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目玉の飴玉

 今日は、前に吸血鬼から血を採った時から、およそ一週間が経った日。


 彼女には、ある程度の健康状態を保つ為に、一応、食事と軽い運動はさせています。

 ただ、あれから血を採る様な事はしていません。

 その理由は、短時間にあまりにも何回も行うと薄くなってしまう点と、私のポリシーにありました。


 私は、美味しい物は時間を置かないと、いずれ慣れて、有り難みがなくなってしまうと考えていました。

 その為、吸血鬼を食べるのは大体、一週間に一回と決めています。

 ただ、例外の日というものもありますがね。


 しかし、とうとうその一週間を過ぎたので。

 暗い廊下を、一見、天使と見間違える様な笑みを浮かべながら、地下室に向かって歩いて行きます。



 部屋に入ると、壁際に掛けている紅いエプロンに着替えます。

 今日は、前より汚れるかもしれませんからね。

 

 部屋の奥には十字架では無く、吸血鬼の力を奪う檻と首輪に嵌められた彼女が、腰が抜けた風に地面に座っていました。


 「こんばんは。いや、貴方達からしたらおはようですかね?」


 そんな事を笑顔で言うと。

 彼女は怯えた表情で…


 「今日は…何をするの?」


 と聞いてきました。


 質問したのはこっちなんですけどね。まあ良いでしょう。


 「今日は、貴方の目玉を取り出してみたいと思います!」


 それを聞いて、彼女は一回驚いたように跳ねると、自分の顔を手で覆います。


 そんな姿を流し見ながら、近くにあった工具箱を持ってきます。

 箱をひっくり返すと、中からガチャっと音をたて、色々と物々しい道具が落ちました。


 えっと、

 まずは普通のスプーン。

 アイスとる為に使う道具。

 東の国で使うらしい、丸い食べ物を取り出す錐。


 銀のメスは…、今回は要らないか。


 眼球をとるのは今回で初めてなので、取り敢えずスプーンを使いましょうか。

 我流なのでうまく出来なくても、二つあるので多分大丈夫でしょう。


 「あっ、調節するのが面倒なので、麻酔は使ってあげませんが、一気にやるので気にしなくて良いですよ~。」


 そんな言葉に、手から隠しきれていない瞳が絶望に染まります。

 

 うん良いですね。

 何か魔物とかって、死ぬ前に感情の起伏を大きくしてからの方が美味しいんですよね。

 多分、人や他の動物等と違って、肉体では無く精神体に寄っているからでしょうか?。


 色々と不思議が一杯ですね~。



 無いとは思いますが、念の為魔眼対策に、私の頭の上に小さな鏡をくっつけておきます。

 抵抗する彼女を手術台に上にのせ、逃げられないよう手脚を鎖で繋ぎ。

 嫌々と振る首もしっかり固定し、目前にスプーンを近づけていきます。

 こうしてみると、手術をする医者に見えなくもないですね。

 実際は真逆ですけど。


 目を片方の手で広げてっと。あっ、

 「瞑らないでください。失敗したら何回もやらないといけないんですから。」

 そんな言葉にビクッとした後、少し力が弱まります。


 良い子良い子。


 「では、行きますよ。1,2…」


 3を言う前に、眼球の隙間にスプーンを勢いよく突っ込みます。

 彼女の口から、甲高い悲鳴が響きます。

 注射をする時にやる、フェイントを仕掛けて見ましたが。効果ありますかね?。

 

 えっと、それより集中集中。このあとは奥に押し込んで視神経を千切るんでしたっけ?。

 彼女の目からブチリとといった音が聞こえました。

 悲鳴が大きくなった為、布を咬ませて静かにさせます。

 

 スプーンを掬って手繰ると、綺麗に紅い眼球が乗っていました。

 取り敢えず一個目です。

 ただ、目というものは二つあるので、同じ工程をもう一回やらなければなりません。


 レヴォナは、もう既に、息も絶え絶えの吸血鬼の少女を見ると、もう一度スプーンを無慈悲に突き刺しました。






 「とっても綺麗に出来ました。このまま飾ってしまいたいぐらいに。」

 

 まあ、食べる為にやったのでそんな事しないんですけど。

 でも、それくらい綺麗なのは間違いないです。


 途中で気絶した彼女には、適当に包帯を巻いてとりあえず檻の中で寝かせています。


 そういえば、首を絞めると頭に血が溜まって目が赤くなるとか聞いたけど、本当だったのかな?。

 試しても良かったかもしれないな~。

 残念、残念。



 それでは、この取り出した眼球をどうしましょうか。

 別にそのまま食べても良いんですけど、せっかくなのでひと工夫加えたいんですよね。

 

 う~ん、よし!。

 それじゃあ、飴で覆ってお菓子にしましょう。

 きっと、完成すれば綺麗な物が出来る筈です。

 砂糖と水を熱して、纏わりつかせるだけだから簡単ですしね。


 そう思ったが吉日と、厨房から鍋や砂糖を見つからないように慎重に、急いで持ってきます。

 まずは鍋に、水と砂糖をよく混ぜて魔法で小さな炎を出して、静かに熱します。


 十分程経ったら、二つの眼球を入れて満遍なく絡みつかせます。

 ただ薄くやった方が良いらしいので、余分な飴を落として冷ませば完成です。

 

 うん!。ちゃんと綺麗に出来ました。

 光が反射して、キラキラと輝いているみたいです。


 一つは、明日のおやつの為にとっておいて。もう一つは今すぐ食べちゃいましょう!。


 「では、いただきます。」


 パリッ ズチャ


 美味しい!。

 外の飴が固まって心地いい感触のあと、甘さがあって、中の部分がドロリと魔物特有の血の味が広がる!。

 少し、しょっぱい気がしますが、大体が体液だからかな?。


 ゴクリ


 もう一個の方も食べたいけど、これは明日って決めちゃいましたしね。

 まあ、そんなに手間は掛かってないけど、やって良かった思えましたね。



 では、そろそろ私も眠りに就くために戻りましょうか。


 明日のおやつが楽しみです。 

人の目玉をとった経験はないのをご了承ください。


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