会議は踊る−5
『あっ、そうそう、レムに伝言があったのよ』
何処か遠くを彷徨っていたレムはその声で帰ってくる
『伝言ってなんです?』
『シエルからなのだけど「聖教国は滅ぼしてもOK」って言ってたわ』
あぁ、聖教国ってどんだけ残念駄女神に嫌われてるのだろう
「やっぱり聖教国には近寄らないぞ」と心に誓うレムであったが
『たぶんレムが私の巫女になった旨がシエルから神託として下るから
聖教国の方から近寄ってくると思うわよ』
レムの心を読んだのかブランお母様から絶望な予言が下された
『この国にも聖教国がちょっかいを出すと思うけど
アルジャンが言ったように加護を与えたから直接的には被害はないはずよ
間接的に何か行動を起こすと思うけど食料とかはレムが居れば問題ないわ』
そんなブランお母様の言葉にミカエルさんが問い掛ける
『ブラン様にお訊ねしたいのですが「レム様が居れば」とは?』
『レム説明してもいいわね?』とブランお母様の言葉に首肯くと
『レムのスキルには魔素を元手に食べ物を出すことができるものがあります
この国は魔の森に隣接した国で魔の森には他より多くの魔素があるわ
もしも聖教国が他国に働きかけ食料の輸入が滞ったとしても・・・ね』
『塩等の生きるために必須なものでもレム様が居れば出すことができ
その量も魔の森の魔素があれば制限もなく供給できる・・・と』
『正解よ』と満足そうに頷いたブランお母様はレムの隣りにいるローズに向かい
『貴女にはレムのことで色々と面倒をかけると思うから特別よ』
ローズを抱きしめながら彼女のおでこに口付けを落す
口付けられたローズは淡く輝きながら『女神の祝福』と呟く
『これで貴女にも私の加護と光魔法のスキルが贈られたはずよ』
ローズは自身のステイタスを確認したようで目を見開いて
『「光魔法ランクS」神話級の魔法スキルです・・・』
その言葉に違和感を感じたレムは『ランクって?』と声に出す
『ランクとはスキルの強さ表すもので「ランクS」と言えば神話級
正に神の奇跡というような魔法で大変なことなのよ
と言うかレムはすでに神の奇跡みたいな魔法を使っていたわね』
いつものように呆れた感じで説明をするローズであった
『ローズもレムと同レベルとは言えないけど奇跡のような魔法が使えるわよ
レムの場合は魔法以外のスキルとかの影響もあってのあの結果なのよねぇ・・・』
なぜかしら?ブランお母様も呆れた感じで言うのだけど・・・解せぬ
『そろそろ時間のようね・・・そうだわレムもうひとつ伝言よ
シエルが「地球のスイーツを追加でお願いね」って言ってたの
ホントにあの駄女神には困ったものだわ』
創世の女神を駄女神と呼ぶ光の女神の姿に思わず苦笑いの一同であった
仕方がないなぁ・・・と思いながらケーキ各種を創造するレム
ブランお母様に手土産のスイーツをお渡しすると頭を撫でられる
そんな様子をホッコリした感じで観ていた一同にもレムはケーキを投入
ブランお母様をお見送りしたところで会議はフェイドアウトした
と言うか現実を受け止めるのに時間が必要なのであろう
疲れた表情に『甘いものは正義なのです』とみんなにもケーキを勧めるレム
また隠れようとしていた影の護衛さんも甘いケーキをおひとつどうぞ
こうして何故か始まったお茶会で国のトップ達をレムは無自覚に餌付けする
そんなこんなで再び増える「菓子の伝道師」の称号と天使の信者達なのだった