表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

腸を掻っ捌いて

 あの日から書庫にある本を参考に、少し優しく接っする事を覚えました。

 奴隷を調教するのと同じです。

 あれから、私に妙に懐くようになったので、上手くできたようです。

 ただ、ここまでになるとは思わず、未だに少し慣れませんが。

 極限まで追い詰められた人は、大体こうなるんですかね?。


 人ではないですけど。




 −ガチャッ ギィィ...


「おはようございます!。今日も元気に過ごせましたか?」


 檻の中には、ある意味目に光を宿していない少女がいました。


 「はい!。だいじょうぶでしたよ()()!。」


 「.....そうですか。それは良かったです。」

 

 ...ええそうです。彼女は私の事をお母さんと認識するようになりました。

 最初にこれを言われた時は、前に眼球をとった後遺症でも残ったかと心配になりましたね。

 まあ、普通に思い込みと幻覚のようでしたが。


 いや、普通はこんな事になりませんか。


 

 「ママ!。今日は運動を頑張ってしたんだよ。腕立て伏せてで、手がプルプルしちゃったけど、キチンと五十回やったの!」


 「それは頑張ったわね、えらいえらい。」


 頭を埋めて、撫でてと言いたいようにグリグリと私に押し付けてきます。しっかりと私は頭に手を回し、よしよしと撫でてあげました。

 今の所使う予定はありませんが、肉が増えるのは良いことです。


 ただ、結婚もしていないのにお母さんになるとは、人生どうなるか誰にも分かりませんね。

 養子にもなっていないけど。


 それにしても、この子って、こんなにも積極的な少女だったんですね。

 いつも怯えたりして、まともに会話していなかったから分かりませんでした。



 「それでママ、今日もするの…?」


 そんな事を、上目遣いで問い掛けられます。

 …これが計算ずくなら大したものですね。


 「ええ、その為の貴方ですから。」


 …とはいえ自分でも、相当酷い事を言ってる自覚はありますが、そこで頬を赤らめるのはおかしいと思いますよ?。


 やっぱり、血の抜き過ぎで頭に欠陥でも生じましたか。

 吸血鬼の医者なんて知らないので、人間の医者に連れて行かないといけないんですけどね。

 


 そんな事を、おくびにも出さず話を続けます。



 「今日は内臓を使ってソーセージを作りたいと思います。貴方も食べた事がありますよね?。」

 

 彼女は黙って頷きます。


 「腸を主に使うので、お腹を切開します。なのでかなりの痛みと喪失感が襲いますが、耐えられますか?」


 今度は、なかなか首を縦に振りません。


 「大丈夫。これまでやってきた貴方ならきっと耐えられますよ。」

 そう安心させるように言い、頭とお腹を擦ってあげます。


 それが効果あったのか、少し不安の色は残っていますが、顔色は大分良くなりました。



 「それじゃあ、これから何をすればいいか分かるよね?。」


 そんな私の質問に、


 「はい!」


 と、少し瞳を潤ませて返しました。



 万が一にも暴れないように体を拘束すると、赤いペンでお腹の辺りに印をつけます。

 自分の右手には、事前に煮沸消毒した銀のメスを用意して軽く構えます。

 銀は吸血鬼の弱点なので、普通の武器より簡単に傷をつける事が出来るのです。

 恐らく退魔の力でしょう。


 少女は怖い物から目を逸らすが如く、固く瞼を閉ざしていました。

 そんな少女の頭を、不安を無くすようにもう一度撫でてあげました。


 「それじゃあ、歯を食いしばって頑張ってね。」


 −ザシュ ジュ〜…


 「ギィッ…!」


 …教えた通り、ちゃんと耐えれているようです。

 特に身じろぐ事もしない、偉いですね〜。


 銀のメスは、少女の表面を焼き溶かすように裂いていきます。

 血がかなり吹き出ますが、後で使うので取っておきます。

 多少、雑にやったくらいでは死なないので、ドンドン奥へ進めていきます。

 すると少し艶やな、長い腸が見えてきました。

 今回はソーセージにするので、この小腸が必要です。


 「変な感触、本で分かっていましたが。予想以上にグロテスクな外見ですね。」

 そう言うと、直接腸を掴みズルっと一気に引き抜きます。


 「ひゃっ!」


 体の中身が外に出た衝撃で、少女が驚いた声をあげたようです。

 腸は、使う分だけ外に出し、メスで切り取り元に戻します。

 ふと、ついでとばかりにもう一度少女のお腹に手を突っ込むと、他の内臓も取り出します。

 

 まずは肝臓、そして腎臓。

 特に腎臓は傷つかないように、丁寧に取り出します。


 大体の作業が終わると、糸で縫い付けて傷を繋げて完了です。


 「ふ~、これで終わりっと。」


 −パチン


 鋏で糸を切り取ると、ようやく緊張の糸も解けました。

 少女の内臓を取ったお腹は、いつもより凹んで見えます。

 

 水で血などを洗い落とした後、彼女の頭を優しく撫でてあげます。

 今日は内臓を取ったので、かなりの激痛が奔ったでしょうに、ちゃんと意識を保ち…

 「それでいて、特に悲鳴をあげることも無く良く耐えました。」

 

 「はい…。」

 そんな私の言葉に安心したのか、静かに眠りに就きました。


 …手術中は眠らなかったんですけどね。

 まあ、再生するのに体力を使うんでしょう。明日には治ってると楽なんですけどね。


 取り敢えずベットに運んであげましょうか。

 …抱き上げた体が軽く感じるのは、気の所為ではありませんね。

 


 

 


 

 

一旦、分けます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ