やめるんだ、それは敵じゃない
無意味に殺されるランキング上位。可哀想な虫さん(美少女)のお話
こんにちは〜! 聖属性エッセイスト、ひだまりのねこですよ。
とうとう梅雨が明けましたね。
となると、もうすぐ彼らのシーズンが始まる。そう……ガガンボの夏が。
え? 何それおいしいの? いや美味しいのはガンボだ。知らないなら検索だ。
さて、検索していただけただろうか? おそらく多くの人が見たことがあるはずだ。
地域によっては「大蚊」「カトンボ」「アシナガトンボ」「カゲロウ」「ショウジハリ」
英語だと、Daddy longーlegs「あしながおじさん」なんてしゃれた名前もある。
さらには蚊のオス説、長く生きて巨大化した蚊なんていうデマも蔓延している。
もうご理解いただけただろうか。そう……彼らは蚊に似ているのだ。見た目だけ。
それによって引き起こされる悲劇。忌み嫌われ意味もなく殺されてきた物言わぬ彼らの無念。
少しでも役に立つならばと、私はこのエッセイを書くことに決めたのだ。
エッセイを書くにあたっては、ガガンボさん(橋本環〇似の美少女)にインタビュー出来たので、まずは聞いて欲しい。
私:「ガガンボさんは血を吸うとか誤解されているみたいですが……?」
ガガンボさん:「そうなのです。私たちは、花の蜜を吸うのです。血なんて吸わないのです」
血を吸うのは雌の蚊だけだから!! 風評被害も甚だしいよ!!
私:「体も大きいし、怖いとか言われてますよね?」
ガガンボさん:「触れただけで足が取れてしまうぐらい身体は脆いのです。攻撃力はゼロよ」
噛んだり引っかいたりもしない……っていうか、構造的に弱すぎて無理。本当に非力で大人しい。蚊特有の嫌な羽音もしないしね。
私:「美人薄命と言いますが……」
ガガンボさん:「ええ……私たちの寿命はわずか10日。しかもほとんどの者は、寿命が来る前に殺されるか食べられてしまいます」
彼らは他の虫、魚、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の餌となり、生態系を支えているのだ。食べもしない私たち人間が殺す必要はどこにもない。
蚊に似ているから殺す? やめるんだ、それは敵じゃない。あなたに危害を加えたりしないんだ。
だから、もし可哀想なガガンボさんが部屋に迷い込んで来たら、ビニール袋か何かをかぶせて外へ逃がしてあげて欲しい。
私のように慣れていないなら、素手で触るのはおすすめしない。なぜなら、彼らの身体は驚くほど脆く、簡単にスプラッタ劇場の開幕となるからだ。
とはいえ、怖がらなくていい、一種のトカゲの尻尾切りと同じで、足が取れてもダメージは軽微だ。捕食者が脚を食べている間に逃げる、か弱い彼らが持つ唯一の生き残り戦略なのだから。
どうしても袋が無ければ、両手でそっと包み込んであげればいい。仮にどんなに暴れたとしても、フェザータッチにしか感じないのだから。
「ありがとう……優しいお兄さん、お姉さん」
そんなガガンボさんの声が聴きたくないか?
わずか10日の命だ。助けろとまでは言わない。どうか見逃してやって欲しい。
そして、あなたが父や母ならば、子どもたちに教えてあげて欲しい。いつか親になることがあればちゃんと伝えて欲しい。
無知は残酷なナイフ。そのことを覚えておいて欲しいのだ。
ボロボロになりながらも懸命に生きる彼らに祝福を。
ちなみに、蚊に似ている彼らによく似た、ガガンボモドキ、ガガンボダマシという別種の虫も存在する。紛らわしいよ!?