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第17話 図鑑?

「改めて見るとかなり分厚い本ね」


「俺の知っている地域に棲息している魚の名前と絵、生息地が記載されているからな。ほら、重さもなかなかだぞ」


「ちょ、いきなり投げないでって……おっも」


「落としても破いても濡らしても絶対手元に、元々の状態で戻ってくるどんなものより安全な筋トレ道具だ」


「あはは、それは言えてるかも……」




 ――ペラ。




 アルクのスキルに対する皮肉を軽く聞き流してまず1ページ。



 ……うーん。はっきり言って凄くよくできた図鑑とは思えないわね。



 絵は魚によってリアルなものとそうでないものがあって差がひどい。


 書かれている情報量がまばら。


 やたらと余白の部分が多い。



「それにこの数字の意味もわからないわね。記載がある魚とない魚がいるし……」


「レベルの表記だな。記載のあるなしは一定レベルに達しているかどうか、俺に戦った経験があるかどうかそういったものが関わっている」


「へぇ、なるほどね。つまりこの余白の多さもまだあなたが戦っていない、情報の収集ができていないからってわけね」


「そうだ。まだまだ新しく釣れる魚は多い。つまりは『釣り師の感』の効果の1つ、『新規の魚を釣るという行為から経験値を多く取得できる』を生かすことができる」


「あなたのスキル、そんな効果があったのね。じゃあそれでもまだまだ伸びしろがある、と……。はは、味方なのに怖く思えるわね」


「だが、魔族相手では足りない可能性が高い。俺の知っている魔族には今でも近づけている気がしないからな」


「あいつらの強さは未だによくわかってない……でも本当にそんなに強いのかしらね?」



 魔族の討伐記録は確か3回、だっけ?


 しかも全部子供とかいう噂もあって……出会ったらおしまいなんて言われてるのよね。



 なぜか魔族は極稀にしか人間の住む地域を攻撃してこないのだけど、もし一斉に襲ってきたらどうなっちゃうのかしら?



「なんにせよ、あの魔族を殺すために力をこれでもかと蓄えたい。黄金マグロは依頼ということもあるがまだ釣ったことのない魚だから喉から手が出るほど釣りたい。それと……今回の目的はもう1匹いる」


「もう1匹?」


「黄金マグロの絵の下に『取得経験値:小』と書かれているだろ?」


「ええ」


「この前湖で釣った魚、『魔導魚』があれで『取得経験値:中』。なら今回のもう1つの目的、次のページに書かれている『一角黒マグロ』の『取得経験値:特大』はどれほど俺を成長させてくれるのか……。今から楽しみでしょうがない」


「特大……あ、本当ね。でもこれ……」


「レベルは【3】。格上だ。どうしても魚は食用でモンスターと呼ばれることが少ないが、モンスターよりもモンスターだと思った方がいいぞ」


「……折角のダンジョン探索だっていうのに、ワクワク値ガン下がりなんですけど」


「……まったく、お前はダンジョンを何だと思っているんだ」


「そりゃあ財宝まみれの宝庫よ!」


「俺からすればあんなところ嫌な『匂い』が漏れてる、危険な場所だ。……魚さえいなけれなば」


「匂い、ねえ」


「『匂い』、正確には雰囲気だがな。前に近くを通りかかったとき、感じたんだ。こうドロッとしていて、魔族が纏っていたそれに近いものを。……さて、そろそろ返してもらってもいいか?」


「え、ええ。でもたまに私にも見せてよね。危険な存在の情報は私だって知っておきたいから。最悪の場合あなたを置いてでも逃げられるように。もしダンジョンに魔族がいたとなればなおさらね」


「怖がる前に逃げる準備、か。ふ、ある意味最高のパートナーだよお前は」


「それはどう、もっ!!」



 重たい重たい図鑑をアルクに投げて戻した。



 魔族だのレベル【3】だの……なんか急に緊張してきちゃったじゃない!!



「はあ。『リリ』の心配はあながち行き過ぎてたわけじゃないのかも……。あーっ! なんか2日酔いぶり返してきたかも!」


「それは困るな。遠くではあるもののもうダンジョンのある祠、その近くの村が見えてきたぞ」


「……はっや。なんか昨日よりもドラミ速くなってない?」


「ああ。いつの間にか進化してたみたいだからな。正式なドラゴンに。レベルは1000だ」


「……へっ?」


「どうやら長の威厳で俺が干渉したことが原因らしい。俺が強くなればきっとまだまだレベルは上がるぞ。そうなれば移動時間の短縮にもなっていろんな釣り場に行けるな」


「同時に私たちが煙たがれる確率がぐっと上がるけどね!! もう! この子の分のステータス隠しの薬も用意しておかないとじゃない! またお金がかかるぅ……」

お読みいただきありがとうございます。

モチベーション維持のためブクマ、評価よろしくお願いします。

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