「秘密の研究①」
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昨日、僕とラグロスは皆に内緒で森の中へ入り秘密の研究をしていた。その秘密の研究とは魔法だ。魔法を使える者は珍しくない。じゃあ何が秘密かって?まあ落ち着け物語には順序というものがあるだろう?僕らは数年前から魔法の研究をしていた。その内容は、森に漂ってる魔素を人間に纏い自然の鎧とするというものだ。最初にこの話をラグロスに提案した。なぜならラグロスは身体強化系の魔法に特化したフィジカル馬鹿だからだ。模擬戦や災害で孤児院が半壊した時、いつもラグロスが修理する。まあ、模擬戦でセシリアにボコられたラグロスをナナが煽りそれに乗ってしまったラグロスが院長の推しであるセレーヌ・ナイトシェイドという女性の銅像を破壊してしまったのだ。それに気づいた院長が激怒してラグロスを孤児院に吹き飛ばして半壊させたというのは秘密…あの人本当に院長だよね?院長が孤児院破壊していいの?って無駄話は置いといて、この研究の魔法と身体強化系の魔法は相性が良い。なぜなら身体強化系魔法と自然の鎧を同時に使用することで自然に存在する魔素を全身に纏い、傷ついたら自然の魔素が自動的に傷を癒し、身体能力を大幅に向上させ、その環境に応じて誰でも高威力な魔法を使えるという最高すぎる性能だった。この性能は僕の仮設でしかないが不可能ではない。現に院長は普通とは別の身体強化系魔法を使ってラグロスを吹き飛ばしていた。この仮説を聞いたラグロスは子供のようにはしゃいだ。
「す、凄い…!これが成功すれば次の模擬戦でセシリアに勝てるぞ!うおおおおおおお」
「これで僕も院長に教えてもらったことのない魔法が使えるぞ…!」
僕らは歯茎を乾かすくらい口角を広げ森の中を進んだ
そしてあの事件が起こった。僕らは森の中へ進み、動物が巻き込まれないように結界を張り、人間が半径1km圏内に入ったら反応する院長お手製のセンサーを置いた。これで準備はバッチし。
「ラグロス準備は良いかい?」
「おう!いつでもこい!」
僕はその場で座り込み、目を閉じた。魔法とは空気中に漂ってるこの世の創造神が産まれた時に零した羊水を使い念じると意思が宿り自在に操れるとされている(これが魔素) 。魔法は炎、水、風、土、雷、氷、光、闇、自然、時空、精神、概念の全12種類あるとされている。
(目で観るな、肌で感じろ。考えるな、心を研ぎ澄ませ……………見えた…!これが魔素。この環境、ラグロスとの相性を考え…土…?!これだ!そしてこの魔素を僕じゃなくてラグロスの体に…)
「自然魔法・アルママギカ《魔装》」
僕がそう念じた瞬間大爆発が起きた。
「ラグロス!」
「なに?この爆発」
「……………あの子たち大丈夫かしら」
爆発で森の半径150mが更地になり爆風で僕は200mも吹っ飛んだ
「いててて…失敗したのか?。でも、この森の魔素は安定してる…どういうことだ?」
僕は恐る恐る爆発の中心部、ラグロスのところへ向かった。するとそこにはラグロスが倒れていた
「ラグロス!大丈夫かい?!ごめん。僕が巻き込んだせいでこんな目に…」
僕は自分の過ちで仲間を失ったことに悲しみラグロスを抱えながら森で一人泣いていた。すると…
「ぷっ…ぷあっはっはっは!最高だぜこれは!今までに感じたことのない新感覚!癖になっちまいそうだぜ…ん?フェディア、なんでお前泣いてるんだ?」
「え?」
「あ?」
僕はすぐさま涙を拭き頬を赤くしながらラグロスに何が起きたのか詳しく聞いた。ラグロスの話はこうだ。僕がラグロスの体に魔素を集めた瞬間、ラグロスの肉体が白く光り、全身にとんでもない量の魔素が流れ込み、その魔素量に耐え切れなかったラグロスの肉体が拒否反応を起こし魔装を強制解除したらしい。
「そうだったんだ…よかった~僕のせいでラグロスの体が爆散して死んじゃったのかと…あれ?ってことは、一応成功?ってことでいいのかな?」
「そうだ!俺の肉体が弱かったから今回は失敗しちまったが、一応成功だ!次やる時までにもっと肉体を鍛えねば!」