第九話 冒険者ギルド
「深く聞かれなくてよかった~」
街に入って、リミュスは安堵する。
(気づいたら別の世界にいて、女の子になって森の中にいて3週間も彷徨ってました。なんて言っても絶対信じてもらえなさそうだし、あれでよかったかな....?森の中彷徨ってましたって言えば済む話だったんじゃないか?あれ?)
少ししてからその考えに思い至るリミュス。早速ファーストコンタクトを間違えたことに気落ちする。
―――まぁ過ぎたことだしいいか。
リミュスはその事を捨て置くとすぐに他の事を考える。
(ウルブズさんがここはヴァルナリア帝国のヴェスタリアだって言ってた。でもAPOにそんなところはなかった。てことはやっぱりここはAPOの世界じゃないってことだよな。)
リミュスは考える。ここがAPOじゃないなら、この先どうしたものかと。APOならば所属していたギルドにいけば何かしら状況把握、そうでなくても拠点の確保ができたのだが、APOでないなら話は別だ。目的は自分がなぜこの世界に来たのかという理由を探すこと。だがそれに先立つ為の拠点も無ければこの世界の知識もない。さっきの虎も、この世界独自の動物かと思っていたが魔物だったのだ。
―――例え元の世界に帰れるとしても、それを選ぶことはないかな
先ほどのウルブズの反応、今の自分の体、そして向こうでの惰性の日々。少女――それも自分で作った好みの容姿、顔をしている――になっていて、この世界ではそこそこの強さを持っている。惰性で生きていた向こうにどうして戻る必要があろうか。リミュスは完全にこちらで生きていくつもりであった。
「そういえば魔物を換金する場所があるって言ってたな。どこに行けばいいのか聞いとけばよかった。」
この街どころか、この世界が初めてであるのに何も聞いていないリミュス。早速道に迷ってしまっている。無暗に動いてもさらに迷ってしまうだろうと考えリミュスは誰かに道を聞こうとする。だがリミュスは大事なことを忘れていた。
「....知らない人に話しかけるの怖い....」
そう、リミュスは極度の人見知りであった。
その事実に気づき頭を抱えその場で蹲るリミュス。周りはいきなりしゃがみこんだリミュスに訝し気な視線を送り、すぐにその姿に驚く。とても高そうな服を着ているが、その姿は泥や血で汚れていて台無しにしてしまっている。更にリミュスからは血の匂いやなんやらで異臭が漂っており、皆遠巻きに様子をうかがっている。だがリミュスは周りの状況が見えず、自分の世界に入ってしまっているため気づかない。そんなリミュスに近づく者達がいた。
「どうしたんだ?こんなところで団子になって」
いきなり声をかけられてびっくりしたリミュスは反射的に上を見上げる。
そこには、4人の冒険者らしい男女がいた。
「おっと、びっくりさせちまったか?」
黒髪の男がそういうと、隣にいた魔法使いの恰好をした女が男に向かって非難する。
「もう、相手は女の子なんだからもうちょっと優しく話しかけたら?」
「カイルはもうちょっと女の子の扱いってもんを知った方がいいよ?」
「私は十分に優しかったと思いますけど?」
魔法使いの女がそういうと、続けて軽装の男が賛同し、白いローブを着た女がフォローを入れる。
そんな自分そっちのけの会話をされるリミュスはどうしていいかわからず呆然としてしまった。それに気づいたのか、魔法使いの女がしゃがみリミュスと目線を合わせ話しかける。
「君、道の真ん中でどうしたの?」
「え...えっと...あの」
リミュスは今まで女性と顔を合わせて会話することはあったが、ここまで顔を近づけたことがなく軽くきょどる。だがすぐに聞かなければいけないことがあったことを思い出し、それを聞くことにする。
「魔物を換金する場所ってどこにありますか?」
魔法使いの女はちゃんと話ができたことに安堵し、すぐに答える。
「冒険者ギルドの事ね?なら私たちが案内するわ。丁度私たちも依頼の報告に行くところだったし。」
「あ、はいお願いします。」
どうやら冒険者のようだ。リミュスは渡りに船とお願いする。それに魔法使いの女も微笑み立ち上がり他の三人に向き直る。
「皆もいいでしょ?」
「おう。」
「いいよ。」
「いいですよ。」
皆からの賛成を得、魔法使いの女はリミュスに手を差し出す。
「えっと...」
「また迷子になったら危ないでしょ?」
「あっはい」
子ども扱いされたリミュスは納得いかない様子で手を握る。その様子に軽装の男が笑い、女性陣は微笑む。黒髪の男はなぜ笑っているかわからないようだ。
――――――――――――――――――
しばらく歩いていると、盾と剣が描かれている看板が掛かった大きな建物の前に着いた。
「ここが冒険者ギルドよ」
「ここが、冒険者ギルド...」
「さ、入りましょう」
魔法使いの女に連れられギルドの中に入る。ドアを潜ると、ギルド内にいた冒険者らしい者達から一斉に視線を受けた。最初は入ってきた冒険者の4人へ、その後リミュスへと視線を向け、すぐに会話へと戻ろうするがリミュスの姿を凝視し始める。何故少女が血や泥で汚れててこの場に連れてこられているのか。奴隷ならばわかる。だが少女の着ている服は奴隷が着るようなものではなく、寧ろ貴族が来ていそうなほど綺麗だったものだ。泥や血で汚れていなければそれだけで一財産となりそうなほどだ。冒険者達はその少女が何者なのか興味を持った。
リミュスは自分が注目を受けていると分かってしまい、萎縮する。
「どうしたの?」
魔法使いの女が気遣って声をかけてくる。
「あ、いえ大丈夫です。...あの、換金はどこですればいいのでしょうか」
気遣われている事が解ったリミュスは、何でもないと返事をし目的の場所を聞く。
「あそこの一番右にあるカウンターよ。」
魔法使いの女が示す方を見ると、カウンターの横に大きいスペースが設けられており、そこでギルドの職員と思しき人物と会話している冒険者を見つける。
「解りました。ありがとうございました。」
それを確認したリミュスは4人にむけてお辞儀をする。
「いえいえ、それじゃあね。もう迷子にならないようにね。」
「はい...///」
最後にまた子供扱いされたが、その通りで何も言い返せず照れ隠しに下を向いてしまうリミュス。
そんなリミュスをみて3人は笑いながら手を振って違うカウンターへ向かい始める。黒髪の男はまた何故笑っているのかわからず疑問を浮かべながらついていった。
お読みいただきありがとうございます。
遅くなって申し訳ないです。ネタが出ませんでした。(言い訳)
本来は登録したかったのですが....またかよって話ですよね。お話進めるのって難しい....
今回も引き続き第三者視点を目指しました。こんな感じでよいのでしょうか。後変に細かく説明してしまってる部分や、逆に説明不足な点などがあったらお伝えください。それを参考にもっと読みやすくしていきたいです。
感情をうまく言葉に表すのって、本当に難しいですよね....只今痛感しています。




