1/18
SHR 嵐の気配
「うえぇぇん…」
もうこうしていること一時間。
未だに腕の中でぐずっている子供を抱いて、彼女は困ったように息を吐いた。
「ほら、疲れちゃったでしょ? もう寝ましょう?」
「うううっ、やだやだ! やだー!」
「やだって言っても、お兄ちゃんにはすぐに会えないのよ?」
「やだあぁー! 今がいい! 今じゃなきゃやだぁ‼」
せっかく落ち着いていたのに、火に油を注いでしまった。
ここしばらくすっかり落ち着いていたのに、まるで幼稚返りをしてしまったよう。
「どうしましょうかね…」
もうあの子も高校三年生になろうという時。受験勉強も本格化してくるだろうし、あまり邪魔はしたくないけれど…。
「ごめんね、ユキ…。」
彼女はほう、と肩を落とし、携帯電話に手を伸ばした。