親子の時間
響く声を聴いたブランが呟く・・・
『シエルも粋な真似をじゃが礼は言わぬぞ
どうせ面白そうだと覗き見でもしておったのじゃろう』
輝きを放ちながら少しづつ小さくなるブランの姿
その光に目が眩み思わず目を閉じるレム
次にレムが目を開けると目の前に白金の髪の美女が立っていた
『ブラン様なのですか?』
レムの問に笑顔で返す目の前の美女ブラン
『そうよ♪
これでレムを抱きしめることができるわ』
言うや否やレムを包む優しい温もり
レムはブランに抱きしめられたのである
頬に感じる「たゆん♪」とした感触にレムはふと気づく
そうレムの頬には直にブランの素肌が触れているのだ
『ブッ、ブラン様ぁ〜ふっ、ふっ、服着てないですぅ〜』
『なにを今更、最初から服は着ていなかったじゃないの』
『いや、さっき迄はドラゴンの姿だったけど
今は人の姿だから服着てないとダメですぅ〜』
『でもね・・・レムだって人の姿なのに服着てないわよ』
その一言で自分が裸だということにレムは気づいた
いやいや私なぜ今まで気づかなかったの・・・
今は気づかなかったことへの後悔よりも服である
『ブラン様はお洋服持っていたりは・・・無いですよね?』
『えぇ、無いわ(キッパリ)』
そりゃあ必要なかったものを持ってるわけがないよね
胸を張って自信満々で答えるブランに違和感を感じるレム
性格と言うか・・・話し方が今までと違うんだ
『ブラン様なんだか話し方が変わりました?』
『たぶん姿が変わったから思考が容姿に引っ張られてるのね
「年老いた龍」と「可愛らしい娘をもつ母親」とでは
話し方も考え方だって違ってて当然じゃない?』
『たしかに今のブラン様の方が「お母様」って感じです』
『うんうん、「お母様」って呼ばれるの良いわね♪
「ブラン様」だと他人行儀な感じがして嫌だわ
今度からは「お母様」って呼んで頂戴ね』
『はい、ブランお母様』
『さて話をお洋服に戻しましょうか
レムのスキルで創れたりはしないの?』
『はい、創れるのは私が取り込んだ因子に基づいた物だけで
今現在持ってる因子が異世界料理だけなのです』
『私のスキルでも服を出せるものは無いのよねぇ
レムは他にもスキルを持っているのかしら?』
『たしかユニークとか言うのが2つと普通のが3つ・・・
あつ、さっき念話を覚えたので4つですね』
『ユニークスキルが2つあるなんてレムは優秀ね
何か良い方法が思いつくかもしれないから
レムのスキルをお母様に教えてくれるかしら』