十四話〜買い物〜
数分ほどジメジメしていたエアハルトを頑張って元に戻した.決め手はリリィが故意的に魅了しようとした事である.すぐ戻った.
そして今はブティック.リリィの服を買いに来た様だ.
「エア!これ似合いますか?似合いますよね,買ってください!」
「はいはい,どっち?」
「うぅん…ライズ,どっちの色が良いですか?」
話を振られてしまった,リリィは同じ型ではあるが黒と白のワンピースを手に持っていた.
白は,リリィの髪色…銀髪と似ているのでとても透明感が増して儚くなるだろう,綺麗だとは思うが
「白もとても綺麗で似合うと思いますが,黒の方が髪が映えるので尚更お似合いだとと思います.」
「ラ,ライズ…」
リリィは服をエアハルトに押し付け僕に抱きついてきた.
此処はお店だ.人目もある,恥ずかしく慌てて離れようとしたが思った以上に力が強い.簡単に抑え込めるって言ったエアハルトさん,何処ですか.
エアハルトは巻き込まれたく無いとでも言う様に押し付けられた服2着を持ってカウンターまで行っていた.
リリィは僕の頭を撫でながら
「ライズは良い子ですね…!結婚なんてせず,ずっと母のところに居てくださいね…!お洋服は両方買います!」
…僕は息子になってしまった様だ切実に,助けて欲しい.
「い,いや…お店です,離れてください…」
恥ずかしいのでそう言ったがヤダヤダと余計にくっついてくる始末.そろそろ窒息しそうなのだが.
「こら,ライズが困ってるだろうが.」
リリィを引き剥がしてくれるエアハルト.良かった,来てくれて.
「エア,お洋服は両方です!」
「知ってる,買った.」
良き,理解者である
「では次,ライズのお洋服です!」
…寒気がした
あの寒気は気の所為等ではなかった.
「次はこれです!」
「これも良いな,合わせてみないか?」
「エアにしては良いですね,採用です.」
「あとさっきのは…」
2人の着せ替え人形になってしまった.
「剣聖様と同じチームというのも大変な様ですね.」
ある店の一室,不運にも着せ替え人形になった僕は着替えさせてくれている男性に,苦笑ながらそう言われた.
「でも楽しいです.」
「そうでしょう.私はエアハルト様がこの街に来る前からのお付き合いなのです.勿論剣聖になられてからも,此方を利用して頂いております.
それなりにお二人を理解しているつもりです.」
「そうでしたか…」
彼は少し黙ったあと
「エアハルト様があんなにもはしゃいでいるのは初めてみました.あのお二人を宜しくお願い致します.」
ボタンを閉め,頭を下げられた.
「ちょ,頭あげてください…!」
僕はそんな人では無いから.助けられただけだから.
「初めての方に言うのも何ですが,あのお二人は色々大変なのです.普通に過ごし,幸せでいて下さい.軽口を叩き,たまには喧嘩をして,仲直りをして,笑顔で食卓を囲んでください.普通の家族の様にね.」
扉の方へ押された.
「いってらっしゃいませ.」
にこ,と笑った彼に頭を下げ,2人がいるところへ向かった.
数十秒後には全部買います!と言う声が響き渡った.




