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三茶浪漫  作者: たま
8/33

ママに食材を届けて、とにかく家に帰りテレビを付けた。

三軒茶屋の釣り堀は防犯カメラなんてものは付けてない。だから、釣り堀客の目撃談しかないのだ。

「死にそうなジジイに女神みたいにキレイな麦わら帽子の女が一緒に入って来たんだ。」とか、

「途中、釣り糸動いてのに、ジーさんが引かないからおかしいなと思ったら、女は消えてジーさんの口からは血が…」とか、夏のお盆のホラー風味が良いテレビの素材となっている。

きっと皆が茶の間で、その女は何者なのか?

なんの目的でどうやっておじいちゃんを殺したか?

話して盛り上がっているのだろう。

テレビでは言及されないが、ネットの方では近所のスーパーにおじいちゃんが通ってるスナックの女が勤めていると誰かが書き込んだのが、すごい勢いで拡散してる。

杏はゾッとする。

思わず店長と本部に感謝した。

あのまま働いてたら大変だった。杏みたいな主婦が山ほど働いてる。今頃、皆変な人に付きまとわれているかも?

ちよっと笑える。

ご飯を作りながら、自分の身のフリも考える。

怖いがこれで怯えてたら生きていけない。

何より子供を守るには「冷静であること」が大事だ。

テレビをそのまま流してると、おじいちゃんには直前に多額の保険金が掛けられていたらしい。

若い刑事が杏に変な誘導尋問掛けていた、あれか!

しかし、その受取人が身内でも何でもない、渋谷のホストらしい。

コメンテーターが、その飲み屋とスーパーで働く中年女が、渋谷のホストに入れあげて犯罪に手を染めたのか?とか憶測してる。


冷静に考える。スナックとスーパーに勤めて1月くらいだ。その間にスナックにホストと繋がりそうな人物が居たか?考える。

なぜなら、おじいちゃんの傍らの女?は、明らかスナックの杏に似せている気がする。

もしかするとネットで拡散してるのもソイツかもしれない。

わざわざスナックとスーパーを繋いで流したのだ。

あのスナックの中で会った人間の中に犯人がいるのでは?

そしてホストに貢いでる。

「やっぱり女だよなあ〜」そう呟きながら、首を傾げる。

だって、この1月であの飲み屋で見た女は女性だけの団体さんが1組だけなのだ。

それもママの人柄を慕ってる推し活女子みたいな人達で、上は50から下は20代だが、ホストとは無縁な感じだった。

あのおじいちゃんが一緒に動くなら絶対若い子だが、杏の姿も知ってる子のはず。

だが、そんな人間にスナックで会った事が無い!


「お母さん、ピンチだね〜」子供達はすっかり他人事だ。

「学校大丈夫だった?」杏はそれが1番心配だ。

「中学にも来てたけど、先生に怒られてたよ。手当たり次第、声掛けてたけどシカトだよ〜」長女の凛はニヤッとする。

子供達も葬儀後もゴタゴタあり過ぎて、確実に逞しく育っている。

弟達と示し合わせてガン無視を貫くらしい。

「だって、それは違法な事なんでしょ?

私は将来行政官に成って女性が1人でも安心して子育てできる社会保障を整えたいの!これくらい凌げないとね。」中3の娘が言う。

「俺は警察官な!法律は弱者を守る為にあるんだろ?僕らみたいな。

だから、俺は法の執行官になる!」中二病な中1の(けい)が言う。

なんか最近見たゲームか漫画に感化されてるようだ。

「僕はゲームクリエイターになる!ペルソ◯シリーズ作る!」末っ子の小学4年の(たく)は、ただやりたい事を話す。

思い出して貰った名刺を見せる。

刑事の黒田とマーズのペルソ◯チームの責任者、大谷の

名刺だ。

「ワアアアア〜ッ!!!本物だ!」子供達が大喜びしてくれた。

『貰っといて良かったよ、ママ』心の中でママに感謝する。

「お母さん、スナックやめないでね!」と言われてヘヘッと照れ笑いした。

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