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みじかいやつ

「あめのひ」

作者: 猫村 子麦
掲載日:2026/04/19

これ書いたの小学5年生の時です。今とスタイルが全然違います。

 ある日の学校の帰り道に、雨が降りました。それはもう凄い勢いの雨で、よく「バケツをひっくりかえしたような」と表現されるのもわかる気がします。

 その大雨の中を、私は合羽を着込んで傘を差し、歩いていました。合羽は小学一年生の頃から使っている物なので、もう丈が合わず、太腿の中間辺りからは、雨にずぶぬれでした。そして、幸か不幸か、その日の私は長ズボンを穿いており、雨にさらされたズボンは見事に雨を吸って濃い色になりました。最初はまだらで少なかったその色は、だんだんと広がって行き、ズボンの大半を染め上げてしまいました。その色は酷く冷たく、足から体温を奪っていきました。

 急がなくては、風邪を引いてしまう。

 走りたい気分でしたが、転んだらもっといけないので努めてゆっくり歩きました。

 

 途中で、傘も合羽もなくのんびり歩いている人に出会いました。

 会釈しました。

 途中で、丈の合った合羽を着てはしゃぎまわっている小さな子供に出会いました。

 ぶつからぬように避けました。

 途中で、雨の中を飛んでいる蝶に出会いました。

 屋根の下に誘導しました。

 途中で、横断歩道の前の停止線で止まってくれた車に出会いました。

 小走りで横断歩道を渡りました。


 ずっと、私の足は止まりません。


 急に雨が止みました。

 今まで傘に落ちて音楽を奏でていた雨粒が落ちてきません。

 しかし

 地面に落ちる音は聞こえます。

 よく見ると、私は今木の下にいて、木の葉が雨を止めていたようです。雨がやんだ訳ではありませんでした。

 初めて、私の足が止まりました。

 しばらく、そうしていました。木の傘は、なんだか心地よかったのです。しかし、ずっとそうしている訳にもいきません。私は傘を握りしめ、木の下から旅立ちました。

 雨が傘に弾かれて歌います。

 木の下に行く前より、ほんの少し寒いような気がしました。

 でも、私の足は止まりません。


 きっと、あの木の下で休んだから、今、足を動かせるのだろうと思いました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

今書いてる作品も、どうぞ宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
朝起きてこの作品を読みました。描写と間(はざま)が大好物な私には合羽に染み込む雨の描写が面白いなあ。と。 昼に読み直しました。いや、このお話は死生観を表現した内容なのか、ならば描写も納得だな。と。 寝…
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