違う味
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
美香が出した出来立てホヤホヤのオムライスを見ると、美味そうで、何よりこんな魔法みたいな面白そうなことが俺にもできるのなら、試してみたくなった。
「じゃあ、俺も」
小さく息を整えてからイメージする。
夢だから想像さえあればいい、と美香が教えてくれた。
頭に思い浮かべるのは、今日食べたラーメン。
ニンニクも野菜も山盛りで、スープがドロドロのあれだ。
「……ラーメン!」
気合を込めると、机の上に昼と全く同じ見た目のラーメンが現れた。
湯気まで立っていて、匂いも強烈にリアルだ。
「わっ……すごい!これなに?」
「次郎系ラーメン。今日の昼に食ったやつ」
「次郎けい……?初めて見た!ちょっと食べてみたいかも」
「食べてみる?」
「いいの?」
興味津々で、ラーメンに顔を近づける美香。
まるで、おもちゃを見る子供みたいだ。
「……あ、箸ないや」
「出せばいいじゃん」
「んー、面倒だなぁ。尚人の箸、借りてもいい?」
さらっと言われて、一瞬だけ固まる。
これは、今から俺が使うはずの箸だ。
もし、美香が先に使って、俺が後から使ったら……
間接キス――。
けれど美香は気にしていない様子で笑っている。
その無防備さに胸が苦しくなった。
「あ、ああ……いいよ」
「ありがとう!いただきます」
箸を渡すと、美香は嬉しそうに頬を緩めて、ラーメンをすする。
器用に野菜と麺を一緒に口に入れて、もぐもぐと味わった。
「おいしい!でも、ニンニク強いね!」
「まぁな。そこがいいって人がいるし、これを売りにしてるからな」
「へぇー。ありがと、箸返すね」
「あぁ」
箸を返されて、俺もラーメンを口に運ぶ。
昼に食ったときと同じはずなのに――
なんだか少しだけ、違う味がした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
また、改善点なども指摘していただけると、嬉しいです。
続きのお話はできるだけ、一週間以内に上げたいと思います。