夢を、もう一度
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
夢から目が覚めた。
天井の模様は、いつも通り。
カーテンの隙間から差し込む朝の光も、スマホの時刻も、何もかもがいつも通り。
けれど胸の奥だけが、妙にざわついていた。
「……なんだよ、これ」
思わず呟いて、布団の中で身体を起こす。
昨日の夜までの記憶は、はっきりと残っていた。
美香と過ごした時間。
笑って、歩いて、くだらない話をして――ただ、それだけなのに。
、楽しかった。
なのに、今はどうしようもなく不安だ。
あれが終わりだったような気がしてならない。
美香と、もう二度と会えない気がしてならない。
「……準備、しねぇと」
そう言って体を起こす。
このまま布団の中でモヤモヤしてても、現実の時間は止まってくれない。
あと、三十分で家を出ないと確実に二限の講義に遅刻する。
「はぁ……」
一つ、長いため息を吐いてベッドから出る。
足が鉛のように重い。
一回くらい授業を休んでもいいが、大学にわざわざ高いお金を払っているんだ。
流石に休むのはダメだと思い、自分を奮い立たせる。
(切り替えろ、俺……)
昼間の授業は、ほとんど頭に入らなかった。
黒板の文字も、友達との会話も、ただ流れていくだけ。
心ここにあらず、とはまさにこんな状態だった。
夜。
帰宅するとすぐにシャワーを浴び、夕飯もろくに取らずに電気を消した。
時計の針は、まだ夜の八時を少し過ぎたところ。
けれど、もう布団に潜り込む。
ただひたすらに祈るような気持ちで、目を閉じる。
また、美香に会えますように。
いつも通り、夢の中で――
見慣れた天井。
薄い白い光。
静まり返った、ただの見慣れた俺の部屋。
美香の声も、姿も、どこにもなかった。
「……クソっ」
呟いた声が、やけに大きく響いた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
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