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八話〜探索〜

「要は催淫の類なのです.酔った感覚に近いですね.身体にも訴え掛けてくるので身体強化が可能な炎の恩恵により抑え込むのが対処法なのです.プラスで闇の恩恵があれば精神的にも抑え込めるので完封,という事になります.」



うぅ…と手で顔を覆ったエアハルト.…昔なんかあったのだろう.



「何でお前は全適性あるのにそれを使わないんだ…?」



「つまらないじゃ無いですか!与えられる物は全力で受け止めなければ!」




恍惚とした表情をしたリリィ.頭から被る布があって良かった.教育に良く無いだろう.




「ライズ,気持ち悪くなったり身体が熱って来たら俺に言うんだ.わかったか?

絶対此奴には言っちゃ駄目だぞ.」


「わかりました.」



「何でですか!?大丈夫,痛く無いですから…!」



此処で頼るべきはエアハルトさんだ.












「ふぐ…どうして…」



「お前の視界を遮断した方が俺達の為だ.後魔力を流してくるな.」



「仕返しです…」




あの後,エアハルトの提案で奥地に進む事になった.高ランク区域と呼ばれる所だ.


そこに行けばコアノキが多くいるらしくコアのミも品質が良いらしい.




ちなみにリリィはエアハルトのマントを被せられ前で縛られた挙句抱っこ状態だ.顔は完全に隠れていてモゴモゴと話す声が聞こえる程度.手足は無事.

めそめそと泣き真似をしている.


マントをかけられ簡単に潰れたのは少し面白かった.昨日もそうだったが,そんなに重いのだろうか?

今度持たせてもらいたいものだ.




「アリアの森奥地は魔素が濃いんだ.魔素が濃いほど魔法の威力は上がるが同時に魔力も流れる.魔力は多く循環させる程興奮作用が高まる性質にあるんだが,

知らない奴が調子に乗って問題を起こすのは初心者にありがちな話なんだ.

リリィは元の魔力が多く常に暴走の危険性がある.

だから少しでも放出する為に少量ずつ循環させて様々な事に使うんだ.」




「へぇ.勉強になります.普段はどの様に放出されてるんですか?」



何だかしょげている様にも見えるリリィに聞いてみる.機嫌を直してくれると良いが…




「え?気になります?面倒ですが風を起こし涼しくさせる.小さな切り傷,擦り傷を治す,飲み水を作り出すって感じですね.寒い所では暖かくなる様にしたりね.今は広範囲に結界を張っています.

暴走時はエアに魔力を渡してますよ.」




意外と元気な様でけろり、とそう答えてくれた.




「暴走した時の最終手段を今使わないで貰えるかな?」



「仕返しと言いました.」




「だからって…」




おっと,言い合いが始まってしまった.喧嘩するほど仲が良いとはこの事.




他愛もない話をしながら森の奥地へと足を進める最中,

リリィが突然すんすんと鼻を鳴らした.



「ライズ,体調は大丈夫ですか?結界もあるし,バフをかけているので問題ないと思いますが…」



自分の身体に異常は無いが…それにしても足取りが軽いと思っていたがリリィがバフをかけていてくれたのか.

本当に何でもできるのだな.



「全然問題ないです.バフかけててくれたんですね,有難う御座います.」



「俺にもかけてくれて良いんだぞ?さっきから臭いんだ.」



…どうやらエアハルトにはかけていなかった様だ,不満そうにそうこぼしていた.



「私の聖なる魔力を流し込んで居るでしょう.それよりコアノキです.とぉっても良い香り…」



2人が言う匂いは感じないのだが…

もしかしてその匂いが厄介なのだろうか?



「…ライズ,木の葉の中に低木が紛れ込んでいないか?白い花がついてるはずだ.その中にコアノキは居る.見つけたら教えてくれ.」



「はい.」



しゃがみ込み,葉っぱを掻き分ける.


此処はさっきの池があった所と違って木が鬱蒼としていた.





掻き分ける中,手に硬いものが当たり,それを掴みそのまま抜いた.

何だ?赤い実がついた太めの木の枝…?



「お,コアノキ取れたのか.それがコアノキだぞ.」



いつのまにリリィを降ろしていたのだろう.

手には僕が持ったコアノキについた赤い実を沢山持っていたエアハルト.



「この赤いのがコアのミですか?」


「正解だ.外したコアノキは優しく葉の中に戻してやるんだ.」



成程.これがコアノキでコアのミ.ただの太い木の枝…うわ目が開いた.ちゃんと魔物の様だ.

ただ敵対している様には見えなかった.




「ごめんね。実,少し分けてもらうね.」



そう言って優しく実を捥いでみた.

鳴き声もあげず少し震えた程度だった.




「よし,じゃあ戻してやろう.白い花が咲いてる低木の近くに戻すんだぞ.」



そう言って僕の反対側の方へ行っていた.


…なんか服減ってないか?




気にしない事にしよう.




「大事な実をありがとう.」



そう言って白い花が咲いている低木を探す.


わかりにくかったが足元にその低木はあった.だから葉を掻き分けている時に見つけたのか.


そっと低木に乗せてやればしゅるりと蔦が手に巻きつき,あっという間に離れた.


コアノキ,意外と可愛いかも.













「…これなんですか?」



「いや,はぁ,その…」



エアハルトが向かった方向に少し歩けばだいぶ薄着になった息が上がったエアハルトとこんもりとした布塊がいた.かなり着込んでいたはずなのに上はワイシャツだけである.




「欲しいと強請られ,しつこいから…コアノキを与えたらよろしくない事になったから巻いた.もう暗いし此処で野営だ.コアノキは魔獣を寄せないから群生地の此処は丁度いい.リリィは放っておけ.」



ハァと溜息をついていた.色々ありながらも,コアのミを集め,任務は1段落ついたのであった.






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