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SHR 嵐の気配

「うえぇぇん…」

 もうこうしていること一時間。

 未だに腕の中でぐずっている子供を抱いて、彼女は困ったように息を吐いた。

「ほら、疲れちゃったでしょ? もう寝ましょう?」

「うううっ、やだやだ! やだー!」

「やだって言っても、お兄ちゃんにはすぐに会えないのよ?」

「やだあぁー! 今がいい! 今じゃなきゃやだぁ‼」

 せっかく落ち着いていたのに、火に油を注いでしまった。

 ここしばらくすっかり落ち着いていたのに、まるで幼稚返りをしてしまったよう。

「どうしましょうかね…」

 もうあの子も高校三年生になろうという時。受験勉強も本格化してくるだろうし、あまり邪魔はしたくないけれど…。

「ごめんね、ユキ…。」

 彼女はほう、と肩を落とし、携帯電話に手を伸ばした。

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