解説編
美冬は余命宣告されたことから、夏樹のためを思って別れようとします。
しかし、今だに夏樹のことが好きな美冬は、夏樹を納得させるような別れの理由を話すことができません。
夏樹と少し時間をずらして春香も呼んでいたため、早く話を終わりにしたかった美冬は、なかなか納得してくれない夏樹に、涙を堪えて思ってもいない暴言を吐きます。
そこで夏樹は激しい怒りから、衝動的に美冬を殺そうとして階段から落ちるように美冬の背中を押し、転落させました。しかし、この一部始終を春香は見ていました。
春香は、夏樹が背中を押したのを見ていたから、証言を"美冬が足を滑らした"ではなく、"夏樹が間違えてぶつかった"としたのです。
若干夏樹に気のあった春香は、夏樹を傷つけた美冬に憎悪感を持ちました。だから、夏樹を人殺しにさせないように助言します。そして、春香が救急車を呼んでいる時、美冬にはまだ息があることに気づいた春香は、美冬の頭を持っておもいっきり後頭部を床に打ち付けて殺したのです、夏樹を守るために―…。
夏樹が突き落とした時点では、夏樹から"背中"がみえていたということは、うつぶせや横向きのような姿勢で階段から落ちて前頭部もしくは側頭部を強打して死ぬはずなのに、致命傷が"後頭部"だったのは春香がもう一度床に打ち付けて殺したからです。
ちなみに夏樹には聞こえなかった"鈍い音"がその時の音でした。