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吸血鬼の体

 とある世界の、そこそこ大きな西側の国で。

 とても綺麗な姿をしており、既に様々な功績をたて、天才と持て囃される王女様がいました。


 名はレヴォネ・トルナーラ

 年齢は十七程であり。金髪と紅い瞳が特徴的で、一度も日に浴びた事がないように見える程、透きとおった白い肌をしていました。

 手足は小鹿の様に細く、容姿は年齢以上に幼く見えます。

 


 二年前、当時には人間に分類にされる事無く、卑下されていた吸血鬼を、まだ幼い彼女は、エルフやドワーフ等と同じ人類種に含めようと唱えました。

 当然、周りの反発も大きく、次の王に相応しくないと、こき下ろす者も居たくらいです。

 しかし、国の一部で彼らを運用してみると、予想に反して多大な戦果を上げます。


 吸血鬼は、日光等弱点が多く、使い所は難しいですが。

 環境が整えば、並外れた力と俊敏さを持ち、かすり傷程度なら直ぐに治る彼らの能力は、全戦全勝の活躍をしました。

 

 戦争以外でも、弱点の為に夜行性の彼等は、土木工事等の真夜中に行う仕事も十分に行う事が出来ました。


 ただ、吸血鬼の一番の特徴である、人の血を吸わなければ生きていけない事に関してはどうしようもないため。輸血した血液で済ませました。

 

 近くに在った吸血鬼の国−ノクスとも国交を結び、次第に国も豊かになっていきます。


 一転して有能さを証明した彼女を、国民は手のひらを返すように賞賛しました。


 そして、国には何人もの吸血鬼が移住し、大体の人が幸せに暮らしました。


 それに裏があるとは考えず…






 そして、時は戻り現在では。

 窓の外は既に暗闇に包まれて、空を星々が埋め尽くしています。

 そんな時間に彼女は小さなランタンを持ち、お供も無しに、カッカッと足音を響かせながら下に向かって階段を歩いていきます。


 この城には何年か前に、彼女が直々に携わり作った地下室がありました。

 その場所は、王や側近等の限られた者にしか知らされていません。


 それ程迄に、情報が統制された所だと言う事です。



 しばらく経ち、ようやく足を止めた場所には、重々しい錠前が付いた鋼鉄の扉がありました。

 彼女は鍵を開けると、無邪気な笑顔を浮かべながらも、少し重そうに扉を動かします。

 


 ボッ ボッ 

 

 と、彼女自身の魔法で蝋燭に火を灯します。

 

 明かりに照らされて、闇に包まれていた部屋の中を見通せるようになります。

 

 そこには、


 −所々、血の斑点がある手術台


 −少し錆びついた鉄のストローや包丁


 −大きな棘付きの鉄の処女(アイアンメイデン)


 そんな彼女には似つかわしく無い物が並ぶ中。

 その先に何かあるのか、奥に向かって臆面もなく歩いていきます。


 そこには、目隠しと猿轡を嵌め。十字架のような物に、しっかりと体を拘束された少女がいました。

 しかしよく見ると、普通の人にはない、小さな翼が背中から生えています。


 そんな少女に、レヴォナはいつから持っていたのか。鉄のストローを、首筋に躊躇なく突き刺します。

 猿轡のせいで、くぐもった悲鳴を上げ、体を身じろぐ姿を見ると。

 レヴォナは、


 「やっぱり最初は血液からだよね!!」


 と興奮した声で呟きました。

 

 猿を食えるんだから、話せて姿がそっくりでも人間じゃないからセーフ。ハッハッハッ!

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