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彼女の色の独白  作者: 睦月紗江
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彼女の独白:感情は何色か

 感情と色。この二つの関係は世の中でよく見かけるように思います。それは感情表現の一つとして色を使っていたり、色に関する心理を利用した広告だったり。よくあるものであればおとなしく静かな人を表現するときは青などの落ち着いた色、明るく元気な人を表現するときはオレンジなどの明るい色が使われています。ちなみに色彩感覚というのは動物によって異なるし、一部の動物に至っては色の区別ができないためこのイメージを抱くのは人間特有のものでしょう。初めて色と感情という目に見えるものと目に見えないものをくっつけて考えた人間は何を思ってこの二つをつなげたのでしょうか。そもそもなぜ感情に色を付ける必要があったのでしょう。いつか調べてみたいものです。まあでもその人のおかげで感情が表現しやすくなったわけで、このようになんやかんや好き勝手言っている私もその恩恵にあずかっているわけなんですけど。では実際それぞれの感情は何色なのでしょうか。私としては喜びはピンク、怒りは赤、悲しみは青、楽しさは黄色のイメージを持っています。もちろん本当の感情は喜怒哀楽という四字熟語だけでは表現しきれるものではありませんが、大まかに分けるとすればそんなものではないでしょうか。ここまで考えて気づいたのですがどうにも私が感情に対して抱く色というものは、私が相反していると思っているものほど似るようです。一番真逆だと思っている喜びと怒りのピンクと赤は同系色です。逆に、似た感情である怒りと悲しみは赤と青で真逆。悲しみと楽しさは真逆ほどではありませんが似た色でもない青と黄色です。反対の感情の色が似ているとは不思議なものですね。この現象の奥底には私がそれぞれへの感じ方が多分に含まれています。私の事なのだから当たり前ではあるのですが、私がその感情を表現するときの差がよく出ています。喜びと怒りはあまり表に出さない。では悲しみと楽しさはよく表に出るのかといえば別にそういうことでもないのですが。この四つの感情を比較したときにあくまで前者の二つが表に出づらいというだけです。それが色のイメージにつながっているのでしょう。まあ結局私が感じる感情というものには大きな起伏はないのでしょうね。あくまでそういう感情になっているつもりになるだけで。

 感情と色といえば、よく出てくるのが顔に関する表現です。「真っ赤な顔をして怒る」「話を聞くと真っ青になった」「蒼白な顔をして」など、いくつもの表現が存在します。一般的に考えて、会話をする時に人間の感情を読み取るためには顔を見ることは不可欠です。それゆえ、必然的に色の表現も顔に関するものが増えていったのでしょう。しかしここで私には疑問が一つあります。感情を読み取るためには本当に顔を見ることが必要なのでしょうか。何をバカなという人もいるかもしれませんが、実際目の見えない方だって感情を把握することも感情を出すこともできます。表現としては顔が主だったものになっていますが実際は顔ではないとしたら?この言葉たちを作った人が本当は顔ではないところを見ているとしたら?もちろん、感情表現は顔だけではないことは重々承知しています。言葉のニュアンスであったり、身振り手振りや雰囲気なども感情を読み取るうえで重要です。ですが私がここで言いたいことはそうではありません。この言葉を作った人たちは感情と色の関係を顔という外側ではなく、人の内側に見たのではないかということです。私が自分の感覚がおかしくないと思いたいがためにそういった思考に陥っているだけかもしれませんが、兎にも角にもそう思うのです。でなければ黄色人種である日本人の顔を見てやれ白だとか、真っ青だとか浮かばないはずです。この感情の時の色はこの色で、人の体で一番目に付くのが顔だからそれをくっつけよう、と考えて作られた気がしてなりません。そうであれば、私の感情に対する色の感じ方も、人への色の感じ方も古来より受け継がれてきたもので、たまたま私がそういった感覚を受けやすい人間になっていた、とも言えるのかもしれません。この考えが事実であることを願うばかりです。だってそうしたら、私が悩んできたことにだって理由がつけられるのだから。

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