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一話〜出会い〜

起きたばかりの使えない頭で考える.


此処は何処だろうか,

何故動けないのか,

何故此処にいるのか,


そして自分は誰なのか,と.


何者なのか、どんな名前か,自分の事だけが如何にも靄がかかりわからない.




一つ.動けないというのは間違った認識であった.

なんとなく指先は動くし,頑張れば身を起こせそうではある.

が,何かに妨害され動ける領域は狭い.視界が奪われたかの様に真っ暗なので周りに何があるのかもわからない.


でも此処を突破しなければ.



迷宮が「攻略」できない.




…迷宮?なんで迷宮と言うものを攻略しようとしている…?

何かが思い出せそうだが,思い出せない.


思い出そうとするほど頭に靄がかかり,掻き分けようとすると鋭い痛みが走った.




「ッぐぅ…っ!?」




痛みに身体が反応した.ガンッと足の先に何かが当たる感覚がする.



遠くから,足音が,聞こえる.







「リリィ,これ開けれるか?」




「ちょちょいのちょい,ですが.」





突如差し込む光に目を細める.2人の人影が見えた.






「宝箱の中に人間…?怪我もないし汚れてもいない…」




真っ黒な髪に、キラキラと蒼い瞳が此方を見つめていた.





「あら,どうやら強めに病まれている御様子.このリリィが治して差し上げましょうかね?」




彼等が話している間にも痛みは襲いかかる.

だんだんと気道が狭まる感じがした.





「本来ならば這い蹲って足を舐めていただく所です.感謝,してくださいね?」



「お前ってやつは…」




ぽわ,と柔らかく暖かい光が身を包む.だんだんと靄が濃くなり,それと同時に痛みは治まっていった.


黒髪の男性に軽々と持ち上げられ,地面に座らせられる.



まだ気分的に落ち着けるわけでは無いが,感謝するべきなのだろう.

感謝してくださいの言われたのだから.




「ッの…あの,ありが…」



地に手を付け、頭を下げようとした.





「礼は良い.這い蹲らなくても良いし足を舐めなくて良い.戯言だ.」




気にするな.と頭に手を乗せられ,その温もりに安堵した.







「ふむ,やはり見た目は綺麗ですね.奴隷と言うわけではなさそう.御名前を教えていただいても?」



頭から布を被った人がそう問いかけた.

声的に女性だろうか.心地の良いアルトボイスだ.




…名前.





「…わから,ない.如何して此処にいるのかも.」




2人は顔を見合わせていた.

男性は少し考える様な仕草をしては




「…そうか,訳アリね.よし,一旦帰るぞリリィ.」




と、立ち上がり此方に手を出してくる.


何が求められているのだろうか.




「キミも.見つけたからには置いて行くわけには行かない.なに,悪いようにはしないさ.」



「さぁ,手を取って?」







何も考えず,ただ差し伸べられたその手を取った.

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