退屈なパトロールと最初の異変
はじめまして。これが僕にとって初めての物語作品になります。
元になっているのは、自分が発売している「パレットバトラーズ vol.2」。
ちなみに vol.1 は簡単な漫画として公開していて、
そこから続く世界を、今回は少しだけ物語として広げてみました。
北九州から、こんなふうに小さな創作を発信して
何かひとつでも残せたら面白いなと思っています。
どこかレトロな空気を大切にした、ゆるい読み物です。
活動のまとめやパレットバトラーズの紹介は
HPにも載せていますので、興味があれば覗いてみてください。
https://palletbattlers.web.fc2.com/
どうか、あなたの暇つぶしのひとつとして
気軽に読んでもらえたら嬉しいです。
【パトロール中・午後】
アルト「今日も平和だな~。寄り道して帰るか?」
イリス「また言ってる……レオンに聞かれたら“仕事中だぞ”って怒られるよ」
アルト「だよな~。あいつ真面目だからな」
そんな他愛ない会話をしていると、広場から子供たちが駆け寄ってきた。
子供たち「アルト~! 遊ぼうよ~!」
アルト「よー、子供たち~! こんなところで何してるんだ~?」
子供A「チャンバラだよ!」
子供B「アルト、また技見せてよ!」
アルト「おっしゃ!今日はとっておきを見せてやる。ビビんなよ!」
イリス「……ほんと、子供には人気だよね」
アルト「“には”って何だよ……けっこうモテるし」
――そして夕暮れまで遊び倒した。
子供A・B「楽しかった~! アルトまたね~!」
アルト「やっべ!もうこんな時間だ!」
イリス「もう夕会始まっちゃってるよ!」
二人は慌てて本部へ駆け戻る。
【本部】
ウィーン、と自動ドアが開く。
アルト・イリス「ただいま戻りました!」
室内の視線が一斉に二人へ向いた。
レオン「アルト遅いぞ! またパトロール中に遊んでいただろう! イリス、お前もだ!」
イリス「ごめんよぉ……言ったんだけど」
アルト「ファンが多くってさ(笑)」
レオン「たるんでいるからだ! お前というやつはほんとに……〇△□※……」
アルト(あー、始まった……)
小言が続くこと10分。
ヴァルカ「まぁまず、次回からは気を付けるとしてだな……」
アレサ(ヴァルカ……それ余計だったな……)
レオン「そうやって甘やかすからつけあがるんだよ! だいたいヴァルカも……×■※◎……」
ヴァルカ「……汗」
その後レオンは淡々と報告を聞き、必要な点だけ確認する。
ノヴァ「レオン。レイフォール区に行く時間」
レオン「もうそんな時間か、行こうノヴァ」
レオンとノヴァが本部を出ていく。
残された四人は、ほっと息をついた。
アルトがこっそり親指を立てると、ノヴァは去り際に小さく応えてみせた。
【レイフォール区・夜】
街灯がところどころ切れた細い路地を、レオンとノヴァが歩いていた。
レイフォール区は昼間は賑やかだが、夜になると一転して静まり返る。
最近ではその“静けさ”が、住民の恐怖をさらに増幅させていた。
レオン「……噂は本当なんだろうな。エネルギーを奪われて、スクラップ寸前で見つかった者がいるって」
ノヴァ「確認済み。三件。いずれも意識なし」
レオン「目的は不明、か。組織の名前すら分からない。厄介だな」
二人は足を止め、周囲を見渡す。
風が吹くたび、古い看板がカタカタと揺れた。
レオン「……この区の空気、前より重いな」
ノヴァ「住民の半分は夜に外へ出ない。恐怖が広がってる」
レオン「だからこそ、痕跡を見つけたいんだが……」
レオンはしゃがみ込み、地面の焦げ跡を指でなぞる。
ノヴァ「……違う」
レオン「だよな。これも外れか」
二人はさらに奥へ進む。
廃ビルの隙間から冷たい風が吹き抜け、金属が落ちる音が響いた。
レオン「……誰かいるか?」
返事はない。
ただ、空気がひやりと肌を撫でる。
ノヴァがわずかに眉をひそめた。
ノヴァ「……感じる。何かが、動いてる」
レオン「いったい何が起ころうとしているんだ……」
まるで“何か”が観察しているような気配だけが、暗闇の奥に潜んでいた。
レオンは夜空を見上げた。
【セントラルテラ区・同時刻】ヴァルカ・アレサ
夜のセントラルテラ区は、いつもと変わらない光に包まれていた。
高層ビルのガラス面には巨大ホログラム広告が映り、
ショッピングモールのネオンが道路を照らす。
自動走行車のライトが流れるように行き交い、
人々の足音と雑談が混ざり合う――
まさに“テラの中心”らしい活気ある夜だった。
ヴァルカとアレサは、その喧騒の中を歩いていた。
アレサ「相変わらず賑やかだね。セントラルはこうでなくちゃ」
その時だった。
遠くのビル群の間で、一瞬だけ光が跳ねた。
アレサ「……ん? 今の、何?」
ヴァルカ「反射光か? いや――」
次の瞬間、
ドンッ!!
乾いた衝撃音が街を揺らした。
ビルの谷間から黒煙が立ち上り、
人々の悲鳴が一斉に響き渡る。
アレサ「煙……!? いや、爆発だ!!」
火花が散り、破片が飛び、十名ほどが巻き込まれて倒れ込む。
アレサ「くっ……! こんな街中で……!」
ヴァルカ「負傷者を安全圏へ! アレサ、周囲の確保!」
アレサ「了解!」
二人は即座に動いた。
ヴァルカは倒れた市民を抱え、建物の陰へ運ぶ。
アレサは周囲を警戒しながら爆心地へ駆け寄った。
煙が立ち込め、焦げた匂いが鼻を刺す。
地面には、見慣れない黒い粉のようなものが散っていた。
アレサ「……爆薬じゃない。これは……?」
ヴァルカ「後だ! 今は救助が先!」
負傷者を運び終えた頃、震える声で誰かがヴァルカの袖を掴んだ。
被害者の男性「み……見たんだ……!」
ヴァルカ「落ち着け。何を見た?」
男性は息を荒げながら、爆心地を指差した。
被害者「黒いローブの……魔術師みたいな奴が……杖を……杖をかざしたんだ……!」
アレサ「杖……?」
被害者「そしたら……光って……小さな爆発が……! そいつ……笑って……消えた……!」
ヴァルカとアレサは顔を見合わせた。
アレサ「魔術師……? そんな話、聞いたことないよ」
ヴァルカ「いや……“奴ら”の噂と無関係とは思えないな」
アレサは周囲を見渡すが、黒ローブの影はどこにもない。
アレサ「……逃げ足が速すぎる。痕跡もほとんど残ってない」
ヴァルカ「この区の中心でこれだけのことをして、姿を見せない……。ただの愉快犯じゃないな」
アレサ「……レオンたちに報告しよう。これは大きな動きだ」
ヴァルカ「そうだな。レイフォールの噂と合わせて考えると……嫌な予感しかしない」
二人は現場を後にした。
背後の闇の中で、誰かがこちらを見ているような気配があった。
しかし振り返っても、そこには何もいなかった。
【本部・緊急会議室】
緊急招集のアラートが鳴り、全員が会議室に集まった。
壁面のスクリーンには、セントラルテラ区の爆発現場とレイフォール区の地図が映し出されている。
レオンが前に立ち、静かに口を開いた。
レオン「……状況を共有する。まずレイフォール区だが――」
ノヴァ「痕跡なし。気配だけ。何かが動いているのは確か」
アルト「気配って……また“奴ら”の噂か?」
イリス「アルト、軽く言わないでよ。スクラップ寸前までエネルギーを奪われた人が出てるんだよ?」
アルト「……悪い」
レオン「レイフォールでは実害は確認できなかった。ただ、住民の恐怖は広がっている。エネルギーを奪う“何者か”が動いているのは間違いない」
ヴァルカが資料を映す。
ヴァルカ「そしてセントラルテラ区。小規模とはいえ爆発事件だ。被害者の証言が得られた」
アレサ「黒いローブの人物。杖をかざすと光が走り、小爆発が起きた……そう証言してる。魔術師のようだった、と」
アルト「魔術師……? そんなの、昔話の中だけだろ」
イリス「でも実際に爆発は起きてる。笑って消えたって証言もあるし……普通じゃないよ」
レオンは腕を組み、スクリーンを見つめた。
レオン「問題は三つだ。
一つ、エネルギーを奪う“組織”の存在。
二つ、セントラルで目撃された“魔術師”の正体。
三つ、これらが同じ勢力かどうか」
ヴァルカ「そして……近年ささやかれている噂“シャドウマーケット”だな」
アレサ「100年前、パレットバトラーズの英雄達が戦ったという闇の組織だ」
アルト「そんなのもう滅んだはずだろ? ジコーズはまだ生きていた!みたいな(笑)」
イリス「アルト、冗談言ってる場合!?」
レオン「相手が誰かは断定出来ないが――」
レオンは全員を見渡す。
レオン「平和の裏で、確実に何かが蠢いている。これ以上の被害を出すわけにはいかない」
アレサ「市民の不安も高まってる。早めに動かないと」
アルト「わかってるって。……こういう時こそ、俺たちの出番だろ」
レオン「全員、気を引き締めろ」
会議室の空気が静まり返る。
それは確かに“何かの始まり”を告げていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、物語が動き出す序盤までを
とりあえずさくっと書いてみました。
読んでみて、どんなふうに感じてもらえたでしょうか。
更新は週1、日曜日を目標に続けていく予定です。
ゆっくりですが、無理なく続けていきますので、
気長にお付き合いいただけると嬉しいです。
そして、もし興味を持っていただけたら、
僕が作っている“自分で組み立てるミニプラ”
「パレットバトラーズ」本編の方もぜひ覗いてみてください。
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物語とミニプラ、どちらも北九州から発信している
小さな創作ですが、応援していただけると本当に励みになります。




