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遠出デートをする

 出勤はギリギリなのに楽しい予定がある日は早起き。

 しかもスムーズな買い物の為に予め必要な物のメモをとっておいた。


「高級車にトイレットペーパーって面白い組み合わせ」

「そう?」


 生物等は無いしこれがメインではないからさっさと車に乗せて買い出しは終了。

やっぱり2人で作業して車があると段違い。

 後は少し遠出して本屋に行って彼が必要とする本を買う。


 あと、私の服も見て買ってくれる。はず。


「そうだ。場所決まったんです」

「何パになったの」

「ラブホのパーティルームで語り合いながらの闇鍋会」

「元気な女性たちだ」

「男も居ますけどまあ女みたいなもんです」

「……トランスジェンダーとか?」

「いえ。心も体も男です。けど幼稚園からずっと一緒なので」

「……」

「これがまた料理が上手なので期待し…あ。闇鍋か。何用意しようかな」

「私は少しだけ複雑な気持ちになったよ」

「ただのパーティです」

「でないと困るんだよ」


 聞いたこともない土地にあるお店の駐車場に車をとめて大きな書店へ入る。

私は普段からそれほど本を読まないのでフラフラとめぐり雑誌の棚へ移動。

 社長は店員に本の場所を確認してから真っ直ぐに向かった。


「朝の忙しい時間でも出来る簡単清楚系アレンジ……覚えられるかな」


 グルメ雑誌はお腹が空くのでファッション紙。新社会人向けのメイクや

ヘアアレンジについ目が行く。スケベなオジサンに見られるなんてどうでもいい、

 ミスキャンパスも来る交流会はまだ先の話し。


 だけど少しくらいは私も大人な女性らしさを得たいから。


「そこの君。記憶力に自信が無いなら買おうか。間違っても写真は撮るな」

「う」


 けど、面倒なのに見つかってしまった。渋々スマホをカバンに戻し。

バツが悪いので雑誌を買うことにした。互いに本を得て店を出る。

 お次に同じ通り沿いにあるレディスのセレクトショップへ。


 何時もは値段重視の店にしか行かないから入るだけで結構な緊張。

仄かに爽やかな香りがして白い壁に木目調の床。

 店員さんもおしゃれで何しに来たか一瞬忘れるけど、私の服選びだ。


「あまり女性のファッションは詳しくないから知人に聞いた店なんだ。

ここなら君くらいの年齢層でも間違いないそうだよ」

「確認したいんですけど。本当に買ってくれます?」

「買うよ」

「そう。じゃあ遠慮なく選ぼう」

「私が許可したものに関しては。ね」

「社長……、いえ。創真(そうま )さん?

私達ってセンスが全くと言っていいほど合わないじゃないですか?」

「さあそれはどうだったかな」


 爽やかにニコッと笑って言うけど。絶対分かってる。

分かってて意地悪く言ってる。

 でも負けない。意地でも買ってもらうからっ。


 自分の趣味よりも買ってくれる人の趣味に合わせるしか無い。

こんな静かで大人なお店で買う買わないで揉めたら恥ずかしいし。その時は

どうせ私が子どもぽく一方的にカッカしてしまうのも分かってる。


 悩んだ5分後。シンプル清楚な白メインのワンピースを発見。

 私の目にはなんてこと無いワンピ、お値段なんと8万円也。


「……まあ、良いとしようか」

「気に入らないですか?社長の趣味ってこういう清楚な感じでしょ?

で、手をこうしてオ~ホホホっ~て笑ってそうな」

「何時の時代のセンス?」

「こっちの黒のレースのワンピもいいな。大人っぽいし」

「君は少々ガニ股だからその短さでは格好が悪いかも」

「……」


 セレブの癖に意地悪。どうせガニ股で会社でも歩いてますよ。

 私はムスっとして服を戻す。


  私の恨めしい視線に相手は目をそらし。


「これはどうかな。試着してみてほしい」

「……」


 まだ怒ってますアピールでブスっとしている私。


「お願い」


 なのに耳元でそんな優しく甘く言われると無下にも出来ず。

やや顔を赤らめつつ渡されたワンピースを試着してみる。


 サイズは言ってないのにぴったり。スカート丈も短すぎず長くもなく。

 なるほどこういうのが趣味。


「どうですか社長」

「うん。良いね」

「私も好きですよこういうタイプ。使い勝手が良さそう」


 脱いでそれとなく値札を見ると12万と書いてあった。

今後着る時に考えてしまって気後れしそうだけど悪い気はしない。

 こちらの買い物も無事に終える。



「店員さんこっちを興味津々に見てましたね。

今頃は私達がどういう関係なのか話してるんだろうなぁ」

「そうだった?きちんと見てなかったよ」

「何処でも似たような感じでもう慣れちゃったけど」


 普通は男女が一緒に買い物なんて恋人と思われるのかもしれないけど。

年齢が離れているし落ち着いた大人な社長の隣に私が居るのも不釣り合い。


 良くて兄妹、悪くて不倫。


 直接言われた事はないけど聞こえた事はある。はい皆さんハズレ。

極めつけはお店で一緒に鏡に写った時の容姿の格差。出かける度に辛い。

 複雑な事情はあれど叔父なんだから同じ成分あってもいいのにな。


「どうかした?」

「あっと。その。お昼の場所とかその後とか……」

「昼食の店は予約をしてある。それからは君のご機嫌しだいかな」

「風呂掃除してないですし」

「すぐ帰る?」

「せっかくの休日だしゆっくり帰りましょう」


 後部座席には日用品、洋服、本。


 車の高級な雰囲気や運転手のエリートなルックスとはイメージに合わない。

けど、私が来るまでずっと自分で買い物をして掃除をして。

 家政婦さんは雇ったことがないらしい。


 この容姿で掃除も料理も出来るとか。何でも出来る系めっ。


「まだ怒ってるのかな。目がつり上がったまま戻らないね」

「お腹が空いているだけですから」

「……、そう、なの?」


 予約してくれていたお店に到着してランチに選んだパスタセット。

 勝手なイライラも食べている間に忘れるのだから私は単純。



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