1 俺の日常。
「ねぇ、遅いんだけど!」
今日も今日とて聞きなれた声と、セリフが部屋に響く。
「すいません!さっき転生させたやつの魂が扱いにくくて、時間かかってしまいました!」
とっさに考えた言い訳。
実は恋愛神メルに言い寄ってました(笑)
なんて言ったらどうなることやら。
そんなことを思っていたら思考を遮るように、怒声が再びとんでくる。
「だから水神ウィーナにも振られるんだよ!とりあえずそこの書類とりなさい」
「振られるのは関係ないと思いますけど!? 」
そう言いつつ俺は書類を渡し、イスに腰掛けた。
そう、何を隠そう。目の前にいる金髪碧眼の美人こそ、ルルーム先輩である。
口を開かなければ美人のこの先輩は神の中でも上、つまり文句を言えないのである。
あ、ちなみに俺は結構上の方なんだけど、能力として上位互換のルルーム先輩の下についてしまったせいで、地球で言う週休が本来は4日あるはずなのに、現在週休1日ですね。 つらいですね。
ともかく、今先輩が何をしているのかというと、正直俺はどーでもいい。
先輩は電話中なので黙っておこう。
「なによ、なんでだめなのよ! 復活させてあげてもいいでしょう! だめなら人類に対して有害な生物生み出すわよ!」
どうやら先輩のお気に入りだった、地球上のとある生物が絶滅してしまったらしい。
ここが生命を生み出す難しい所で、生み出す事はできるのだけれど、生み出したのはいいけど絶滅してしまった生物は2度と生み出すことはできない。
神の世界も大変でしょう?
「もういいわよ、わかったわよ!じゃーねパパ!」
ちなみに先輩のパパは神の中でも上位の上位、神憲神ルクムガルドである。
会ったことは無いが、話を聞く限り最近ラップにハマってるらしい。
地球上、それも極東の島国日本の娯楽番組、フ〇ースタイルダンジ〇ンが好きなんだってさ。どーでもいいですね。
「聞いてよ、パパってば酷いのよ!」
聞いてました、もういいですと思いつつ答える。
「そーなんっすかー、酷いっすねー」
「そーなの酷いの!まずね・・・」
あぁ、また愚痴かと思い俺の意識は恋愛神メルへと移行する。
明日また話そう。そして口説こう。
このゴタゴタしてる神の世界で生きている俺を褒めつつ、メルへの思いを募らせながら今日も生きていくのであった。