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平井のエッセイ・日常系とか旅行記とか

亀さんの産卵に立ち会いました

作者: 平井敦史

 先日、仕事が休みだったのでちょっと遠出をしてカレー屋さんで昼食を摂った後、その近くの公園を歩いていたところ、柵で囲われた池岸の土手に、一匹の亀がいました。

 距離もあって正確なところはわからないものの、甲羅の大きさは20cm以上は確実にあるでしょう。かなり大きな亀さんです。


 最初は単に甲羅干しをしているのかと思ったのですが、あれ、何かお尻の方が土の中に埋もれているような……。ひょっとして産卵の穴掘り?と思い至り、柵越しの3mばかり離れたところから見守ることにしました。

 もちろん、亀の産卵なんて実際に見るのは初めてです。


 亀を見つけたのは12時50分頃。その時点ですでにどのくらいそこにいたのかはわかりませんが、体の前部を上げてお尻を土に(うず)め、一心不乱に後ろ足で穴を掘っているようです。

 頭を高く(かか)げてはいるものの、あまり周囲を警戒しているといった様子ではありません。

挿絵(By みてみん)

 ご覧の通り、アカミミガメです。いわゆる「生態系被害防止外来種」に指定されている生き物ですが、そんな人間様の事情など、彼女には関係の無いこと。遠い異国の地で(たくま)しく生きています。そもそも彼女自身が、ここの池で生まれ育った世代の可能性も高いでしょう。


 時々お尻を少し持ち上げたりしつつも、あまり変化がないまま、1時間以上経過。

 途中、トイレに行ったり近くのベンチで休んだりしながら、ずっと様子を見ていたのですが、そのあたりから亀の行動が少し変わってきました。お尻を浮かせて後ろ足をバタバタさせていています。

挿絵(By みてみん)

 最初はいよいよ産卵か?と期待したのですが、あれ、これってもしかして、すでに産み終えて卵に土をかぶせてる?

 決定的瞬間を見逃した、というより、穴の中にお尻を突っ込んだ状態で卵を産んでいて、素人が(はた)から見ていてもいつの間に産んだのかわからなかったようです。


 そして、穴を埋め続けることざっと30分以上。どうやって「よし、埋め終えた」と判断したのかはわかりませんが、亀さんは突然その場を離れ、逃げるようにして池の方へと走り去っていきました。

 後に残されたのは、そう思って見れば掘って埋め直した痕跡がかすかにわかるかな、といった程度。綺麗に埋め戻されていました。

挿絵(By みてみん)


 Wikiによれば、卵が孵化(ふか)するまでの期間はおよそ60日から80日ほどとのこと。

 2ヶ月ほど後、無事生まれ出て新たな生命を繋いでいくのか、あるいは、他の動物――イタチだとかカラスだとか――に掘り返され、生命の(かて)となるのか。いずれにせよ、人間の理屈やら感情やらとは関わりなく、生命の営みは続いて行くのだなあ、と、色々考えさせられた一日でした。

 まあ、かれこれ2時間以上も亀さんに付き合って、午後の予定は大幅に狂ってしまいましたが(笑)。



 もちろん、外来種を新たに持ち込んだり、投棄したりするのは論外ですが、すでに野生化しているものを、「在来種は善、外来種は悪」と一方的に決めつけることに対しては、やはり何か割り切れないものを感じてしまいますね。

 人間によって勝手に持ち込まれ、一方的に悪者扱いされている彼ら彼女らも、ただ懸命に生きているだけなのに。



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亀足、もとい、蛇足


 Wikiを読んでいたらとんでもない記述があったのですが……。

 アカミミガメのメスは、交尾した際の精子を体内で数年間も保存しておくことができ、翌年以降に受精、産卵が可能なのだとか。マジかよ。

 オスとメスが巡り合う貴重な機会を逃さず交尾しておいて、でもその時の環境が産卵に適していなかったら、環境が整うまで凍結(もちろん比喩的な意味です)しておくってこと? アカミミガメすげえ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いいもの見させて貰いました!綺麗に隠しますね~ [気になる点] 外来種の持ち込みは、殆どがあとさき考えず政府が容認したものですよね……先見性がないのはどの分野も同じ様です(笑) 特定…
[良い点] 警戒心の強いアカミミガメの産卵とはレアですねヽ(=´▽`=)ノ 悪だからではなく、日本の亀さんたちを守るためには仕方ない部分もあります。それが持ち込んだ人間の背負うべきものです。 アカミミ…
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