ゆいこのトライアングルレッスン 放課後~恋と友情のはざまに揺れる雨上がり(ひろしの視点)~
「下野紘 巽悠衣子の小説家になろうラジオ」の名物企画「ゆいこのトライアングルレッスン」に応募して採用していただきました物語のひろし視点です。
ゆいこ、たくみの視点も書きましたのでよかったら、
ゆいこ→たくみ→ひろしの順で読んでいただけたら幸いです。
さらに2年後のストーリーとして、「ゆいこのトライアングルレッスンH~観覧車でタブルサイドハグ!?~」につながります。
「あーこれ、雨来るな。」
教室の窓際に立ち、急に暗くなった空を見上げているたくみからは、なんとなく、俺をさけたように感じられた。
「残らせちゃって、ごめーん。でもさ、授業だけではわからないことが、ひろしとたくみの解説があると理解できるんだよねー」
「わかったから、よく見てて。」
ゆいこの右隣に座った俺はノートに書き込みながら、三角関数の説明を始める。
それにしても、ゆいこはわからないから教えてと言うけれど、実はけっこう理解している。だから、教えてというのは俺たちと一緒にいたいという単なる口実ではないかと思っている。
気づくと、たくみがこちらに戻ってきて、俺たちの前の席に座って頬杖をつく。
その瞬間だった。教室にまぶしい光が走り、ドッシャーンと大きな音。と同時に右手をつかまれ、ゆいこが悲鳴をあげて下を向く。ゆいこを宥めるために後頭部に左手をのせポンポンとする。
「はい、はい。落ち着いて。」
「少しだけ…このままでいさせて…」
か細い声で小さくなっているゆいこ。できることなら、頭ではなくて肩に手を回して抱き寄せたい。でも、それができないのはたくみがゆいこに恋心をいだいていることがわかっているからだ。たくみとは腐れ縁で、気があう。気が合うからなのか、俺もたくみもゆいこを想っている。多分、今目をあわせたら、そのことを痛感するだろう。
「こんな急な雷、すぐ終わるよ。雨やんだら、虹見えるんじゃないかなぁ。」
沈黙を破ったたくみの言葉にゆいこはすぐに反応する。
「じゃあ、屋上行って、雨上がりを待とう!!」
たった一言で、怖がっているゆいこの気持ち変えさせることは俺にはできない。さらっとやってのけるたくみがただただうらやましい。
「ゆいこの切り替えの早さにはいつも驚かせられるよ。」
駆け足で階段を上がるゆいこのあとを追いながら、呟く。
屋上に着いて雑談をしながら、少し待つと空が明るくなって来る。
「虹みーつけた!二人とももっと見えるところへ行こう!」
と、ゆいこに引っ張られる。たくみも一緒に引っ張られて三人が繋がっている。
ゆいこの俺たち2人と一緒にいたいという気持ちを大切にしたい。でもたくみがゆいこを好きなのもわかるし、自分だって独占したい。さて、この三角関係はどうすれば解ける? と、三角関数では導けない三角形の答えを、空に架かる虹のもとで考えるのだった。
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