巣立ちの前に
『レムとは念話でお話は出来るけど隣には居られないから』
お母様はそう言うと少し寂しそうな表情をした
『私はこの世界では孤独だったから・・・
二柱しか居ない神龍で他の種からは畏れ敬われる存在
同じ神龍のノアルとも強い力が共鳴を起こして近くには居られない
レムにはそんな気持は味わわせたくないと思うのよ』
『お母様にはレムが居るのです』
レムが抱きつきながら言うとお母様は優しく微笑みながら
『そう私にはレムが居るから寂しくないわね』
とレムの頭を撫でてくれるのであった
『今のレムはこの世界では産まれたばかりで幼い存在なの
前世の記憶はあっても、この世界の知識は持っていないでしょ
考え方も見た目の年齢に引きずられて幼くなっていると思うわ』
たしかに今の自分の言動は幼子のそれだなとレムは首肯く
『だから人種の社会に入り込んで
この世界で生きて行く術を学ぶ必要があると思う
今のレムは人種の少女の見た目をしているから
彼等と寄り添いながら生きれば寂しく感じることもないでしょう』
『でもレムはゴーレムだから人種のように生きられるかなぁ?』
『そのためにも私と一緒に方法を考えましょう
先ずはレムが自身を護れるように私のスキルを受け継いで欲しいの
後はレムの見た目が成長していける方法を考えましょうね
確認だけれどレムの身体は魔法金属で出来ているのよね?』
『はい、複数の魔法金属で出来ているみたいです』
『見た目の印象が少し碧みがかった銀髪に白い肌だから
基本的な部分は青銀って感じかしら
日緋色金や金剛石も混ざっているかな
両方とも極少量だけどこの鉱山で採れたはずよね』
ファンタジー小説でよく見かける名前に少し心躍らせながら話をも聴くレム
そんな瞳を輝かせながら楽しげに身体を小刻みに揺らす愛娘の姿に
うちの娘めっちゃ可愛いと思いながらブランは話を続ける
『レムの身体と同じ魔法金属を取り込んだら身体が成長しないかしら?
ここの壁は魔力を帯びた場所が視えるから魔法金属があると思うの
レムの叡智の瞳ならハッキリとした種類や場所が視えたりしないかしら』
ブランの言葉に素直に従いレムは壁に向けてスキルを使ってみた
その視線が壁の少し色の違う部分に触れると目の前に光る板が現れた
「ミスリル鉱石
高純度のミスリル鉱石で少量のヒヒイロカネとアダマンタイトを含有する」
『お母様ミスリル鉱石がありました
なんか少しだけどヒヒイロカネとアダマンタイトが混ざってるみたいです』
『じゃあ早速そのミスリル鉱石を吸収してみましょうか』
レムはブランの言葉に首肯くとミスリル鉱石に手を当てて吸収スキルを発動させた