娘の正三角形
文才なくても小説を書くスレで、お題を貰って書きました。 お題:正三角形
何を考えているのか、分からないことは常々あった。
「だからね。猫は丸っこくて、犬は四角っぽいの」
ニュアンスは伝わってくるものの、なぜそういう発想に至ったのかがよく分からない。
しかし、とても楽しそうにケラケラ笑うので、私はそれでいいのだと娘の手を引きながら思う。
なるべく理解できるようにつとめようと、しっかり悩みぬいて私なりの答えを出してから「ひょっとして、○○ということかい」と聞くようにしている。
娘はそれを聞いて、合っていれば喜ぶし、間違っていてもそれはもう楽しそうに、
「違うよ。○○だよ」
というのが常のことだった。
妻はそんな私のことを「理詰めで考えようとするから悩むのよ」と笑っていたが、その笑いは別段詰るような嘲笑でもなく、娘と同様にとても朗らかな微笑だったから、それはそれで間違いではないのだろう。
とはいえ、しっかり悩むことすらできないときもある。
例えば、
「あ、正三角形」
と言われたときなんかはとても困った。
その視線の先には娘と同じくらいの年代の少年が歩いていて、むしろ見た目は四角かった。
新しいものに触れた時には知識というのは新鮮なもので、正三角形を教えられたばかりの頃に、ましてやそれを用いたがるような子が、やや長方形っぽい四角を見て正三角形と勘違いする可能性はないと思えた。
別段、服装にも三角っぽいところはない。
トレーニングの成果で出てくる肩幅から腹筋にかけての三角形があるわけでもない。
手荷物も、その周りの風景にも、むしろどこかに一つくらいはあってもいいだろうに見事にどこにもなく、私はほとほと困り果てた。
私は娘の出した問題に仮説すら立てることもできずに、ただ聞いた。
「どうしてそう思ったんだい」と。
すると娘は楽しそうに、
「ほら、角刈りの正三君だから」
と言った。
「分かるか、そんなの!」
思わず声を張り上げてしまったが、娘はそんな私を見てケラケラ笑うので、これはこれで間違ってないんだろうと思うことにした。
やっつけなのは否めませんが、やっつけようとしてやっつけられたことにビックリ。
じっくり物語を練りたい今日この頃ですが、妙に忙しい。
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382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/17(土) 08:03:30.24 ID:7IzAeQ3P0
お題下さい
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/17(土) 10:00:49.90 ID:WjciP6Wjo
>>382
正三角形
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/18(日) 06:51:06.62 ID:2+dlzNWy0
>>384
ありがとう