疑問
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
ポテトを食べ終わると、ぶらぶらといろんな店を見て回った。
スポーツ用品店、駄菓子屋、眼鏡屋、ゲーセン、ほとんど全部の店を回ったと思う。
それくらい充実していた。
そして、デートは終わりに近づいていた。
モールの最寄りの駅。
改札を通り抜けて、ふたりでホームへ向かう。
ホームはもぬけの殻で、静まり返っていた。
ベンチに並んで座ると、ちょうどいい風が吹いて、夢の世界とは思えないほど肌寒さを感じる。
「今日、楽しかったな」
美香が、小さな声でつぶやく。
「あぁ、すげぇ楽しかった。あっという間だった」
「そうだね。でも、すごく笑ったし、いっぱい歩いたし、ちょっと疲れたね。でも、すごく……すごーく楽しかった」
夕暮れが眩しくて、美香の表情は見えなかったけど、笑っている気がする。
きっとそうだ。
そんな気がする。
『まもなく、電車が参ります。黄色の線までお下がりください』
駅員のアナウンスが流れる。
(なんで?この世界は俺たち二人しかいないはず……)
この世界は俺と美香、二人しかいない世界のはずだ。
今日のモールでも誰一人、俺たち以外の人はいなかった。
じゃあ、なんでアナウンスが流れた?
俺たち以外の人がいる?
それとも、録音?
『何故?』そんな疑問が頭いっぱいに渦巻く。
そんな俺に構うことなく、電車のライトの光がゆっくりと近づいてくる。
(電車!?)
電車もおかしい。
俺たちがモールに行くには二人同じイメージを浮かべて移動してきた。
そもそも俺たち以外の人は、この世界にいないはず。
録音を流している可能性のあるアナウンスはともかく、人がいないと動かせない電車はありえない。
「……バイバイ、尚人。今日はすごく楽しかった!」
ベンチから立ち上がり、『バイバイ』と俺に向かって手を振る美香。
まるでこれが最後だと言うような雰囲気だ。
このままだと、美香がどこか行ってしまう気がした。
引き留めようと立ち上がろうとするが、視界がぼやけて立てない。
(クソ!いいところなのに)
これは夢から目覚める兆候だ。
まだ、頭の中が混乱している。
アナウンス、電車、美香の雰囲気、全てがまだ解決していないってのに――
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
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