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とあるゴーレムの物語  作者: 秋色猫
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あるダンジョンコアの悲劇

その日忘れ去られた廃鉱の奥で新たなダンジョンコアが誕生した


遠い昔に滅び去った魔導王朝に貴重な魔法金属をもたらした繁栄の象徴だったが

今は昔、魔導王朝の詳しい記録も失われている現在の状況では

深い森の奥に存在する此の土地を訪れる者は居ないはずであった


だが誰も訪れない忘れ去られた場所は終の棲家(ついのすみか)としては魅力的だったのだろう

坑道の奥深くに一柱ひとはしらの龍が永かった人生の幕を静かに下ろそうとしていた


龍種の様な強い生命体は周囲に影響を及ぼすほど膨大な魔素を保有していた

最後の時を前に崩壊していく身体から溢れた魔素は坑道を満たしていった


溢れ出た魔素は坑道と言う閉鎖空間の中でその濃度を増し結晶化を始める

徐々に大きくなる結晶が大きめのオニギリ程のサイズになった時にそれは起こった

急に強い光を放つと結晶が自我を持ち自身をダンジョンコアだと認識する


ダンジョンコアはダンジョンを創り周囲から魔素や環境の因子を取り込み育てる

それはダンジョンコアとして神に定められた存在理由であり本能である


生まれたばかりの彼(ダンジョンコア)は自身の置かれた状況を確認する


「魔素は豊富に存在するがそれ以外に有用なものは少量の魔法金属くらい

量的に少なく環境の因子として取り込んでも鉱山系ダンジョンには成らず

洞窟系のダンジョンにしか成らない・・・」


「私は戦闘能力を持たないゆえ少しでも強い守護者ガーディアンが必要だ

一般的な洞窟系ダンジョンに生息する魔物を創造しても強い個体は無理だ

だが今ならば希少な魔法金属を使い強力なゴーレムを創造できるはずである」


そう判断した彼は自身の能力でゴーレムコアを創造する

ゴーレムコアは思惑通りに魔法金属を取り込みその身体を形成するが

その通常とは違う光景に困惑するのだった・・・


普通ゴーレムコアは黒くゴーレム自体も素材により多少は違いがあるが

人型でも人間とは似ても似つかない異形の如何にも怪物然とした姿で

自我もなく創造主の簡単な命令に従い動くだけの存在のハズだった


目の前のゴーレムコアは虹色に輝きを放ち・・・

形成される身体は人間の少女を思わせる姿をしているのだった


幼さを残す面立ちの少女が目を覚ますと瞳は紅玉ルビー蒼玉サファイアのオッドアイ

その瞳が一瞬困惑の色に染まったと思うや伸ばされた両の掌

その掌に包まれた彼に近づく少女の薄紅の唇

その唇が触れたと感じた刹那に彼の意識は途切れるのであった・・・


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