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やっぱり一人って気楽だね

誰もが夢を持っていると容易く語る

だけどそれはただの戯言

実際そんなわけはない

何も出来ない人や

何がしたいのかわからない人だって

この世にはたくさんいる

趣味がないから仕事の事ばかり

考えたりする人

やりたくもないことを病みながら

惰性で何とかやり続ける人

私は後者であろう


私の名前が散り行く頃

私自身も散り行くような気持ち

「現場の紅葉ちゃん」

「はい、今日も赤く色めきます

諏訪紅葉です!今日は中道町の

甲斐古墳塚古墳に来ております」

正直こんな仕事やりたくない

本気を出さず50%〜

お笑いやりたかったな

だけどピン芸人は辛いわ


4年前の高校卒業と共に夢だった

お笑い芸人になる為上京したら

毎日お笑いのブルーレイとか観て

勉強もしたりマネージャーと共に

日本中を駆け巡って営業もした

しかし、全く仕事の依頼がなく

バイトの報酬の方が多いことも多々あった

ある日地元の友達から電話が掛かった

「紅葉ちゃん、こっちで活動しろよ」

彼はテレビ局に勤めており中学からの腐れ縁

都内にいる友達から私の仕事がないことを

聴いたのだと思われる

無事ローカルタレントにはなれたが

基本的に滑りっぱなしのレポーターとして

県民に知られるようになった

ファンも出来てサインを求められたりする

安定した収入と休日に満足もする

だけど、それが本当にやりたいことか

どうなのか本気で悩んだりする


其処で始めたのが旅である

旅をしながら何かを考え

何かを発見して、何かを知る

何もないところにこそ

何かがあって

何でも揃うところこそ

何もかも失った場所なのだと

最近思い始めた

とはいえ、幼い頃から旅はしていた

幼少期に電車で長野や東京に行ったり

学生の頃は実家の須玉町から石和温泉まで

自転車で行くこともあった

それは今でも変わらない

もう一層の事旅で喰っていきたい

人生、旅で終わらせたい

そうだ、そうしよう

その生き方にしよう

世捨て人でも構わない

取り敢えず東日本一周とかしようかな

もういいや、ローカルタレント辞めよう

やりたかったことじゃないし


「マネージャー、私、タレント引退します

正直やりたかったことじゃないので

お笑いも考えましたが運もないので

旅に出て気に入った街で就職します」

「あーそうか、勝手にすれば

お前、やっぱりやる気なかったようだね

態度とか見れば最低だったしね

リアクションない時とかあったしね

食レポとか感想も棒読みで平板的だし

今迄不満言うのは我慢していたけど

精々するよ、やったね、じゃあね諏訪」

「あんた、マネージャーの資格なし」

「なんだって!?」

なんとなくそう言われるのはわかっていた

まあいいや、早く引越先をダーツで決めよう

其処に私は住むから


結局、テレビ局や家族、身内にも相談せず

私は新しい生活の準備を始める

迷惑かもしれないけど

何もかもがどうでもよくなっていた

家に帰って東日本の地図にダーツの矢を

向けて嚔と共に放つ

「福島県棚倉町?」

地理が好きな私はすぐわかった

水郡線とJRバス白棚線

国道118.289号があって

福島県の南部でいわき、白河の間で

関東にも北東北にも新潟にも行きやすい

ような場所に位置している

紅葉や桜の名所が多く

私の名前が紅葉なだけに少しだけ

運命を感じてしまった


早速、向こうのアパートを探す為に

棚倉町へ向かった

久々の新幹線で胸が熱くなる

贅沢にグリーン席に座る

鼾が途切れる頃には新白河駅に着いていた

其処からバスで棚倉町に入り

不動産屋に行く

「こんにちは、あのーとにかくこの街に

住みたいので安い物件ありませんか?」

「じゃ最安値物件の此処...」

「此処で!」「はぁ、」

速攻に決めて山梨に帰り引越の準備を始める


数日後、引越業者は福島へ向かい

アパートの荷物は全て持って行かれたが

車で福島に行かなければならないのは

「正直怠過ぎるわ、電車で行きたい」

ただ、下道で6時間もあれば行けるので

眠気やラーメン屋に釣られながら

国道140号や国道294号などで向かった


埼玉、栃木と二県通過して

辿り着いた福島県棚倉町

「さあ、部屋に荷物を置こうかな」


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