夢と現実
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
昼飯時の大学の食堂。
トレイのぶつかる音、グループでにぎやかに交わされる会話、響く笑い声。
その喧騒のなかで、俺はひとり、窓際の席に座っていた。
いつもは大学でできた三人の友達と一緒に昼を食べる。
一人は今日は野球部の試合で公欠。もう一人はイギリス旅行中で、残る一人はバイト。
スケジュールが見事にばらけて、今日はたまたま俺ひとりだった。
まぁ、別に珍しいことじゃない。
一人で飯を食う日なんて、探せばそこそこある。
現代に生きる大学生が、そんなときにすることは決まってる。
スマホで動画を見て、時間を潰す――それだけだ。
俺もその例にもれず、テーブルに置いたスマホで再生ボタンを押した。
興味のある話題のはずだった。
けれど、数分経っても、内容がまるで頭に入ってこなかった。
(……また、夢のこと考えてた)
最近、気がつけばいつもそうだ。
頭の中が、美香のことでいっぱいになっている。
夢の中で彼女と会うたびに、少しずつ何かを話して、少しずつ笑って――
そのひとつひとつが、ゆっくりと心に残っていく。
あの教室、あの空気、あの何気ない時間のことを、ふとした瞬間に思い出すようになっていた。
まるで、夢の中で過ごす時間のほうが、『日常』に感じられるようで――
(……ヤバいな)
現実での時間が、ただのつなぎみたいに思えてきている。
今日の昼に何を食べたかとか、誰とどんな話をしたかなんて、もう記憶が曖昧だ。
ただ、はっきりしているのは――
「今日も、美香に会えるだろうか」
そんなことばかり、気になっていた。
***
夜。午後九時。
今日はバイトもなく、提出予定の課題もない。
大学生が寝るにはまだ少し早い時間だけど、俺はためらいなくベッドに飛び込んだ。
「……早く寝よ」
目を閉じれば、すぐそこに、あの教室がある気がした。
オレンジ色の光に包まれた静かな空気。
そして――美香の姿も。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
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