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始まりの村2

「…父さん、僕行ってくる」

腫れぼったい瞼と鼻を垂らした情けない顔の勇者は、真っ直ぐに父を見つめた。つつけば泣きそうなことには変わりないが、覚悟だけは決めたようだ。

村の出口まで父と二人、特に会話もなく並んで歩いていく。時折、鼻をすする音が聞こえてくるのを聞こえないふりをして進んでいくと、協会の前で箒で掃除していた少年が話しかけてきた。

「どこに行くんだ?」

「めがみのほこら」

真っ赤な目に、ダラダラと鼻が垂れてる勇者の姿に、少年はパチパチと瞬きしてからしょうがないと腰に手を当て失笑するが、その顔は弟を心配する兄のようなだ。

「僕も行く。アールだけだと心配だからな」

少年はイヴーレィという協会の息子でアールと同い年の幼馴染だ。銀髪に緑目、外で遊んでいるというのに真っ白な肌で頭のいい美少年。天然で少し自信家なところが、たまにキズだが友達想いのアールの自慢の友人。

「僕は少し準備があるから門の前で待ち合わせな!」

「先に行ってるね」

手を振って協会の中へと入って行ったイヴを見送り、袖で目を強く摩って滲んでた涙を拭き取る。

「よかったな」

父に一人で行くと言ってもかなり不安だったのか、イヴが一緒に行くという言葉に泣きそうな顔がパァっと晴れるように嬉しそうな顔をしているアールに言うとはにかむ様に笑って頷いた。



「村から祠までの間で魔物を見た奴はいないが、二人とも注意して行けよ」

二人の頭をグリグリと撫で回し、気合いを入れるために背中を強目に叩いたら二人して前のめりでよろけてしまったのはご愛嬌。父の愛が、ほんの少しばかり強すぎてしまっただけだ。

「わかった。覚悟しておく」

「もし魔物に倒されてもちゃんとアールを協会まで担いで逃げますので大丈夫です!」

逃げ足には自信があると胸を張るイヴにお願いね、と頼むアール。イヴは肩に担いだソレで戦わないのかとか、蘇生前提かとツッコミをいれたいが、二人してアールが倒された後如何に素早く棺桶を担いで村まで逃げるか作戦を立ててるため、とてもそんな雰囲気ではない。父は純粋に二人だけで行かせていいのかと心配が強くなっただけだった。

「…これ、持ってけ」


勇者はひのきの棒を手に入れた

装備しますか?

→はい

いいえ


「じゃあ、気をつけてな」


始まりの村を出ますか?

はい

→いいえ


「場所はわかるか?」

「大丈夫」


始まりの村を出ますか?

はい

→いいえ


「忘れ物はないな?」

「ないよ」


始まりの村を出ますか?

はい

→いいえ


「早く行ってこい」


始まりの村を出ますね?

→はい

いいえ


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