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転生探索者のすべき事  作者: 寿司
第零章 知らない人

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暴力

『マッスル!!』

『!?』


この大男催眠されてたんじゃ...なんで動いて、いや、それより俺顔面目掛けて打ったよな?見えざる刃。それなのに


『無事ですかな?』



どうして無傷なんだ?眼球だぞ?硬い硬くないの問題じゃない。

それにここは空中、生身の肉体がやってこれる場所じゃない。いや後でいいなこれ。


「傲慢を!蹴り飛ばして!」


まだ無事な左手を使って傲慢を指差す。これで意図を汲んでくれるはずだ。


彼が何を考えているかは分からない。しかし、先制攻撃した俺をわざわざ助けてくれるという事は、敵ではないんだろう...つうかアイツの味方をする理由がねぇだろ。

なら頼る。使えるものは全部使え、嬉しい誤算も全部だ。


身体強化ストレングス。マッスル!』


間抜けな掛け声から出される超人的な威力。物理法則を半ば無視したその一撃は、対象を粉砕するには十分だったらしい。


咄嗟に反応したのだろう。傲慢は金属の壁を作り出し、巨漢の攻撃に備えた。


備えが、知力が、権能が、その全てが意味をなさず、傲慢は地面に激突した。


今のうちにに詠唱を始める。ヒルトは急所を外してくれたっぽいが、色々被弾しすぎたな。


「治癒《HEALING》・改」


治癒・改、前世の俺が治癒の欠点であった即効性と、肉体の再生を改善した魔術だったか?失った血液は戻らないが、これで少しはマシになったろ。しかも埋まっていた弾丸を勝手に摘出してくれるオマケつき、どうやったらこんなの作ろうと思ったんだ?前世の俺


といっても、使ってみた感触として、魔力がごっそり持ってかれた感覚を覚えたのみ。多用は出来ないな。


2人が地面へ降下する。気を使ってくれたのか、速度の割には自分に衝撃は無かった。

地上に無事帰ってこれたが、色々と考えたい事で多い....が、そうもいかないか。



衝撃でクレーターと化した中心地から、人影が現れた。


『....してやられましたね。確かに私は傲慢すぎたのかもしれません。知恵を求めるなら、謙虚であるべきでした。ですが、私は知りたいのです。人間の可能性の果てを』


うわ言のように、イスは欲望を噴出する。人はどんなに進化しようとも、人は人なのだ。怒るし、泣くし、笑う。時を超えたイスでも、"そこ"は変わらない。



『始まる前に情報共有を』

「何ですか?」

『彼/彼女は錬金フラメルと催眠は同時に使用する事は出来ないであります。それでいて物理攻撃では倒せませんでした。ご留意を』


...いい情報だが、俺はもうボロボロ。やりあうにしても、この牙竜ガリュウ頼りだぞ。...ヒルト、可能なら援護。


『三速 』


神速で加速した上で、サイバーパンクなどに存在しているブレードを錬金フラメルし、牙竜に襲いかかった。


『身体強化!《ストレングス》』


対して牙竜、彼が選択したのは"受け"、両腕をボクシングのガードのような体勢に移行させ、ブレードを受ける構えをとる。普通ならただ両断されるだけの光景。


『素晴らしい!』


『そのような鈍《NO マッスル》で!』

ブレードが粉砕され、傲慢の体勢が崩れる。


『折れると!思うな!』

反撃の拳が、傲慢の顔面に打ち込まれる。


錬金フラメル

吹き飛ばされながも電気ライフルを生成し、牙竜に打ち込む。


『マッスルが足りませんなぁ!』

ノーガードで全て受け、一切怯む事なく距離を詰める。


『フンッ!』

錬金フラメル


金属壁を生成し地面と接合、即興で強固な壁を作るが、拳一つで粉砕される。

圧倒的な暴、暴力そのものがそこにいた。

何の抵抗も許さず、全てを壊す様は、まさに筋肉《理不尽》の化身。だが、決定打に欠ける。


破壊された側から肉体を権能《錬金》で修復される。


『四速』


錬金フラメル


「見えざる刃 アサルト


やはり刃を過剰気味に防がれた。警戒しているのか?斬撃なんて余裕で修復できるだろ?




...いや、読めてきたぞ。アイツの弱点、殺し方を

俺が打った見えざる刃、一瞬動きを止めた。

どんな時に?SPIRITUAL(霊視)で見た時だ...つまり...俺の斬撃が怖いんだろ?

「ヒルト!牙竜!!ソイツの動きを止めてくれ!」


『了』 『分かったワ!』


どんな奴かなんて分からないし、動機もイマイチ掴みきれねぇ。だが、手加減して勝てる相手でもねぇ!


ヒルトと牙竜が、連携をしつつ挟撃を行う。しかし、その攻防は四速を発動したイス(傲慢)の方がやや優勢か。



二人の挟撃を、たった一人で防ぐ...ん?

ただ速度が早くなってる訳じゃないのか?動きの倍速あたりか?


『烈牙!』


『ッ!』


イス(傲慢)の打撃が牙竜の腹部に突き刺さる。ここで初めて、彼に明確なダメージが入った。


打撃?内部破壊技か?



『筋肉支配《ウルトラ☆マッスル》』


ただの組付きじゃねぇか!ナイスだ!


「見えざる刃 ランス


錬金フラメル



――クロスカウンター



























「グボァ...見えざる刃ァ!」


『その考えは正解ですよ』


痛みで怯まねぇのは分かってんだろ!いい加減学習しやがれ!物理は効かないが俺の魔術は効くんだろ!?なら被弾しようが関係ねぇ!死ぬまで打ちまくる!


錬金フラメル 四速』

自身が生成した金属を利用して生成した短槍を放棄し、神速で傲慢は脱出に成功する。俺らと距離が生まれた。


「牙竜って言ったか?"コレ"をくれてやる!」

その時俺が射出したのは


『む?なるほど!感謝いたします!』

牙竜が"受けた"それ"、この場で彼が最も欲していたモノ。


――攻撃手段はコレで十分だろ



ヒルト、コレを鍔に付けるから、隙を見つけたら突っ込め。


『エェ、分かったわ』


「牙竜、連携して仕掛けるぞ」


『了』


お前ら最高だ。こっからは俺も最前線に出る。三対一で確実に潰す。神殺しだ。


「俺は援護に回る。正面は任せたぞ」


頷きで返す牙竜。


『作戦会議は終わったかな?実験動物モルモット諸君』


随分余裕そうだな顔しやがって、覚悟しろよ。

「ああ|、終わりだよ。お前を終わらせる準備はな!《詠唱省略》見えざる刃!」


『マッスル!』


俺達には明確なチームとしての強みがある。


錬金フラメル 四速』

不可視に慣れ始めたか、回避する。


スピードマッスラー(瞬間速度増加魔法)!』

「見えざる刃・アサルト!牙竜!頭部を狙え!」

『了!』

詠唱と同時に牙竜がイスに向けて駆け出す。


『中々やりずらいですね』

不可視の刃を察知したイス(傲慢)が、牙竜を対角線に引き込むように立ち回る。



しかし、そんな思惑を無視し、牙竜は与えられた不可視の刃をイス(傲慢)に振るう。そんな事をすれば自ずと刃が牙竜に命中する。しかし、


『かゆいであります!』

圧倒的フィジカルを持った牙竜には、不可視の刃なぞ、薄皮すら切る事すら叶わない。


同士討ちなんて考えなくて良い、それがこのチームの強みだ。


更にダメ押しだ。

VOID LIGHT(光の隙間)


月明かりすら消え、世界は暗黒に包まれた。



SPIRITUAL(霊視)

俺が霊視で視ているのは、あくまで霊的な物、つまりオカルトチックなモノだ。


つまり、コレ(霊視)に相手が反応を示しているなら


虚空《VOID》じゃ俺を止められない!


「見えざる刃・トラップ

不可視の刃を生成するが、射出は行わない。あくまで生成するだけだ。それを周囲に撒き散らす!



『酷いですねぇ?こんな寄ってたかってなんて...』


わざとらしい猫撫で声だ。キモい。

戯言を聞き流しつつ範囲内を走り回って"罠"を設置する。


準備はいいな。VOID LIGHT(光の隙間)



――解除


『マッスル!』


最初に動いたのは牙竜、周囲に点在する凶器を意にも留めず、拳を振るう。


錬金フラメル


対してイス(傲慢)、彼女は持ち前の権能を派手に扱い、巨大な金属の生成物を空中に生成した。その質量は、サバト城塞都市全土を凌駕する。


『ふふ、錬金フラメル・豪って所ですかね?』

「何でもありかよ!?」

『同僚が質量攻撃はロマン...と言っておりしたので...』


会話になってないしお前の同僚頭おかしいぞふざけんな!



空中から降り注ぐは、星の息吹。満月が覆われ、暗闇が再度生まれた。


『壮観でありますなぁ』


「何呑気な事言ってんだよ。いいからさっさと」


拳を構える牙竜、もしかしてあれを拳で破壊する気なのか?


「まさかとは思うが、ヤル気か?」

『そのまさかであります。ここはお任せを』

自信満々、何の憂いもないと言う心情を顔で表現される。


「....信じるぞ」

『感謝を』


コイツは無理な事は無理と言うクチだといいが、俺は牙竜を信じたんだ。最後まで信じる。


―牙竜が詠唱を始める


『偉大なる主よ...我らはあなたに歓呼し、歌い、踊っている』

『正に我らの救い主であり救世主』

『偉大なる主よ、命の水を与えてください』


敢えて言うなら聖歌...それに等しい信仰の表現...信仰を持った詠唱で


『龍神流行禍』


――拳が権能を貫いた



『やはり人間の可能性は無限大だ!』


笑いながら叫んだイス(傲慢)の前に、暴の化身が姿を現す。


しかし、彼の拳ではイスをいくら殴っても意味が無い。この大一番で、イスは判断を間違えた。


マッスル!(見えざる刃)


攻撃手段なんて無いと、慢心した。


『驚きました。それでも、まだ』


それでも決着には至らない。


「いいや、終わりだ」


ヒルトに騎乗した赤髪が、遅れて姿を現す。


ケリをつけるッ!(詠唱省略) 見えざる刃!」


設置した見えざる刃を全てイス(傲慢)に向けて使用する。


―――これで"終わり"だ

































「ハァ、ハァ、ハァ」

これで終わった筈だ。アイツは死んだんだ。






















『少々予想外でしたよ。貴方達モルモットがここまで強いなんて』


決して無傷では無いが、全員の総攻撃を受けても尚イスは笑みを貼り付けながら立っている。


...何で...何でまだ!


いや取り乱すな...いける、殺せる。確実に俺の刃は届いている。この三人(俺達)なら、殺せる。踏ん張れば、まだ...



時刻は深夜、立地は平地。

サバト城塞都市付近で、三人と一つの魔剣が向かい合う。


『本来我らは戦闘を好む種族ではないのですが、流石に少し感化されてしまってね。つい使ってしまいました』


独り言のようにうわ言を呟く。


『なので、私も捨てる事にしました。二兎追う者は一兎も得ずなんて言葉があったくらいですから。私は求めすぎてしまったのでしょう』



――満月が地平線に沈む


『生け捕りは、諦める事にします』



何だ?何故俺は恐怖を感じてる?

「お前ら警戒し..」


イス(傲慢)と牙竜の姿が消えた。



数秒程して、轟音が響く。


これは...ソニックブーム...まさか?



サバトを何故、たった一人で二日以内に攻略出来たのか。思えば不思議だったんだ。

そういう事...だったのか...恐らくこの轟音から考えるに、俺が考えられる最悪は


赤髪の背後に爆炎が轟く、確認出来た人影は、二つ。もう一つの影を引きずって姿を現すは



――イス(傲慢)が戦闘機の残骸を背後に据えて、姿を現した

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