く整っていて、神秘的な程美しい。


『今から一緒に世界を救っていただきます。申し訳ありませんが拒否権はありません』

再度姿が変わる。先ほどより余裕のなさそうなトーンだ。


何言ってんだ?邪魔だどけ。


『お願いです...助けてください。貴方しかいないんです』

深く頭を下げて懇願する女。


理解した。コレは前世の俺の記憶(走馬灯)だ。

...どうでもいい..どけ


そのまま無視して先に進もうとする、しかしそんな思考とは違い、歩みが再開される事は無かった。


『あの高度からでも生きたんですね』

魔剣ヒルトを持ったイスが姿を現した。


「...よう」


何だ、お前だったのか。


「ヒルトを離せ」

『分かりました』


あっさり投げ渡してきた。何が狙いだ?





「...お前が壊《殺》したのか?」


返答が無い...刀身も折れている...きっとフリートとヒルトは死んだのだろう。脳が理解を拒否する。


『はい』


そうかぁ...そうだよな。痛いなぁ、苦しいなぁ...心も体も...辛いなぁ。


「見えざる刃」


当然回避される。こんな搾りカスで倒せていたらとっくに倒せているのだから当たり前だ。



反撃か、自分に銃口を向けられる。

まだだ、動け俺《私》の体、一発なら...一発なら避ける。避けてみせる。


照準が牙を剥く、勝負は一瞬だ。何処に来る?俺の何処に当てる気だ?



いや...違う...コイツの狙いは...!




――銃声が鳴る





『貴方なら避けれた筈です。何故そんな事を?』


バカが...俺が動けなくなったら終わりなんだぞ?

そんな事を考えていても、現実は変わらない。


俺はマハトを庇って左腕を撃ち抜かれた。もう既にボロボロだったからか、一部骨が見えている。


「...弟子を守るのに理由は必要か?」

『彼の何が良いのか...私にはさっぱり分かりません』

「...お前がマハトの価値を決めんじゃねぇ」

『貴方が言いますか?それ』


頭を踏みつけられる。


『貴方を殺そうとしたかと思えば!貴方に即座に絆され、挙句の果てには修行に文句を!誰に何の価値を感じるんですか?答えてくださいよ』


まだ終わらない...終われない。


「治ッ」

「ガ"ッ"」

『させません』


舌を切断され、抵抗する力を失わされた。


答えろって言ったのはお前だろうが,,,もう詠唱は出来ない。喉の筋肉が収縮し、じきに窒息する...ああ、終わりか。



彼女の心臓はイスのブレードに貫かれた。。






――もうやめろ


『『君には生きる理由がある』』

うるさい


『『私達は武闘家だ。人が人を傷つけなさせない為に、私達は強くあるのだ』』

黙れ。


『『人は想いを次に託す、そうやって皆命を繋ぐのさ』』


知らねぇんだよテメェらの事は、記憶がねぇんだよ。


『『命を賭けても、息子を守ってくれ』』


何の約束も守れずに、終わるのか?でも、守りながら戦うなんて不可能だ。


『『貴方が生きていればそれでいい』』


そうだ、生きていれば勝ちだ。死んでなきゃ負けじゃない。


『『君は何を託したのかな?まだ君は、託されたままだ』』


駄目だ。自分だけじゃない。より多くの人を救うべきだろ。


『閾ェ蛻�□縺代〒繧ら函縺肴ョ九l』


『諤晁�ェ伜ー�』


....やめだ。

















『はぁ、つまらない終わりでしたね。ではさっさと(マハト)の肉体を...』

そう言い切る前に


『ッ!』


不可視の刃がイスの肉体を捉える。


当然振り返る。無論、刃が飛んで来たという事は


「.....」


折れたヒルト(魔剣)を構えた赤髪がそこにいた。


『無詠唱魔術で回復しましたか...!素晴らしい!』


歓喜に体を震わせるイス(傲慢)は過剰な程加速し、ブレードで赤髪を切りつける。

先程の彼女ならこれで決まっていただろう。


『五速』


既視感を感じる。前の俺はここに居たんだろう...きっと自分から()()に入れた。


『六速』


不要な音が聞こえなくなり、頭で考えるより前に体が動く。


『七速』


視界が歪み、時間がゆっくりに感じて自己意識が希薄になっていく。


『八速』


感情が消え、高揚感だけが残る。人を守ろうとする想いも、敵討ちの想いも、消えていく。あるのはただの殺意だ。


『九速』


...フリートも、ヒルトも、牙竜も、マハトも、関係ない。


『十速』


俺は俺のエゴでお前をブチ殺す。


「...来い」


『やはり貴方は至っていたんですか!超集中ゾーンに!』


双方、構える。


――ROUND 2

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