「始まり」
コンコン
「フェディア?起きてる?」
セシリアが部屋をノックした
「まだ寝てるのかな?」
「昨日いっぱい遊んだから疲れてるのかもね。先にご飯食べて待ってよ」
「うん。そうだね」
「フェディア。食堂で待ってるね」
そう言い残しセシリアとセナは僕の部屋から離れた。僕はベッドから起き上がり窓の外を眺めた
「なんだろう…この胸騒ぎ」
僕の瞳から一粒の涙が零れた
――――――――――
「おっそーーーい!!今まで何してたのよ!」
食堂のドアを開けた瞬間、ガラスの窓が割れそうなくらい大きな声が聞こえた
「ちょっと、ナナ。朝からうるさいよ」
「マナ!あんたお姉ちゃんが悪いって言いたいの?!」
「そんなこと言ってないし僕ら双子でしょ」
「あっはっはっは!バカは朝から元気でいいな!」
「は?ちょっとラグロス。それはどーゆうことよ!あたしがバカって言いたいの?!」
「あ?そう言ってるだろ」
「そう言ってるじゃん」
「そう言ってたじゃん」
「セナまで…あんた達絶対許さない!次の模擬戦覚えてなさい…絶対に痛い目見せてやるんだから!」
「うふふ、みんな昔から全く変わってないわね。変わったのは背丈だけかしら」
「あはは…そうみたいだね」
僕は苦笑いをしながらセシリアの隣に座った
僕ら6人は幼い時からルミナス帝国の辺境の地にあるアルテリアの孤児院で育った。ここでは出自不明の孤児だけが集められ院長とママに育てられる。衣食住は揃っており何不自由のない生活を送っている。
「おいフェディア。飯が終わったら森に行って来週の分の食料調達しに行くぞ」
「うん。いいよ。でも…」
「分かってる。今日も手伝ってやるよ」
「え?!いいの?!」
「当たり前だろう?まあ俺の為でもあるしな!あっはっはっは!」
「もう…あなた達ったら。昨日何があったか忘れたわけじゃないわよね?」
「そうだそうだ」
「あ。あははは…」
僕は得意の苦笑いでやり過ごそうとした。なぜ、ナナとマナが僕を攻めるのか、これには訳がある。いや、言い訳かもしれない