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くろいほん。

 お兄ちゃんは怪しい物がとっても似合うようです。いったいどこから見つけてくるんでしょうね?

 結局浩紀さんからは何も分からなかった。というのも、浩紀さんが樹いじめに徹してしまって話にならなかったからだ。


「まだ昨日のこと引きずってんのかよ。いい加減うざい……」

「だって!」


 今日も樹は学校まで俺に付きまとってた。しかもウジウジといじけまくってる。樹をここまで追い込める浩紀さんもすごいけど、そのとばっちりを受けるのは俺だ。何としてでもやめてもらわねば。


「……浩紀さんに樹をいじめるなって言ってみるか。無駄だと思うけど」

「遥ちゃん! 僕のことそんなに……!」


 一人何か勘違いしているような気もするがまあ、ウジウジしなくなったからいいとするか。ほっとけ。……それにしてもさっきから西島の視線が気になる。昨日あんなに気軽すぎるほど話しかけてきた奴と同一人物とは思えん。あ、目があった。……? どうしたんだ? 西島の奴、急に顔が真っ青になって目をそらしやがった。


「昨日からあいつどうしたんだ? 急に目そらしたり、失礼な奴だよな」


 なあ、樹、と言って振り返ると、さっきまでウジウジしてた奴は誰なんだ!? というくらい上機嫌な顔をした樹がいた。


「お前、何でそんなに機嫌いいの?」

「う~ん、兄さんの気持ちが分かったからかな」


 意味分かんね。浩紀さんの気持ちが簡単に分かるわけがない。つか、浩紀さんの気持ちって……、


「お前、西島をいじめてるのか……?」

「え、そんなするわけないだろ? 兄さんじゃあるまいし」

「兄さんの気持ちが分かったような気がする、って言ってたのはどこのどいつだよ」

「え~、誰だろぉ♪」


 ムカッ! 


「……俺、嘘ついたり誤魔化したりする奴が一番嫌い」

「ごめんなさい!!」


 やぱっり素直が一番だ♪ しかし相変わらず樹も分かりやすい奴だな。まあ、何でこれが一番効くのかは未だによく分からないが。浩紀さんに教えてもらったときから使わせてもらっている。


「まあ、いっか。あいつのことはほっといて、今日どうする? また浩紀さんのとこ行ってみるか?」


 樹が全力で首を横に振った。まあ、そうなっても仕方がないようなことが昨日はあった。




 ――――――それは昨日の放課後、樹宅にて起こった。

「遥ちゃん、これ見て」

「なんですか、これ。何かすっげー怪しい本ですね」

「実はね、昨日樹がのこのことこの家に入りこんだだろう? それでその日のうちに取り寄せた」


 浩紀さんの目が輝いている。これは結構危険なサインだったりする。主に樹にとって。案の定樹が微妙に浩紀さんから距離をとりながら質問した。


「で、そ、それは一体何なんでしょーか?」


 情けないことに声が少々裏返っている。無理もないか。目を輝かせた浩紀さんは俺には害が及ばないと分かっていても恐ろしい。


「これはね、フフ、見てみるかい?」

「「遠慮します!!」」


 珍しく声がはもった。その本は黒い装丁で、表紙にはかすれていて読みづらいが、悪霊徐霊術とか何とか書いてある。貴方の弟は悪霊ですか!? 樹は何も見なかったことにしたらしい。


「僕結構こういうものにも興味あってね。ちょうど弟がいい感じになったから試してみようかと」


 弟実験台!? でも浩紀さん、その本似合いすぎです。浩紀さんは本を抱えて立ち上がると、真黒い微笑みを樹に向けて言った。


「さて、付き合ってもらうよ。樹♪」

「嫌だーーー!」


 泣き叫ぶ樹。それを無視して樹を引きずっていく目を輝かせた浩紀さん。……あれ、樹って触れないんじゃなかったけ? 目を輝かせたところは子供みたいで可愛いんだけどなぁ。絶対巻き込まれたくない。


「あ、遥ちゃんは適当に寛いでて。すぐ終わるから」


 そう言って樹を引きずった浩紀さんは家の奥へと消えて行った。その後樹の悲鳴が家じゅうに響き渡り、浩紀さんの笑い声もまた響き渡ったのは言うまでもない。

 ぐったりして帰ってきた樹曰く、


「もう二度と家には帰らない……」


 いったい何があったんだ?

 次回はちゃんと話が進むはずです。樹の未練って何なんでしょうか。

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