勇者パーティー
見やすさ重視で改行したり『』使ってます、都度気分で変えていきます。
『ーーーーーなんで私たちまだ戦ってるわけ。こんなにボロボロになってまで。』
『さぁなぁ、メルちゃんがつっこんじゃうからじゃないのぉ〜?』
『それはアンタの指示でしょ!』
『ダルとメルちゃんのおかげで補給ルートが通りました、また人類の存続に一歩近づいたわけですね。』
『…ありがとうみんな、あとは僕に任せてくれ。聖剣よ、輝け、ヤケクソにされし勝利の剣…
○○○、○○○ーー!!!!』
『…やったか!?』
『や、ヤバいぞ勇者!あの敵軍中心部の影、幹部だ。久しく見ないと思ったら…。』
『みんな、ここが正念場だ。いくぞ!!!』
ーーーーーーーーーー激しい戦場の痕跡。土煙がいまだに舞う中、息を切らし剣を杖がわりに片膝をつくフルプレート。杖を放り出し、両手を地面につく金髪のエルフ、破壊された刀や薙刀、鉄槌、長槍があたりに雑多に散らばる中心にいる小柄な獣人族。そして中央にヤ〇チャ倒れをしてるメガネの白い長髪。おまけにメガネも粉々だ。某〇〇のメガネだったら死んでいただろう…。
だがかろうじてみな生きている。無事だ。紙一重だ、あたりは大規模魔法の影響により地面はガラス化し、魔族も人族の死体も関係なくただそこに倒れている。風に乗って鼻に届く臭いは何度嗅いでも慣れることはない。
しばらくして彼らは火葬を始めた。魔法の炎ではなく。起こした火を使って。死体を放っておくのは極めてよくない、衛生面もそうだがこの世界では死体はいずれアンデットとなってしまう、聖者による火葬が何よりの弔いだ。
聖者…そう、彼らは勇者パーティーの4名だ。
魔王軍は恐ろしく強い。魔王が顕現しない現在で尚も世界へ脅威を向けている。この4名は人類を超越せし者たち。
だがそんな彼らを持ってしても魔王軍幹部の力は強力だった。
千年は続いているとされているこの人類と魔族の戦争は当初、人類はなす術なく蹂躙されていた。歴戦の猛者たちが都度立ち上がり、今日まで人類は存続を続けた。小競り合いが続く戦いの最中、魔王軍幹部を幾度なく屠ってきた。それが歴代勇者パーティー、そして現在、稀代の勇者パーティーは歴代最強と呼び声高く、此処数十年この4名の勇者パーティーのおかげで急激に人類は活気を取り戻している、その勢いは火を見るより明らかだろう。
しかし平和とは人々に幸福をもたらすと同時に欲を抱かせる。各国は世界を守る勇者たちの力を我が物にしようと暗躍し、中には人間同士で戦っている地域もあるほどだ。
一通りの火葬が終えたあと、1人の獣人が声高々に叫んだ。
『ホントバカだよ、教会の連中もアイツらも…!』
メルちゃんの言うアイツらとは『勇者教会』と小競り合いを続けてる『城塞都市』のことだ。
『勇者教会』は勇者と聖女を輩出する機関で今やこの世界の希望の拠り所である、神を信仰の対象としておらず、勇者や聖女を信仰の対象に選んでいる。発足は千年前の戦争と同時とされているが定かではない。
教えは1つ、『勇者と共に、協力するすべを教え共に歩む』それがいつしか勇者協会、『勇者教会』となった。そして各方面(資金、軍備、食糧等)で勇者パーティーを独占的にサポートすることで世界各国に絶大な発言権を有している、
人類の希望である勇者は救った国からの褒美は受け取らない、支援も受けない。全ては教会を通して行う。
それは一見義勇の志とも取れるが逆に、人類の希望である勇者を占有していると公言しているようなものである、
そんな状況に異をとなえる国があった『城塞都市エンブリオ』。都市とあるが小国並みの広大な土地を有しており、故に国となっている。土地の外壁全てに砦が築かれており、その堅牢さはかつて勇者要らずとまで言われていた。勇者パーティーが結成されるまではこのエンブリオが戦争の最前線であり勇者不在の中、魔王軍の侵攻を防いでいた。当然武に長けたものが多く、独自の軍隊を保持しており、またその小隊(傭兵団と呼ばれる)を各国へ派遣することで財をなしていた。当然、勇者教会と城塞都市エンブリオの隔壁は分厚い。
メルちゃんはこの城塞都市の出身だったらしい。
らしいと言うのも僕たちはお互いの過去をあまり知らない、お互い深く知ろうとしないのだ。それは仲間が戦死した時悲しみを和らげると言う暗黙の了解で、だ。
かつて勇者パーティは10人いた。いずれの6人も戦死した。とは言っても今生きているこの四人が元々奮闘していた中、各地より集まった義勇兵、その中でも群を抜いて強者だった6名が自然と4人について10人となっていた。
『はぁー、もーむり!俺今度こそ死んじゃうって!愛用のメガネも毎回毎回壊れるしよ!!』
愛用をコロコロと変えれるのは彼の性分なのか。それとも致し方なくなのか。彼の性格を知っている者ならば前者であると見抜くのは容易だ。なぜなら彼は別に目が悪いわけではない、
このメガネが特別性の魔道具というわけでもない。彼は最近オープンしたメガネ屋の店員を口説き落とすために通い詰めていた。その口実作りにメガネをかけているだけだ。
しかし彼自身からすればそれは1つの理由に過ぎず、曰くメガネをかけているだけで頭が良さそうだと見られること、戦闘で的を絞りやすいとか(弱点である目をよく狙われるため)そう言った自分への利点を一つの物事に対してでも三つよっつ含めるのが彼なのだ。要するに女にだらしない軍師であるのだ。
『……なぁ、私たちの旅は一旦ここまでにしないか?』
突然の発言に一同は固まった。勇者は続けて言葉を発する。
『勿論、このまま戦い続けることもできるだろう、しかし辛勝ではダメなんだよ。万が一がある、もう私は仲間を失うなんて考えたくない。』
最後の言葉には人類の希望を担う勇者の力強さとは結びつかない、その清廉な見た目より乙女心をくすぐるような、ほんの少しばかりの哀愁が漂っていた。
『でも私たちが前線を開けるって。大丈夫なのかしら?』
そのエルフの質問に答えようと勇者が話そうとするとそれをメガネ軍師が静止した。
『まぁしばらくは大丈夫だろう、向こう10年は絶対大丈夫だと言える、さっきの幹部、やつは魔王軍の中でもかなり力を持ってる古株だったやつだ。過去の文献にも出てくるほどだ。
後退しつつある魔王軍をなんとか押し上げるための切り札だったに違いない。となると魔王軍は策を考え直さなきゃならない。奴らの目的は人類の征服だ。頭ごなしに特攻してくるほどバカじゃない。』
『稀代の変態軍師がそう言うなら問題ないのでしょうね。』
メルちゃんが後押しする、この2人は勇者とエルフが出会う前から同じ部隊に所属していて四人の中では最も付き合いが長い。お互いのことはよく知っているし、能力も当然把握している。最強のメルちゃんが言う、それほどこのメガネ軍師への信頼は厚い。
『と言うことだ、エルフ、この戦いで私たちは時間を得た。この時間を有意義に、そして確実に未来へ行かせるように、僕たちはそれぞれまた出直そう。』
こう言う時この四人が集まる場所は決まっている、そして四人は口を揃え空に向けこう告げた。
『『じゃあみんな、、
10年後にシャ〇〇ディ諸島で!!』』
ーーそして舞台は10年後
世界樹の森、世界樹の根元にて四人は会合を果たす。
各4名の修行パートはしっかり描きます、その後はコメディタッチになります、