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薬屋に飛び込むと薬屋のおっさんが、俺を見るなり、すごく嫌そうな顔をした。
「なんだ、また来たのか」
「金を持ってきました」
「そうか。見せてみろ」
「これで足りますよね?」
奪った金を出す。
それ薬屋のおっさんがじっと見る。そしておっさんが気持ちの悪いくらいの笑顔を見せた。
「いらっしゃいませお客様。こちらの解熱剤でよろしいでしょうか?」
薬屋のおっさんは、金さえあれば客として扱ってくれるみたいだ。
よかった。
「はい。その薬をください」
「使い方はわかりますか?」
「飲ませればいいんですよね?」
「いえ尻から突っ込んで使います」
「えっ?」
「この解熱剤は坐薬です。だから即効性があるのと、なにより自分で飲めない状態でも、他の人が使えます」
揶揄われている?
いやおっさんの顔は真剣だった。真面目に言っているみたいだ。
薬って飲むだけじゃないのか。
「そうなんですか。わかりました。これで足りますよね?」
「ええ大丈夫です。尻から突っ込んで20分も経てば熱は下がりますよ」
「ありがとうございます」
「いえ、これからもご贔屓に」
薬屋から薬をもらい、孤児院に急いで戻る。
孤児院に戻り、サクラのいる布団に走る。
よかったまだサクラはまだ息をしていた。
「薬を用意したから、すぐ楽になるぞ」
サクラに声をかけながら、薬を袋から取り出す。
「待ちなさい」
しゃがれた男の声が響いた。
誰だ?
さっきの振り返ると、宿を取ろうとしていた爺さんと少女が立っていた。
いつの間に、どうやって、頭の中で色々ぐるぐる回り出す。
いやそんなことよりもサクラだ。
「あとでいくらでも謝ります。金も返します。少しだけ待ってください」
俺は全力で土下座をする。
「待つのはお前だ。その薬では治らない」
「え?」
「その薬では焼石に水だ。一時的に熱は下がるだろうが、すぐにまた高熱がでるだろう。根本的な治療にはならない」
頭に血が上っていく。
「薬もサクラも見てないのに適当なことを言うな」
思わず怒鳴っていた。
だが爺さんは、諭すように俺の両肩に手を置いてきた。
「もうすでに診た。私は魔法薬師だ。断言しよう。その子はその薬では助からない」
「嘘だ」
「嘘なんて言う必要がない。その薬ではどうにもならないよ」
「そんな」
目の前が真っ暗になったように感じる。
俺は何のために。
いやそれよりどうすればいい。
「だが運がいいな。お前とその子が私と弟子になるなら、その子の症状を抑えてやってもいい。もちろん薬代はお前たちの借金になるが」
「本当ですか? サクラが助かるなら、なんでもします」
顔を上げて爺さん見る。
いやそもそもこの爺さんの言っていることは正しいのか?
でも全く俺に気づかれずに、ここまで来れる爺さんと女だ。
もしこの爺さんが詐欺師とかの類でも、どうしようもない。もう詰んでる。
「安心しなさい。お前たちなんてどうにでもできる。
だからこそ、お前を騙そうなどとは考えていない。それに、私と来るのは君たちにとってもいいことだと思うぞ」
「どういう意味ですか?」
「その子の病は治せない。
あくまで一時的に症状を抑え、進行を遅らせる。
私にもそれしかできない」
「そんな」
「今現在、その子を治す薬も魔法も存在しないはずだ。ものすごい難病だよ、その子は。
だから君は、あるいは君たちは自分たちでその病を治す方法を探さねばならない。私とくればその病気の研究もさせてあげよう。さあどうする?」




