第十一話 換金
カイルに気になったことを聞こうとしたリミュスだが、タイミング悪く順番が回ってきたため会話を諦め、カウンターへ向かう。
そこにいたのは、厳つい顔のハg....スキンヘッドの男だった。リミュスはその男を見るなり
(あぁ、だから列少なかったのか。)とどこか納得する。
「何の取引だ?嬢ちゃん」
だが納得は出来るものの話せるのは別だ。いきなり厳ついおっさんと会話出来る程リミュスの心は強くない。口は開くが肝心の声が出ていない。そんな様子に職員の男もどうすればいいか戸惑う。職員の男はよく冒険者の対応をしているが、ここまでの反応はされたことがない。それに相手は少女だ。怒鳴るわけにもいかない。次第に職員の男は顔を顰める。
(あ...怒ってる.......もうむりぽ)
リミュスは思考を投げ捨ててしまった。そんな光景に後ろにいたカイルは居ても経ってもおられず、リミュスの代わりに話し出す。
「カザフさん、魔物の換金の準備してあげてくれ。」
「お、おぉカイルか、助かる。魔物の換金だな。わかった。」
「ほらリミュスあっち行くぞ。」
「...はい....」
リミュスは返事をするものの上の空である。カイルはリミュスの背中を押しながら職員の男についていく。
「ハァ、全く。カザフさんは笑顔の練習でもした方がいいぜ。そんなだから誰もカウンターに女が来ねえんだ。」
「これでも笑顔を作っている。それより、その嬢ちゃんはカイルの妹なのか?酷い姿してるが何やらかしたんだ?」
カザフと呼ばれた職員の男は広いスペースの中に入り、そこそこの大きさの銀発色の物をセットしている。
「俺に妹は居ねえよ。街中で迷子になってたから連れてきたんだよ。何日も放浪しててこうなったそうだ。」
「なんだそういうことか。っと、ほら嬢ちゃん。ここの測りの中に入れてくれ。」
「ひゃい!...」
突然声を掛けられ、変な声を上げるリミュス。動揺しながらも目の前にある銀発色の物の中に魔物をだそうとするも、その中に入りきらないと解り質問をする。
「あの...これより大きいサイズありませんか?この中だとちょっと収まりきらなヒィッ!」
質問をしながらカザフの方へ顔を向けていたので、カザフの顔が目に入ってしまいまた怖くってびびってしまうリミュス。森の中で魔獣を倒していた根性はどこへ行ったのか。
「むぅ、これじゃ入らないのか?少し待ってろ。」
その様子に悲し気に唸るカザフだが、すぐに違う大きさの物をセットし始める。
「リミュスは何をしまってるんだ?オークでもあれなら入るぜ?」
カイルはリミュスが大きいのを要求したのが気になり聞いてみる。
「えっと...ウルブズさんが言うには、確かエルダー...なんとか?」
早速魔獣の名前を忘れてしまっているリミュス。だがエルダーだけは覚えていたようで、辛うじてそこだけは言えた。
「エルダーなんとかって一番重要なとこじゃないかそれ...。てちょっとまて。エルダーって言ったか?」
「そうだよ?」
「エルダーってそr」
「準備できたぞ」
「あっはい!」
カイルはエルダーの部分に反応する。名前の前にエルダーとつくのは今のところ、アルカ大森林にいる魔獣達しかいない。リミュスが言ったエルダーというのが本当なら、出てくるのはその森の魔獣ということになる。それを確かめるためもう一度聞こうとしたが、またもタイミング悪くカザフが作業を終わらせる。それを聞いたリミュスは怒らせてはいけないと返事をし測りの前に行く。
「今度は大丈夫そうか?」
カザフはどんなものが出てくるか分からないため、リミュスに確認を取る。
「はい大丈夫です。」
そしてリミュスはアイテムボックスの中から魔獣を出そうとするが、途端に焦り始める。一体どうしたのかと思った二人だが、すぐに安堵したようにリミュスは魔獣を取り出す。
出てきた魔獣の姿を見て、カザフとカイルは驚愕を露わにする。と同時にカイルはなぜ大きいサイズを要求したのか納得がいった。確かにこいつを入れるには最初のでは小さすぎる。だが、何故少女がこいつを持っているのだろうか。カザフはいきなり出てきた大物に未だびっくりしている。
「なぁ...リミュス...。お前なんでこいつ持ってんだ?」
「森の近くを歩いてる時に偶然、倒れてるのを見つけたんです。」
―――今度はちゃんと人の目を見て言えた!
リミュスは二人の様子に気づかず、ウルブズに注意されたことを直し、少し得意げになっている。
「なんだ、そういうことか。リミュスが仕留めたのかと思った...。」
「アハハ...さ、流石に無理だって~!」
図星である。
と、カイルとリミュスが話しているとカザフが再起動したのか、魔獣の検分を始めた。
「これはすごい、エルダータイガンなんて久しぶりに見た。所々肉が欠けてるな。それに全体的に毛皮が焼けて、長く地面を引きずった後があるな。」
(俺が食べたのとドラゴンに燃やされた奴だな...。最後のは街まで引きずってたしその時のかな。)
リミュスはカザフの見分があっている事を照らし合わせながら確認する。
「ふむ。状態はあまりいいものではないが、素材に出来るものは多く残っている。毛皮がほぼほぼダメになっているが使えないわけではない。そもそもエルダー種が貴重だからな。それを差し引いても、342000cってところか」
(342000cってのはこの世界のお金、なんだよな?多いのかどうか全くわからん...)
リミュスはこの世界の知識や常識など持ち合わせていないので、さっぱりわからない。適当に頷いている。
「解りました。」
「拾い物が偉い大金に化けたもんだ。よかったな」
カイルが横で羨ましそうにこちらを見ている。
「カイルも森の近く歩てみたら?」
本当の事を言えるわけがないので、カイルを茶化すリミュス。
「お断りするよ。俺はまだ死にたくないからな。」
カイルを茶化しているとカウンターの奥から袋をカザフが持ってきた。中からジャラジャラと小さな金属がぶつかる音がする。
「待たせたな、嬢ちゃん。エルダータイガンの金だ。手元に持ってると危ないから、ちゃんとアイテムボックスにしまうんだぞ?」
カザフはリミュスにお金を渡し、優しく声をかける。
「あ、ありがとうございました...。」
が悪魔のささやきにしか聞こえずリミュスは少し後ずさりながらお礼を言う。
そしてすぐにその場を後にするのであった。
「しっかし、本当運がいいなあいつは。ドラゴンが仕留めた獲物を放置してるのを見つけるんだからよ。」
その場に残されたカイルはさっきの魔獣について話し出す。
カイルは魔獣が燃えていた痕を見つけ、そこからドラゴンに焼かれたのだろうと推測した。胸に穴が開いていたが、それも恐らくドラゴンの仕業だろうと。だがそこにカザフが否定する。
「いや、あれはドラゴンにやられたわけじゃない。寧ろあの魔獣を仕留めた奴がドラゴンと戦ったんだろう。」
「へぇ、どんなのかわかるのか?」
「全く。あの森は唯でさえ全ての魔獣を観測できたわけじゃないからな。何か知らない魔獣がやったのだろう。眉間を一突き。恐ろしい奴だ。」
「なんだそれ。そんなのまで居るのかよ。やっぱあの森は近づかねえのが吉だな。」
「ああ、それがいい。ところでお前はまた魔物か?」
「そうだ。もちろんこれより小さいサイズだ。」
「解っている。」
カイルは森に近づかない事を再認識し、二人は魔物の換金へと戻っていくのであった。
お読みいただきありがとうございます。
書いてて思ったんですけど、主人公のメンタルがががががggg。
多分このメンタルの弱さは書いてる内に存在しなかったことになりそう....。
さて、通貨が出てきました。
軽く考えてこんな感じです。多分このままいきます。
1c=10円
鉄貨=10c
銅貨=100c
銀貨=1000c
金貨=10000c
大金貨などもあった方がいいのかな?と思いますが、それはまた必要になったら訂正します。
1cは貨幣がないのかって?....出てこなかったんです(殴




