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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

生まれた理由をください

作者: 微睡み朧猫

物心ついた頃、両親が離婚し僕は父方に引き取られた。

つい最近、故郷で自殺した母親も喪主の妹の記憶も殆んどなく、遺影を見たが正直誰かも分からなかった。


暫くして家に知らないおばさんが来て

今日からお母さんと呼びなさいと言われた。


程なくして生地獄は始まる。

借家の小さな部屋は牢獄と化し、様々な虐待の日々に苛まれた。

絶えず消えぬ青あざ。

満たされる事のない餓えと乾き。

理不尽な暴力と浴びせられる罵声。

不衛生により学校ではバイ菌扱いされ虐めの的、教師も知らぬふり。

誰も味方は居らず、日々阿鼻叫喚の中、ただただ耐え忍ぶより術はなかった。


生まれた事、生きている事自体が罪なのかな?


やがて8才の頃、死の存在を知った。

自殺と言う選択肢を知った。

知恵遅れ担当の教師から教わった。

教師の罵声内にそのキーワードを見つけた。


帰宅すれば牢獄に身を投じるも同じ。

毎日祈りながら帰宅した。家には誰も居ませんようにと。

なぜなら生ゴミを漁り 僅かながらも空腹を満たす事が出来る。


しかし、餓えに耐え兼ね生きる為、畑の野菜や木の実など何でも口に運んだ。

盗みがバレた時はストーブで掌を焼かれ、手足を縛られ逆さから浴槽に投げ込まれた。


命の危機を感じ泣き叫ぶすぐ横で笑い声が聞こえた。


死出の旅と心に誓い、何度も家出を繰り返し、死にきれぬ己が惨めで仕方がなかった。


雪深き真冬 14歳

山小屋に籠った。

静寂がこれ程までに素晴らしいと初めて知った。ここには己に害を成す者は誰一人として存在しない。

空腹より自由が勝り、気が紛れた。


三日後……足の指が全部黒くなり

四日後……完全に歩けなくなった。


遂に待ち望んだ時がやってきた。

五日後……時おり意識を失う。

体が動かなくなり、そのまま眠った。


六日後……なにも覚えていない。


気がついた時、病院のベッドの上に居た。

後に聞いた話によると 休憩の為、山小屋へ立ち寄った猟師に発見されたらしい。


今でも生きる本当の意味を見出だせないのだが

少なくとも他者様により生かされている事だけは否めない事実。

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