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閑話1◆北への備え、男たちの買い物奮闘記!

交易祭が終わり、市場の喧騒も落ち着き始めた頃、リョウは次なる目的地である北の国へと想いを馳せていた。

「よし、北の国へ行く前に、いくつか準備をしないとな!」

リョウがそう言うと、リオンが腕を組み、ガウルが首を傾げた。

「準備!?何か食料でも仕入れるのか、リョウ!」

リョウは首を横に振る。


「いや、食料も大事だけど、今回はそれ以外の買い物だ。特に、俺とガウルは、北の寒さに耐えられるような服や靴が必要だろ?」

リオンは薄い笑みを浮かべた。

「確かに、この辺りの軽装では凍え死ぬだろうな。俺は毛皮があるから大丈夫だが、足元は確かに問題だ。」

ガウルは己の薄着を見下ろし、

「うぐ、そういや俺、こんな格好で来たんだった…!」

と今更ながら寒さに震える仕草を見せた。


「よし、じゃあ早速行くか!男三人で、派手に買い物でもするぞ!」

リョウの言葉に、ガウルは「おう!任せとけ!」と意気揚々。

リオンもどこか楽しそうな表情で頷き、男三人組は街の目抜き通りへと繰り出した。




最初に訪れたのは、天井まで届くほど高く積まれた布地や、雑然とハンガーにかかった衣類が所狭しと並ぶ、巨大な衣料品店だった。

一歩足を踏み入れれば、複雑に入り組んだ通路と、どこまでも続くかのような試着室の列に、まるで迷宮に迷い込んだかのような錯覚を覚える。

「うおお!すげえ!こんなにたくさんの服があるのか!どこから見ればいいんだ!?」

とガウルは目を丸くし、早くも途方に暮れている。


「おいおい、はしゃぎすぎだぞ、ガウル」

リョウはそう言いながらも、ガウルの興味津々な様子に笑みがこぼれた。

店員に声をかけ、北の寒さに対応できる防寒具を尋ねると、奥から厚手の毛皮や、中に綿がぎっしり詰まった外套が次々と出てきた。

「どうだ、ガウル、これなんかどうだ?」

リョウが差し出したのは、もこもこの毛皮で覆われた分厚い上着だった。


ガウルはそれを羽織ってみたが、どうにもサイズが合わず、袖が地面に引きずられそうになる。

「うーん、なんか動きにくそうだぜ、これじゃ…」

次にリョウが見つけたのは、獣人の体型に合わせたという、ゆったりとした作りの防寒着だった。

それをガウルに試着させてみると、ようやくぴったりとフィットした。


「おお!これなら動きやすいし、あったけぇぜ!」

ガウルが満足げに頷いたのを見て、リョウも自身の服を選び始めた。

様々な素材やデザインを手に取り、北の気候に適したものを吟味する。


厚手のコートに、首元をしっかり覆うマフラー、耳まで隠れるような暖かい帽子も忘れずに選ぶ。

リオンはそんな二人を面白そうに眺めていたが、リョウが

「リオンも何かいるか?」

と声をかけると、ふと思案顔になった。


「…そうだな。一つ、面白いものを見つけた。これだ。」

リオンが手に取ったのは、一見すると普通の革のコートに見えるものだった。

しかし、よく見ると、革の表面には微かに光を反射するような特殊な加工が施されている。


「これは、魔物除けの加工が施された革だと聞いた。北では魔物も手強いだろう。少々値は張るが、もしもの時に役立つだろう。」

リオンの堅実な選択に、リョウとガウルは感心しきりだった。

男三人でワイワイと服を選び、試着室から出てくるたびに互いの姿を見ては笑いあった。




次に彼らが向かったのは、靴屋だった。北の雪深い道を歩くには、丈夫で防水性の高い靴が不可欠だ。

「よし、今度はしっかりした靴を選ぶぞ!」

リョウは分厚い革でできたブーツを手に取った。

つま先には金属の補強が施され、底は滑りにくいように深い溝が刻まれている。


ガウルも自分の足のサイズに合うブーツを探し、実際に履いてみて歩き心地を確かめる。

「うお!これはあったけぇし、頑丈そうだ!」

リョウは自身のブーツを選びながら、ふとリオンを見た。


リオンはこれまで素足に革のサンダルのようなものを履いていたが、さすがに北国では無理があるだろう。

「リオン、お前もブーツを選んだ方がいい。いくら鍛えていても、雪の中を素足では危険すぎる。」

「……そうだな。忠告に従おう。」

リオンも渋々といった様子で、頑丈な革のブーツを選び始めた。


さらに、リョウは三人分の厚手の手袋も忘れずに購入した。

会計を済ませ、たくさんの荷物を抱えて店を出ると、リョウは早速スキルを試してみた。

(「屋台、収納モード!」)

リョウが心の中で念じると、屋台の底からガタゴトと引き出しがせり上がり、その空間がぐにゃりと歪むように広がった。


それは、リョウの持つ『屋台』の新たなスキルアップで得られた能力、空間魔法を利用した収納機能だった。

先ほどまで抱えていたかさばる衣類やブーツ、さらにこれまで旅で集めた食料の素材なども、たちまちその空間へと吸い込まれていく。

「おお!すげえ!全部入っちまったぞ!」

ガウルが目を丸くして叫んだ。

リオンもその様子を興味深そうに眺めている。


これで、荷物の心配もほとんどなくなった。

すっかり日も傾き始めていた。

たくさんの荷物を収納した屋台を前に、男三人で肩を並べて歩く。

「いやー、買い物ってこんなに疲れるんだな!」

とガウルがぼやくと、リョウも

「でも、これで北の準備は万端だな!」

と満足げに笑った。


リオンも珍しく満足そうな表情で、空を見上げていた。

男たちだけの買い物は、多少のハプニングはあったものの、北の地での新たな旅への期待を胸に、彼らの結束をより一層深める時間となった。

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