十三話〜余暇〜
「はぁ…用は済んだ.有難うな,ギル.」
「そうだな…にしてもやりすぎじゃないか,関節が痛いぞ.」
暴れて疲れたのか2人は服を正し,再びソファへ座った.
すっきりした顔にも見える.
まさか取っ組み合いになるとは思わなかった.
喧嘩というよりは戯れ合いの様で,リリィも止めなかった.
その為僕達は終わるまで談笑していた.
これが終わったら街へ行こうだの,欲しいものは無いですか?,等.
2人が戯れあっている間に街へ行くことが決定していたのだ.
買い与えてくれるらしい.感謝である…
「兄様,本当に記憶は覗けなかったのですね?」
「嗚呼.リリィに誓ってな.最高に格好良いエアしか…フフッ」
さっきから言っているが,覗く,や見えたか?というのは何だろうか…気になってしまう.
「すみません,覗くってどういうことですか?魔法でしょうか」
口から出ていた.何も説明されてないのだから,少しくらいは教えて貰いたい.
「説明していなかったね.闇の恩恵さ,空間の神からのね.応用でその者の時間,つまり記憶という不確かな空間を遡行できるんだ.」
「こいつも魅入られているんだ.」
「成程…有難う御座います.」
「力になれなくて済まないね.」
恩恵と言うものは凄いな,と改めて思った.
僕も強くなれるだろうか
「エア,終わった事ですしお買物に行きましょう!お2人が戯れ合っている間に決めたのです.」
キラキラした目で言ったリリィはエアハルトを引っ張っていた.
はいはい,とエアハルトはリリィに布を被せ,
「有難うな,ギル.また来る.」
「嗚呼.ライズも一緒にな.」
お誘いとあらば,行くしか無いだろう.
「はい!」
元気に返事をした。
ギルドを出て,まず宿を決めよう,と言う提案で宿へ来た.
前の所とは違う所だ.一日目は洋風だったが,此処は和風である.
エアハルトに任せ,僕やリリィは外で話していた.
少し話していれば,武具を全て外しラフな格好になったエアハルトが出てきた.
「すまんな.二人部屋しか空いてないみたいで,少し狭いがそこにした.荷物置くぞ」
そう言って手招きした.
何だろう,この状況は
「エアハルト様!本日はお日柄もよく…」
「あっ,エア様!大通りにある屋台がとっても美味しかったの!良ければどうかしら?」
「貴女!抜け駆けしないでくださる?」
「聖騎士様!こっち見て!」
「ハハハ…」
エアハルトは少し遠くで囲まれていた.女性に.
リリィは何故いないのか?それは準備するから待っててくださいという事で一足先にエアハルトと広場に来ていたのだ.許可はとった.
恐らく根っから優しいのだろう.強めに断れない様だ.初対面の僕を拾ったくらいなのだから.
でも、困っているなら助けなければ.
そう思えば不思議と身体は動いていた.
「すみません,これからお買物なんです.」
エアハルトの腕を掴み,横に立てば女性達は驚いた顔をし,動きが止まった
「!そう言う事で.失礼するよ.」
「あ,待って!」
エアハルトは足を止めず,とある路地に入った.
「すまないな,有難う.如何にも断れなくて.」
「リリィさんに怒られますよ.」
揶揄う様に言ってみた.
2人の関係は確かなものになっていないが,お互いが関わると弱い傾向にある.
2日しか経っていないが,それだけははっきりとわかる.
「ライズが揶揄う事を覚えた…そんなに弄られキャラなのか…」
ちょっとショックそうだ,ごめんなさい.でも効果は大きい為大変な時は積極的に使おうと思う.
「あら,やっぱり…どうしてこんな所に?先へ行く所でした.」
用意が終わったのだろう,かなり軽装で路地の前を歩くリリィはたまたまこちらを見つけてくれた様でそう声かけてくれた.頭の布は大きめな帽子になっていた
「囲まれていたんですよ.」
「いつものですね.で,如何してこんなジメジメしているのです?」
それはエアハルトが思ったよりショックを受けてしまい空気がジメジメしていたのである.
おーい,とリリィはエアハルトの顔の前で手を振ったり腕を叩いたりするのだった.




