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三茶浪漫  作者: たま
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ママに言ったら、入りを遅くして良いと言ってくれた。

夜の8時から11、12時へ。早い時間の客は、お年寄りでママの顧客だから大丈夫らしい。

しかし…あの絡む人やらストレス抱えた働き盛りも大変な気がするが。

おかげで子供達と夕飯作って一緒に食べれるように。

子供は喜んでくれた。

帰りが遅くなるのが心配だが、宿題や風呂、ゲームを兄弟でやってたらアッと言う間だと言ってくれた。

もう、その笑顔見ただけで涙腺が崩壊する。

元気100倍でスナックへ働きに行く。


8時に入ると、やはりあの天パ眼鏡が暗い顔して入って来た。そして、駆けつけ3杯のハイボール。

「お酒ばっかり飲まないで食べなさい。胃に悪いよ!」とママのヘルシーで健康的なおばんざいがカウンター前に並ぶ。

山芋のすり身を揚げ煮したのなんか最高だ。揚げたナスも入ってて美味い!

が、仏頂面でまたハイボールをガバガバ飲む。

ママが胃を心配して枝豆を大根おろしで和えたみぞれ和えをお酒と一緒に出してあげてる。

思わずハイボールを手で止める。

「飲み過ぎですって。少し食べてから飲みましょ?」と言ったが手を払われた。

もうアル中一歩手前だ。

「ねえ、ソイツはもうダメだよ。放っといたら?」奥の4人席からあの黒スーツの黒猫みたいな男が声を掛けた。

今日は3人で来てた。

追加を取りに行くと、事件の話をしてる。

なぜか杏をジロジロ見る。

「お姉さんさ、今日の昼間この奥の釣り堀とか居なかった?」年配の男が聞いてくる。

三茶は町中に釣り堀があるのだ。室内だが、本当に釣り堀で皆 糸を垂らして釣っている。

杏が働いてるスーパーから5分くらいだ。

「私、ハナマ◯の店員なんですよ。正社員だし抜けたり出来ませんね〜」苦笑いして答える。

「そうかあ〜そうだよね。」その人は納得した。

「でも、ちょっと抜けたり出来ない?トイレとかさ?

裏のバックヤードで休憩したりさ?」もう1人の若い男が頑張って聞いてくる。

今日1日を思い出すが、昼休憩以外にトイレも行かなかった。

「う〜ん、タイムカード推してから制服だし外は出てないですね〜」かなり考えたが無理だ。

制服はエプロンと三角巾だが、かなり目立つ。

店の中しか恥ずかしい。

「え〜と、今みたいなワンピースじゃないんだ?」しつこく聞いてくる。

「これは店用ですよ。と言ってもしまむ◯で1990円ですけどね。」スナック始めてから初めてワンピースなんか着てるのだ。

専業主婦時代は、チャリに前後子供を乗せでTシャツGパンスニーカーだったので久々だ。

今もスーパーではTシャツGパンスニーカーだ。

「違う違う、無理だろ。まあ、店のカメラは調べさせて貰うけど。」黒猫が返す。

どうも黒猫みたいな男は刑事だったようだ。

警察署もスナックから7分くらいだ。全部三茶2丁目の中だ。

他の2人は、どうも杏を探りに来たようだ。

「えっ、何かあったんですか?」不安そうに杏が聞く。

「テレビ見てない?今日釣り堀で殺しがあったんだよ。」最初に聞いてきた年配刑事が言う。

「それが直前までワンピースに帽子の女が横に居たらしいんだよ。」しつこく聞いてきた若手刑事がまた杏を下から上まで見る。


「ウチの常連さんの色ボケじいちゃん、知ってる?

あの人なのよ〜

もうすぐお迎え来るのに急がなくてもね〜」ママがこの席にも真薯とナスの煮物を運んでくる。

「エッ、あの1番年配なのに妙に女好きの?」杏も誰か分かった。

「あ〜っ、ムリですね。私あのおじいちゃんにババアは要らんと言われたし。」杏は仏頂面をする。

死にそうなジジイに、もしかしたら杏の祖父より年配の人に、ババアと言われたのだ。

「そうそう、あのジーさんは女は20歳までの人なんですよ〜

その釣堀の女も絶対若いですよ!顔はブスでも。」

ママが刑事に笑いながら話す。

「そうなんだ〜30.40代の女は相手にしないんだあ。」若手刑事がメモる。


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